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『地獄変』(読書メモ)

芥川龍之介『地獄変』ハルキ文庫

ケチで強欲で横柄な絵師・良秀は嫌われ者だが、腕だけは天下一品である。そんな良秀に似ても似つかないかわいい娘がいた。その娘が、ある殿様の屋敷に奉公したのをきかっけに、殿様から「地獄変」の屏風を依頼される。

あらゆる身分の人間が苛まれる地獄を描こうとする良秀だが、どうしても、炎につつまれた牛車の中で女房が悶え苦しむ様子だけが描けない。困った良秀は殿様に「庭で実際に牛車を焼いてほしい」と頼む。しかし、燃やされる牛車の中にいたのは…

芸術のために家族を失い、自らも滅びていく良秀の生きざまが、仕事のために家族を犠牲にし、自分を見失っていくビジネスパーソンの姿と重なった。



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