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『対訳ブレイク詩集』(読書メモ)

松島正一編『対訳ブレイク詩集』岩波文庫

少し前に、ジム・ジャームッシュ監督の映画『デッド・マン』を観たが、その主人公の名前がウイリアム・ブレイク。どうも、ジャームッシュ監督が18世紀イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクにささげた映画のようだ。

映画の内容はさっぱりわからなかったが、ブレイクが気になり、詩集を読んでみた。

「まえがき」や「ブレイク略伝」を読んで驚いたことは、生前ブレイクは詩人としては認められておらず、彫版師であったということ。

さまざまなタイプの詩が収められているが、その中でも良かったのは一番最後の「無垢の予兆」。

一粒の砂にも世界を
一輪の野の花にも天国を見、
君の掌のうちに無限を
一時(ひととき)のうちに永遠を握る。

(p. 319)

生きている間には無名だが、亡くなってから有名になるのはエミリー・ディキンソンや宮沢賢治と共通している。

詩や物語は、他者に見せるためのものだけではなく、自分で味わうものなのかもしれない。





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