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ケースメソッド授業(1)

小樽商科大学1年生以上が履修できる経営学原理Ⅰでは、ケースメソッドを用いて、問題解決力を高めることに力をいれている。履修者は約300名で、大学で一番広い教室を使っている。授業では、まず経営学の考え方についての講義を20~30分した後、10~15分のビデオケースを見て、個人分析する。それから、15分程度で、5,6名のチームで互いに意見を出し合い、ディスカッションを行うという内容である。テキストは、小樽商科大学ビジネススクール編「MBAのためのケース分析」(同文舘出版)。

今日の講義は、「ケース分析について」と「SWOT分析」。ケース分析(ケースメソッド)とは、特定企業の経営に関する出来事や状況を記述したケース(文書あるいはビデオ)を読み(見て)、その企業が抱える問題点を明らかにして、解決策を考え出す、という教育方法。要は、事例を用いた問題解決や意思決定の練習である。ケースメソッドには「実世界を疑似体験できる」「理論の意味が理解できる」「ビジネスを統合的に理解できる」「集団運営スキルが身につく」といったメリットがある。

SWOTは、自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、環境の機会(Opportunities)と脅威(Threats)を分析し、自社の戦略を練るための考え方。SWOTは、上記4つの頭文字を合わせた呼び名である。戦略を立てる際のポイントは、外部環境の機会をとらえて、自社の強みを生かす点にある。このとき、環境の脅威を回避し、自社の弱みを打ち消すことができればなおよい。

さて、今日のケースは「自転車工房」という会社。NHKビジネス未来人という番組の一部を流した。この会社は、顧客の要望にあった自転車を作る、東京下町の自転車屋さんだ。足の悪い高齢者の方や、ペットを連れて買い物に行く人用に、特注品の自転車を作成してくれる。街の自転車さんが廃業に追い込まれている中、元気に商売をしている。

ビデオを見た後は、まず15分間で個人分析。配布された分析シートに、自転車工房のS(強み)W(弱み)O(機会)T(脅威)を書き込み、改善ポイントを考える。このとき大事なことは、自社の強みが失われず、より強化する形で改善案を考えること。

次は、グループ毎にディスカッション(写真を参照)。初回にしてはけっこう意見を出すことができたようだ。「ビジネス用、ペット用、主婦向けなど、ニーズのある自転車のプロトタイプを決めておいたらどうか」「高くても買う顧客は全国にいるはずなので、インターネットを通して情報発信する」「事前にメールで相談を受け付け、相談時間を短縮する」「機能性だけでなく、デザイン性も高める」「商品を早く渡し、多くのニーズに対応するためにも、若手の職人を育てて、チーム体制をつくる」「高収入の人にターゲットを絞りブランド化する」などなど。まだ慣れていないせいか、分析は浅いが、今後の授業で徐々に深めていく予定である。

少し時間があったので、3グループを選び、プレゼンテーションをしてもらった。「問題点+解決策」を二つ選び、説明してもらうという形。300人の前で堂々とプレゼンしている様子を見て、「今の学生は度胸があるな」と感心した。

学生の感想としては「ディスカッションで自分とは違う視点を持つ意見が聞けた」「SWOT分析はすごく面白い」「メンバーが考えた問題点は似かよっていたが、解決策が異なっていたので面白かった」「これから話す力が高まるかもしれないと感じた」「いろいろな人と話せて楽しかった」「初めての授業で不安もあったけど、なんとか上手くやれたと思う」など。全体的に、学生は楽しんで授業を受けていたようだ。

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