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俳諧修行の旅、俳諧指導の旅

五月雨をあつめて早し最上川」という歌が詠まれた場所、大石田を芭蕉が訪れたときのこと。この地方には、古くから俳諧の種が蒔かれ、愛好者がたくさんいたらしい。芭蕉は次のように書いている。

「この人たちから「自分らは俳諧の道を、手さぐり足さぐりでたどたどしく歩んでいますが、新しい句風に進むべきか、古い句風を守るべきか、迷っています。ところが、適当な指導者がいなくて困っています。どうかひとつ」と、頼まれたので、断りきれず、連句一巻を作って残すことになった。こんどの俳諧修行の旅も、こうして俳諧指導の旅にまで発展してしまったのである」(p.136)

「おくのほそ道」を読むと、こうした場面がよく出てくる。「自分の修行」と「他者への指導」が一体となったとき、人の成長が加速するのかもしれない、と思った。

出所:松尾芭蕉(角川書店編)『おくのほそ道(全)』角川ソフィア文庫

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