goo

『たった一人の反乱』(読書メモ)

丸谷才一『たった一人の反乱』講談社文芸文庫

この小説に出てくる、エリート意識丸出しの主人公は好きになれないが、状況設定やストーリー展開は「さすが丸谷才一」という感じがした。

読んでいる途中、タイトルにある「たった一人の反乱」ってどういう意味だろうと思っているうちに読み終わってしまった。そのあと、じわじわと伝わってくるものがあった。良い小説とはそういうものかもしれない。

私たちは、毎日、毎日、変わりばえのしない日々を送っている。何か変化を起こそうとするとエネルギーがいる。しかし、何かが変化すると(誰かが反乱をおこすと)、その平穏な毎日に波がたち、私たちが乗っている船が揺れ出す。

下手をすると波が大きくなって転覆する恐れもある。しかし、その大波を乗り越えたとき、人が成長したり、人と人の絆が強くなる。そういうことかな、と思った。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )