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『おくのほそ道(全)』(読書メモ)

松尾芭蕉(角川書店編)『おくのほそ道(全)』角川ソフィア文庫

言わずと知れた芭蕉による「おくのほそ道」。武田友宏氏によるわかりやすい通釈が掲載されているため、その内容を知ることができた。奥羽・北陸の自然を堪能しながら俳句を詠んでいく芭蕉の感受性の高さを実感できる本である。

本書を読み、芭蕉が豊かな人生を歩むことができているのは「人とのつながり」であると感じた。

第1に、俳句を通した人とのつながりである。まず、旅に同行してくれる弟子がおり、旅の先々では友人・知人が宿や食事を提供してくれている。

第2に、いにしえの歌人とのつながりである。芭蕉は古歌をよく覚えていて、名所を訪れると、昔の歌を思い出し、自然を味わっている。例えば、以下の通り。

西行法師が「清水流るる柳かげ」と歌に詠んだ有名な柳は、蘆野の里(那須郡那須町芦野)にあって、今は田の畦道に残っている」(p.48)

「岩沼(宮城県岩沼市)に泊まった。この岩沼に古歌で有名な武隈の松がある。見るほどに、目のさめるようなすばらしさだ。二木の松ともいうように、幹が根もとから二またに分かれ、昔の姿を保っていた。さっそく能因法師を思い出した」(p.80)

過去の人、現在の人とのつながりを大切にしながら、俳句を通して日本の自然を楽しんでいる芭蕉の生き方に感銘を受けた。



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