goo

『こんな介護で幸せですか?』(読書メモ)

中村寿美子『こんな介護で幸せですか?知らなければ絶対に後悔する終の棲家の選び方』小学館101新書

「「老い」は誰にでもやってきます。介護はある日突然、必要になります

本書の「はじめに」で書かれている言葉である。夫の両親と夫を介護し看取った経験を持ち、これまで、介護や高齢者の住まいに関する1万件以上の相談に応えてきた中村さんのアドバイスには説得力がある。

副題にある「終の棲家」とは「自分の死に場所」である。本書のメインメッセージは次の言葉に要約されるだろう。

「今後、さらに高齢化率(65歳以上の人口比率)が上がり、右を向いても左を向いても高齢者ばかりになります。それゆえ、誰にも迷惑をかけないようにするには、あらかじめ「自分の死に場所」を決めておく必要があるのです。誰かが何とかしてくれるだろう、などと安易に考えていたら、大間違いです」(p.210)

しかし、介護施設は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウス、グループホーム、民間の有料老人ホーム、高齢者住宅とさまざまである。いったいどうやって選べばいいのか?その悩みに答えてくれるのが本書である。

この本にはいろいろなアドバイスが書かれているが、印象に残ったのは「経営者、もしくは施設長に会え」ということ。

「入居者がふだん接するのはホームの職員ですが、職員の質をいかに高め、やる気にさせるかは、経営者次第です。そのホームで高齢者に接して働くことを職員が誇りに思えるような職場環境を与えることができるか。経営効率ばかり考えて、むやみに賃金を安く抑えたり、長時間労働を慢性的に許容していないか。高齢者に対して職員とは違った角度から目配り・気配りができ、職員に何らかのヒントや励ましを絶えず発せられるか。入居者も大切だが、職員も大切。そんな姿勢も問われるでしょう。有料老人ホームの経営は、まさに経営者の哲学なのです」(p.172-173)

自分の死に場所を見つけるということは人を見極めるということである、といえそうだ。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )