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老人ホームを拠点に活躍する

自宅における親の介護で、肉体的にも精神的にも厳しい状況に置かれている方々が多いと聞く。

こうした人に対し、介護コンサルタントの中村寿美子さんは次のようにアドバイスしている。

「「子供に介護の苦労をかけたくない」とホーム入居を考える高齢者が増える一方で、その子供世代の若者には「親の面倒は自分がみなければ」という責任感から、親を介護施設に預けることに抵抗感や罪悪感を抱く人も多いようです。けれども、老親を介護施設に入れることは、決して親不孝な行為ではありません。プロの介護を受けながらホームで生活することで、心身の状態が改善したり、より快適な環境で元気に暮らすこともできるのです」(p.192)

われわれは「老人ホーム=姥捨て山」のように考えてしまいがちだが、どうも違うようだ(もちろん施設によるだろうが)。

先日紹介した『こんな介護で幸せですか?』を読んで励まされたのは、老人ホームを拠点にして活躍した女性の方々の存在だ。

女性問題の評論家である石垣綾子さんは、晩年老人ホームで言論活動を続けたというし、旅行雑誌の編集長として活躍し石塚文子さんも、自宅を処分してホームに移り、精力的に国内外へ取材旅行に出かけていたらしい。また、社会学者の鶴見和子さんも77歳のときに脳出血で左半身付随になってから介護付き老人ホームへ入居し、その後88歳で亡くなるまで、歌集や対談集を発表していたとのこと。

その気になれば、老人ホームは社会でいきいきと活動する場として機能するということだろう。

「介護施設に入れるのはかわいそう」と考えるよりも、「いかに介護施設を活用して豊かな生活を送ってもらうか」を考えることが大事だと感じた。

出所:中村寿美子『こんな介護で幸せですか?』小学館101新書
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