箕面市の学校栄養士は、月1回程度、給食に野菜を納入してくださる農家さんの畑をたずねて、いろいろなお話をうかがっています。
9月上じゅん、石丸地区にある農家さんの田畑を訪問しました。
畑には、黒豆(黒大豆)、なす、さといも、とうがらし、すいか、かぼちゃなどたくさんの種類の野菜や果物が育っていました。
さて、たくさんしげった葉の中にかくれているのは何でしょう?
かぼちゃです!
葉っぱが夏の光をあびて、たっぷり栄養をたくわえ、これからかぼちゃが熟していきます。
もうひとつ、かくれているのは・・・?
すいかが大きく育っていました。
すいかの収かくは、花がさいて、受粉してから約40日ほどたったころだそうです。
そのため、花がさいた後、実がふくらみ始めた時期を記録しておくそうですよ。
〈さといも〉
大きな葉っぱの下で、さといもがたくさん育っていました。
月の満ち欠けを元に日付を決めていた旧暦(きゅうれき)の8月15日を「十五夜」と言い、日本では昔からお月見をして、秋の実りに感謝する日でした。
旧れきと、「新暦(しんれき)」と呼ばれる現在使われているこよみとは1ヶ月程度のずれがあり、新れきに直すと毎年9月中じゅんから下じゅんに十五夜をむかえます。
十五夜の月を「中秋の名月」と言いますが、ちょうどさといもが収かくできるころなので「いも名月」とも呼ばれます。
「あともう少しで収かくなので楽しみです」とおっしゃっていました。
〈黒豆(黒大豆)〉
6月ごろに植えた黒豆(黒大豆)が、たくさんの葉をつけてしげっていました。
黒豆(黒大豆)ってどんな豆かわかりますか?
そう、おせち料理で食べる、あの黒くてあまい豆です。
(出典:農林水産省ホームページ)
小さな花がさいているのがわかりますか?
枝が分かれたところに、小さなむらさき色の花がさき、そこに実ができます。
花がさいている時はたくさんの水が必要なので、「マルチ」という黒いシートをひいて、畑から水分が蒸発するのを防ぐそうです。
今年の夏は暑くて大変だったとか。
緑色のさやの中で実が大きく育ってきて、10月から11月ごろのまだ若い豆が「えだまめ」です。
さきほど出てきた旧れきの9月13日の夜を「十三夜」と言います。
十五夜から約1ヶ月後、新れきに直すと毎年10月中じゅんから下じゅんのころになります。
ちょうどえだまめやくりを収かくするころなので、十三夜の月のことを別名「豆名月」や「くり名月」というのだそうです。
冬になり、葉やさやが茶色くかれると、豆は熟して黒く固くなり、いよいよ黒豆としての収かくの時期をむかえます。
どれだけおいしくても、えだまめとして先にたくさん食べてしまうと黒豆の収かく量が少なくなってしまうので、ちゃんと黒豆として収かくする分は残しておいた上で、えだまめとして食べるそうですよ。
〈米(れんげ米)〉
田んぼには、一面緑色のいね!
緑色のいなほの中に、白い点々のようなものが見えますか?
いねの花がさいています。
アップにすると、こんな花です。
(出典:中国四国農政局ホームページ)
花がさいた後、いなほが少しずつふくらんでいます。
さて、これは、この田んぼの春の景色です。
田んぼがピンク色ですね。
このピンク色は、田んぼ一面に植えられた「れんげ」の花です。
なぜ田んぼにれんげを植えるのか、というと・・・。
なんと、米を収かくした後の田んぼにれんげを植えることで、れんげを肥料として活用し、土を元気にすることができるんですって!
米を収かくした後の田んぼに、今回訪問した農家さんもいらっしゃる「石丸れんげ同好会」のかたが、れんげの種をまくことから米作りが始まります。
れんげの種をまく時期の気温も大切で、気温が20℃以上のタイミングでないと、れんげの芽がうまく出ないのだそうです。
4月中じゅんにれんげの花が満開になり、4月末には「石丸れんげまつり」が開さいされます。
5月の連休が明けたころ、れんげの種ができる前に、トラクターでれんげごと田んぼを耕して、れんげを土の中に混ぜこんでしまいます。
田んぼを耕す時に、熟した種がはじけて土に混ざることで、ちっ素という栄養素が土の中にが取りこまれます。
これが自然の肥料になり、できるだけ化学肥料を使わずに育てることができるのです。
れんげを肥料に使って育てた米なので「れんげ米」と呼んでいるそうです。
春のれんげがさいた田んぼは美しく、近くの小学校の児童が毎年「れんげつみ」をさせていただいています。
きれいなだけでなく、いねの栄養になるなんて、とてもすてきですね。
ちなみに、れんげを田んぼに植えておられる農家さんは、石丸地区以外にもいらっしゃいます。
春に一面れんげがさいた田んぼがないか、さがしてみてくださいね。
訪問した9月上じゅんは、米不足がニュースになり、お店でもお米が全然売っていませんでした。
「お米が足りなくなるのでは!?」と心配していた真っ最中だったので、田んぼにお米が実っている景色をみて、とても安心しました。
「秋になればお米が実る」ということが、とてもとても幸せなことだと感じました。
「米」という漢字を分解すると「八十八」。
米作りには「八十八」もの手間がかかると言われています。
私たちが毎日お米をおいしく食べられるのは、農家さんが1年かけて、大切にお米を育ててくださっているからこそです。
野菜や果物を食べられるのも、農家さんが暑い夏も、寒い冬も、手間ひまかけて育ててくださっているからこそ。
感謝して、残さずいただきたいと心から思います。
ありがとうございます。