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『崩れゆく絆』(読書メモ)

アチェベ(栗飯原文子訳)『崩れゆく絆』光文社

ナイジェリア出身のチヌア・アチェベによる小説であるが、まちがいなく名著である。

独自の文化を持っていたウムオフィア(ナイジェリアの一)に、いきなりイギリス人がやってきて、地域社会がバラバラになっていく様子がヴィヴィットに描かれている。

一番インパクトを受けたのは、ウムオフィアの人々の「誇りと尊厳」が踏みにじられていくプロセス。植民地化の恐ろしさが伝わってきた。

ただし、欧米の植民地化の手法は強引ではなく、とても巧みである。キリスト教の布教を交えながら、いつのまにかに絡め取っていくようなアプローチだ。

著者のアチェベは、植民地時代に欧米流の教育を受けたものの、徐々に自国の豊かな文化に気づいていく中で、本書を書いたらしい。

自国の文化を自覚し、他国の文化を尊重することの大切さがわかった。
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