goo

『対訳ディキンソン詩集』(読書メモ)

『対訳ディキンソン詩集』(亀井俊介編)岩波文庫

アメリカを代表する詩人エミリー・ディキンソン。

ディキンソン研究家の知人がいるため、数年前に買って読んだものの、ピンとこなくて途中で挫折したままだった。

ひさしぶりに読んでみたところ、ほぼすべての詩が心に沁みこんできた(歳をとったせいかも)。

生前は無名で自宅に引きこもっていたディキンソンだが、本書を読むと、彼女の中では芳醇な世界が広がっていたことがわかる。

ちなみに、ディキンソンが生きていたのはピューリタン思想が全盛の時代。しかし、彼女は形式的な礼拝を受け入れることができず、キリスト教会を拒否していたようだ。そんな中、次のような詩を詠んでいる。

心にはたくさんのドアがあります
わたしにできるのはノックだけ
「お入り」とやさしくいってもらえないかと
懸命に耳をすませて
拒絶にあっても悲しみはいたしません、
わたしには糧なのです
どこかに、至高の方の、
いらっしゃることが

(p. 167)

孤独の中にいるように見えても、神様との交流があったんだな、と思った。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )