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ラーニング・ラボ

松尾睦のブログです。書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。

仕事を通した成長実感

2019年11月18日 | 組織・職場の学習
パーソル総研の「就業実態・成長意識調査2019」によれば、仕事内容への満足のスコアは、アジア太平洋地域14か国の中、日本が58.2%で最低であったという(平均81.0%)。

さらに、「仕事を通じて成長を実感できているか」という質問に対するスコアも、日本は60.2%と最低となっている(大半の国が80%以上)。

インターネット調査であることを差し引いたとしても、衝撃的な数字である。

仕事を通して成長を実感できる仕組み」の導入が必要だと思った。

出所:HITO REPORT vol.6 (2019年10月号)



心からの思いやりと関心

2019年11月08日 | 組織・職場の学習
ケース・ウェスタン・リザーブ大学のボヤティスらによると、自己変革を促すコーチングにおいて重要なことは「共鳴関係」を築くことであるという。具体的には、次のようなプロセスを踏むことになる。

1)「他者に対して心からの思いやりと関心を示す」。

2)「変わらなければならない」という義務ではなく、「変わりたい」という希望に集中して傾聴する。

3)本人の「長所、情熱、価値観」をテコにして、「なりたい自分」に近づけるようにサポートする。

「Will(やりたいこと)、Must(やらねばならないこと)、Can(できること)」のフレームを使うとすれば、相手の立場に立った上で、CanをテコにWillを実現することといえるだろう。

このとき、一番難しいのは「相手に対して心からの思いやりと関心を示す」ことだ。

逆に、こうした気持ちがあれば支援は自然と上手くいくような気がする。

出所:ダイヤモンド・ハーバードビジネス・レビュー2019年12月号, p. 130-137.




仕事の「面白さ」を体感させる

2019年09月27日 | 組織・職場の学習
東京すしアカデミーでは、最短2か月ですし職人を養成するという。普通は何年もかけて寿司屋で修行するわけだが、いったいどのような方式なのか?代表取締役の福江氏は言う。

重要なことは、手順を覚えて繰り返し練習すること

シンプルな答えである。まず「握り」から先に教える理由は何なのか?

ゴールが見えないままに基礎をやり続けるのでは、特に若者はモチベーションを維持できません。握れるようになると、自分の技能が明確に形になるから面白いのです」

同校の卒業生は挫折することも少ないらしい。なぜか?

「既に寿司を握ることの面白さを知っており、自分がなりたい職人像やキャリアステップもイメージできているからです」

握る面白さを知っている、という点が大事だと思った。まずその仕事の「面白さ」を体感させるような教え方が、結果的に人材成長につながるのだろう。

出所:Works No. 155, p. 22-23.


「こうありたい」が人をつくる

2019年09月02日 | 組織・職場の学習
日経の日曜版に漫画家の里中満智子さんが紹介されていたのだが、思いの強さに圧倒された。

知能指数が大阪トップクラスだった里中さんだが、漫画の魅力にとりつかれ、漫画家になることを自分の使命とする。

「マンガを描くには土台となる勉強が必要だ、人類が記したものは全て目を通さないと。「もうね、受験勉強なんかしてる場合じゃないんですよ」。高校時代のは楽に受かりそうな近所の公立に決め、図書館の本を読みつくした」という。

高校生で漫画家デビューを果たした里中さんだが、3年生になり受験が近づくと「しばらくマンガは休んで勉強したら」と勧められる。

「休むなんてとんでもない。仕事は一生だけど、学校は一生行かないでしょ」。すっぱりと中退を選んだ」らしい。

次の言葉がすごい。

「16を過ぎたら親や周りのせいにしてはいけない。生まれ持ったものより『こうありたい』と願う気持ちがその人をつくるんです

普通の人の場合、なかなか「こうありたい」というイメージが持てないケースが多い。しかし、「どうありたいのか?」を問い続けることは、自分のキャリアを形成する上で大事だと思った。

出所:日本経済新聞(2019.9.1)

教えすぎに注意

2019年06月20日 | 組織・職場の学習
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューを見ていたら、面白い記事を見つけた。

ある研究によれば、管理者によるコーチングには4タイプあるらしい。

①ティーチャー型
自分の専門分野についてのみ指導する専門職タイプ。
②常時オン型
継続的に、多種多様なスキルを高めようとするタイプ。
③コネクター型
自分の専門分野については教えるが、その他の分野については専門家を紹介するタイプ。
④チアリーダー型
部下に干渉せずに応援し、自主性を重んじるタイプ。

調査によると、常時オン型コーチングは部下に有害な影響を及ぼすことがあり、最も効果的だったのはコネクター型であったという。

要は、「教えすぎに注意」して、わからないことは「他人を紹介する」ことがポイントになるのだろう。

出所:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2019年4月号「「コネクター型マネジャー」は部下を育てるのがうまい」p. 4-8.






打倒トヨタ

2019年06月14日 | 組織・職場の学習
トヨタ生産方式のコンサルタントである若松義人氏は、著書の中で、次のように述べている。

「トヨタが新しい工場をつくるとき、工場の立ち上げに参加する人はもちろんこれまでの工場のノウハウは十分に活用するものの、内心では「打倒トヨタ」という気持ちを持っている。つまりこれまでのトヨタの工場になかったもの、もっといいものをつくるという気持ちだ。それが知恵を呼び、すばらしい工場を生むことになる」(p.194)

この考え方は個人の学びにおいても重要だ。

人はどうしても、自分のスタイルややり方を自己模倣(田澤耕『ガウディ伝』中公新書)しがちだからだ。

この自己模倣から脱却するには「それまでの自分を打倒する」ことがポイントになる、と思った。

出所:若松義人『トヨタ式「改善」の進め方』PHPビジネス新書






トヨタ式PDCAサイクル

2019年05月29日 | 組織・職場の学習
トヨタ生産方式におけるPDCAサイクルは、通常の4ステップ(プラン、ドゥ、チェック、アクション)に、

フォロー
標準化
評価


が加わり、上記の7ステップすべてに「考える」がつくという。

若松義人氏は言う。

「「標準のないところに改善はない」というのがトヨタ式の考え方だ。しっかりとした標準作業をつくることと、標準作業をもとに改善作業を進めていくことは、基本中の基本といえる」(p. 139-140)

「トヨタ式の標準作業は、生産現場で働く人たちが自分自身でつくる。そこに大きな特長がある。(中略)「標準作業は現場でつくる」これがトヨタ式であり、現場でつくるからこそ本当に使えるものができる」(p.142)

PDCAサイクルが回らないという声をよく聞くが、PDCAを機能させるには、こうした工夫が必要なのだろう。

出所:若松義人『トヨタ式「改善」の進め方』PHPビジネス新書


仕事の意味

2019年05月17日 | 組織・職場の学習
カリフォルニア大学バークレー校のハンセンとケルトナーによれば、仕事の意味は、8つの視点からとらえることができるという。

①自分ひとりの力を超える貢献
仕事を通じて、自分一人ではできない社会貢献ができる。

②学習
仕事は人に学びの機会を与え、可能性を広げる。

③達成
仕事によって、何かを成し遂げ、人に認めてもらうことができる。

④ステータス
ステータスの高い組織で働くことで、尊敬と承認を得ることができる。

⑤パワー
仕事を通じてパワーを獲得し、行使することができる。

⑥コミュニティへの帰属感
職場や会社を自分の居場所だと思うことができる。

⑦変化や影響の手ごたえ
自分の行動が何らかの変化や影響をもたらすという手ごたえを感じることができる。

⑧自律性
自由裁量がある場合、自分のやり方で仕事ができる。

以上8つの視点のうち、何を重視するかは人によって異なるだろう。マズローの欲求階層モデルのうち、「社会的欲求」は⑥、「自尊欲求」は③④⑤、「自己実現欲求」は①②⑦⑧に関係しそうだ。

意味の提供」こそが、組織の力であるように感じた。

出所:モルテン・ハンセン&ダッヒャー・ケルトナー(2019)「あなたは仕事に「意味」を感じているか」ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス2019年6月号, p. 90-92.




男職場に「5時まで編集長」

2019年04月23日 | 組織・職場の学習
今日の日経新聞を読んでいたら「男職場に「5時まで編集長」」というタイトルが飛び込んできた。

主婦向け女性誌『VERY』の編集長、今尾朝子さんは、出産後、夕方以降は会食やパーティを全て断り、子供最優先の生活を送っているという。

仕事が仕事だけに、「そんなことできるの?」と思ってしまったが、記事をよく読むと二つのことに気づいた。

第1に、集中して仕事をしていること。会社では「椅子に座る時間もない」という。

第2に、企画力で勝負していること。雑誌のターゲットを、「裕福な専業主婦の奥様」から「かっこいいママ」「働くママ」に変更している。

働く時間は限られていても、「集中し」「戦略を持って」仕事をすれば成果が上がる、といえるだろう。

出所:日本経済新聞2019年4月23日号