goo

『グランド・ブタペスト・ホテル』(映画メモ)

『グランド・ブタペスト・ホテル』(2014年、ウェス・アンダーソン監督)

グランド・ブタペスト・ホテルを取り仕切るコンシェルジュ、グスタヴ(レイフ・ファインズ)と、ベルボーイを務める移民少年ゼロ(トニー・レボロリ)が織りなすコメディー。

お金持ちの得意客がなくなり、遺産相続を巡る抗争に巻き込まれるグスタヴとゼロ。

その窮地を救うのが、ヨーロッパの高級ホテルに勤務するコンシェルジュたち。

なぜか?

顧客に上質のサービスを提供するには、コンシェルジュ・ネットワークによる相互扶助が欠かせないのだ。

そのつながりの強さは半端ない。

本作を観て、実践コミュニティのパワーを再認識した。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『ミリオンダラー・ベイビー』(映画メモ)

『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年、クリント・イーストウッド監督)

舞台はロサンゼルスにある、うらびれたボクシングジム

教え上手ではあるが、慎重すぎる経営者兼トレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)のもとに、女子ボクサーのマギー(ヒラリー・スワンク)が入門する。

初めは指導を渋っていたフランキーだが、マギーの熱意に打たれ受け入れることに。

俺とやる気なら、俺のやることに口をはさまず、何も質問するな」「”なぜ?”と問わず、”ええフランキー”と言え

偉大な指導者から教えを受けるとき、これは結構大事なことである。

絶え間ぬ努力によりメキメキ実力をつけ、スター街道を走りだすマギー。

ところが、世界チャンピオンのタイトルマッチで悲劇が起こる・・・

この映画はラスト直前まで良かったのだが、ラストが「ハリウッド的」になってしまったのが残念。

イーストウッドが監督した『グラン・トリノ』のラストと似ている。

まあ、しょうがないか、と思った。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『愛の調べ』(映画メモ)

『愛の調べ』(1947年、クラレンス・ブラウン監督)

シューマン夫妻の愛を描いた映画。

夫が亡くなった後も、純愛を貫くベタなストーリーなのだが、感動してしまった。

人気ピアニストのクララ(キャサリーン・ヘップバーン)は、音楽教師の父親の反対を押し切り、父親の弟子であるシューマン(ポール・ヘンリード)と結婚する。

ちなみに、シューマンが作曲した「トロイメライ」が美しすぎる。

その後、若きブラームス(ロバート・ウォーカー)がシューマンに弟子入りし、クララに恋心を寄せる中、徐々にシューマンが心の病に侵されるようになったころから、状況が複雑に・・・

シューマンが死んだ後も、「彼を愛し続けているの。彼を感じるの」というクララの言葉にグッときた。

ちょっときれいすぎるストーリーなのだが、「そうあってほしい」と思われる映画である。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『燃えよドラゴン』(映画メモ)

『燃えよドラゴン』(1973年、ロバート・クローズ監督)

本作を観た後、『ドラゴン危機一髪』『ドラゴンへの道』も観たが、やはり『燃えよドラゴン』が一番よかった。

なぜなら、ブルース・リーの表情や動きが芸術的だから。

他の俳優にはない、独特のオーラがある。

武術トーナメントに参加したリー(ブルース・リー)、主催者である悪役ハン(シー・キエン)を倒すというシンプルなストーリー

『ドラゴン危機一髪』『ドラゴンへの道』で見せたコミカルな演技がなく、終始真剣だったのも、ブルース・リーの芸術性を高めている。

ちなみに、有名なセリフ「考えるな 感じろ (Don't think. Feel)」は、どうでもよい場面のセリフだったので少しがっかりした。

しかし、実質的に1971年から1973年までの数本の映画しか出演していないにもかかわらず、50年以上もインパクトをもたらし続けている、という点が凄い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『シンデレラマン』(映画メモ)

『シンデレラマン』(2005年、ロン・ハワード監督)

これは沁みる映画である(実話)。

舞台は大恐慌のアメリカ。ヘビー級の実力派ボクサーであるジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、期待されながらも、怪我の影響もあり引退同然状態になる。

しかし、不景気のせいで仕事もなく、電気も止められ、奥さんと三人の子供との生活はどん底である。

そんなとき、ドタキャンした選手の代わりに出た試合で相手をノックアウト。次の試合も決まったものの、相手は殺人パンチを持つ世界チャンピオン(実際に、試合で二人殺している)。

心配する奥さん(レニー・ゼルウィガー)は止めるが、ブラドックは試合を受ける。

まだ戦う力はあるんだ。リングでの苦しみなら耐えられる

このあたりのシーンにグッときた。名優ラッセル・クロウはもちろんのこと、奥さん役のレニー・ゼルウィガーの演技が光る(こんなに上手かったんだ)。

ここまで劇的ではなくとも、人生にはチャンスが到来する瞬間がある。

それをものにすることが大事である、ということが伝わってきた。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『素晴らしき、きのこの世界』(映画メモ)

『素晴らしき、きのこの世界』(2019年、ルイ・シュワルツバーグ監督)

これはすごい映画(ドキュメンタリー番組)である。なぜなら、モノの見方が変わるから。

すべての植物・動物を菌類ネットワークが支えていることがわかる。

ジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、キノコの幻覚成分は、神秘経験をもたらし、うつ病の改善や、がん患者の不安軽減に役立つという。この薬(シロシビン)を飲むと、どうなるのか?

壮大なネットワークの一部だという感覚がある。自然界の原子とのつながりをしっかり感じられるんだ」

「とてつもなく大きな力を感じたよ。無限の宇宙空間にいるかのようだった」

詳しいメカニズムはわかっていないようだが、菌類やキノコが持つ性質が影響していそうだ。

(ただし、ウェブサイトを見ると、かなり危険な薬物であり、一般人は手を出さない方がよさそうである。https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kenkou_anzen/stop/mash.html)

菌類やキノコのあり方が、私たち人間のあり方を教えてくれる。

私たちは独りではない
分子の巨大なネットワークエネルギー、波長なんだ
互いに関わりあう存在、それが私たちだ


この映画を観て、つながりの大切さを感じた。










コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『カモン カモン』(映画メモ)

『カモン カモン』(2021年、マイク・ミルズ監督)

2年前に公開された作品だが白黒の渋い映画である。

独身のラジオジャーナリストであるジョニー(ホアキン・フェニックス)は、妹の子供ジェシー(ウッディ・ノーマン)を預かることに。

このジェシーはかなり変わっているため、いつもお母さんを困らせているのだが、面倒をみることになったジョニーも振り回す。

しかし、普通とは違う感性を持つジェシーは、「なぜ独りぼっちなの?」といった鋭い質問をして、ジョニーが抱える問題を指摘する。

なお、アメリカの子供たちにインタビューするというジョニーの仕事が描かれながら物語が進行するという設定だが、これが深い。

「アメリカ社会」「大人の世界」「人生」について語る子供たちの声は哲学者のよう。

ジェシーも「起こると思うことは絶対起きない。考えもしないことが起きる」など哲学的なことを語る。

ちなみに、題名となっている「カモン カモン」は「先へ、先へ」(進むしかない)という意味らしい(ジェシーの語り)。

子供に限らず、どんな人も、それぞれの哲学を持っている、と思った。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『ノマドランド』(映画メモ)

『ノマドランド』(2021年、クロエ・ジャオ監督)

地味な社会派映画にもかかわらず、アカデミー賞をとっているめずらしい作品。

夫を亡くし、地域経済が崩壊して、トレーラー暮らしを始めたファーン(フランシス・マクドーマンド)。

自家用車を住まいとして、アマゾンの発送業務等をしながら、様々なところで稼ぎ、異動生活するノマド(遊牧民)である。

地元で代用教員もしていたファーンは、ショッピングセンターで元生徒と会った際に、「先生はホームレスになったの?」と聞かれて、「ハウスレスよ」と答える。

初めは、ホームレス的な感覚を持っていたファーンだが、徐々にノマド生活に誇りを感じる様子が伝わってきた。

よく考えると、人生そのものが「遊牧的」要素があるのかもしれないな、と感じた。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『わたしの叔父さん』(映画メモ)

『わたしの叔父さん』(2019年、フラレ・ピーダセン監督)

舞台はデンマークの農場。

14歳のときにお父さんが自殺してしまい(お母さんもいない)、足の悪い叔父さんの農場を助けるクリス(イェデ・スナゴー)は、ちょっと頑固な20代後半の女性。

叔父さんと朝食→酪農&農場で作業→叔父さんと夕食」を繰り返す毎日である。

そんな日々の中、(獣医学部に合格したにもかかわらず諦めたらしい)クリスが、酪農家を巡回する獣医のアシスタントをすることに。さらに、近隣農家の若者に誘われて、わくわく感が漂いだす。

果たしてクリスは、新しい道に踏み出すのか?

ラストは「そうきたか!」という落ちだったが、透明感のある映像と雰囲気が良かった。

改めて、人生はタイミングだな、と思った。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『テーラー』(映画メモ)


『テーラー』(2020年、ソニア・リザ・ケンターマン監督)

舞台はギリシャの首都アテネ。親父さんとともに高級スーツの仕立て屋を営むニコス(ディミトリ・イメロス)だが、不況のためか客が全く来ず、倒産の危機に陥る。

そこで考えたのが、屋台で紳士服を売るアイデアなのだが、買う人もおらず途方に暮れるニコス。しかし、ウエディングドレスを頼まれたことから商売が軌道に乗っていくという物語。

この映画のテーマは「アンラーニング」(時代遅れの考えや仕事の進め方を捨てて、時代にあったものに変えていく学習)である、と思った。

ニコスは、「店舗を止めて、屋台で売る」「スーツを止めて、ドレスを売る」という形で学び直しているからだ。

おまけに、「父からの指導から解放されて、自分自身で決める」という転換もあるところが奥深い。

ドレスづくりを手伝ってくれる近所の奥さんとの恋もあって、上質の映画に仕上がっている。

出だしはつまらなかったので途中で観るのをやめようかと思ったが、我慢して正解だった。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »