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『サキ短編集』(読書メモ)

サキ(中村能三訳)『サキ短編集』新潮文庫

O・ヘンリと並び短編の名手といわれる英国の小説家サキ。

その特徴は「暗さ」にある。

21の短編が収められた本書であるが、どの作品も終わり方が暗い(ブラックジョークとも言うが)。

もっとも印象に残ったのは「運命」「おせっかい」

お金もなく行き倒れかけた先で、自分そっくりの行方不明の息子になりすましたストウナーだが、安楽な生活の後で悲劇が訪れる(「運命」)。

憎しみ合ってきたウルリッヒとゲオルグだが、森で木の下敷きになったことをきっかけに仲良くなりかける。しかし、身動きできない二人の前に現れたのは…(「おせっかい」)。

中村氏の解説を読むと、サキは不幸な子供時代を送ったことが判明(父がビルマ赴任時に2歳で母を亡くし、イギリスに返された後は、厳格な伯母の下で育てられたらしい)。

人生観が作品に反映されることがわかった。






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