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『夏の花』(読書メモ)

原民喜『夏の花』岩波文庫

先週、未読本の中から何気なく取って読み始めたのが本書。

意識していなかったが、原爆にまつわる小説であることがわかり、少し驚いた。

奥さんを病気で亡くした原民喜は「1年だけ生きよう」と決めて広島の実家に戻り、被爆する。本書には、地獄絵のような凄まじい様子が描写されているのだが、なぜか静謐な感じを受けた。

GHQの検閲を免れるために、当初のタイトル『原子爆弾』を変更したようだが、『夏の花』のほうがフィットしている。

1年だけ生きるつもりだった原民喜は、原爆の体験を伝えるためにその後、5年間生きて小説を書き続けた

戦争の本質を伝える貴重な一冊である。
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