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中国の社会保障政策が頻繁に変更され、昨年10月から外国人も社会保険法の対象となった。

2015-12-26 | 世界の変化はすすむ

中国の社会保障について

2012年2月23日

  • 大和総研(上海)諮詢有限公司 張雋
 一人っ子政策を実施して以来、すでに30年以上経って、中国の人口もピークを迎えつつある。この先、団塊世代の退職に伴って、世界最大の高齢社 会国になるともいわれる。更に、開国政策によって、中国での就業、定住する外国人が年々増えている。社会保障も、ここ数年、加入条件の変更や、外国人の加 入など、中国の社会保障政策が頻繁に変更され、昨年10月から外国人も社会保険法の対象となった。日系企業にとって、特に気になるのは外国人の社会保障の 加入であるが、現在のところ、北京市を含めた一部の都市でのみ外国人の社会保険加入について整備が進んでおり、今後、全域まで拡大する見込みだ。

さて、中国の社会保障にどんなものが含まれるか、具体的にどんなものなのか、日本の社会保障と比較して、その相違点がどこにあるのか?

中 国の社会保障は主に養老保険(年金)、医療保険(公的医療保険)、失業保険(雇用保険)、工傷保険(労災保険)、生育保険(育児保険)の五つから構成され る。日本の社会保険と比較すると、育児保険が医療保険から分離されているのと、介護保険が盛り込まれてないのが特徴だ。更に、サラリーマンを対象とする企 業参加、フリーター、自営業などを対象とする個人参加に大別され、外国人駐在員は企業参加に当たるという。なお、社会保障に加入する外国人でも、諸条件 (加入年数など)をクリアすれば、中国国民と同等の社会保障を受け取れる。更に、保険料は、地方自治体によって異なるが、本稿では上海を一例として、紹介 する。


【養老保険】
すでに周知の通り、日本の年金は2階建て構造で、ベースの一階部分は国民基礎年金であり、サラリーマンや公務員などを対象となる厚生年金・共済年金はその2階にある。

一方、中国の年金は地方自治体に統括管理されるため、保険料算定基準や保険料率などが異なる場合がある。まず、保険料率について、上海市の場合、企業参加は個人負担分が保険料算定基準(※1)の8%で、企業負担分が保険料算定基準の22%となる。一方、自営業やフリーターなどの明確に所得のない者は、所在市、自治体の平均給与の30%となり、全額自己負担である。

受給要件は加入期間が15年である。加入期間が15年に満たない場合、加入期間15年間まで保険料を継続して支払うという。

ま た、受け取るに当たっては、国籍を問わず、男性は一律60歳から、女性は50歳から(女性管理職は55歳から)である。また、外国人の場合、加入期間が継 続してなくても、合算期間が15年に達すれば、受給できる。ただし、外国人が受給する際に、一年に一度生存証明書の提出が義務つけられるという。

(※1)保険料算定基準は上限(平均給与の300%となる)と下限(平均給与の60%となる)があり、被保険者の前年度の給与が上下限を超えない場合、給与となる。超える場合、その上下限となる。
健康保険、失業保険、労災保険、生育保険の保険料計算においても共通である。


【健康保険】
日本の公的医療保険は健康保険と、国民健康保険に大別され、健康保険もまた、その保険者によって、全国健康保険協会管掌(協会けんぽ)と組合管掌とに分けることができる。

一 方、中国の公的医療保険は年金と似たような仕組みを採用している。保険料について、企業参加の場合(上海基準)、個人負担部分が保険料算定基準(年金の保 険料算定基準と同様)の2%、企業負担部分が保険料算定基準(年金の保険料算定基準と同様)の12%で、個人負担部分の全額、企業負担部分の一部を医療口 座に積み立てるという。更に、日本が生涯保険料を支払い続けるのに対して、中国は定年までで、支払い完了となり、生涯公的医療保険を享受できるという。

健康保険の給付についても、日本は原則として3割を自己負担するのに対して、中国の場合、1年毎にカウントし、まず、医療口座の積立金を取り崩したあと、超過分を1500元まで自己負担し、なおも超過した場合、超過した医療費の自己負担が5割(※2)となる。また、日本には、後期高齢者医療制度があるが、中国にはこのような制度が設けられてないという。

(※2)就職時期によって異なる。


【失業保険】
失 業(雇用)保険は、労働者が失業した場合に保険給付を行うものである。この点においては、日本も中国も同様だが、保険料率について、日本の場合、仕事の種 類によって異なるのに対して、中国(上海)は一律、保険料算定基準(年金の保険料算定基準と同様)の2.7%で、企業負担が1.7%、個人負担が1%であ る。


【労災保険】
労災保険は業務上の事由または通勤災害による労働者の負傷、疾病、障害、または死亡に対 して保険給付が行われるものである。この点において、日本も中国も同様だ。中でも、通勤上の災害も労災保険対象と認定される。保険料について、中国の場 合、基本的に保険料算定基準(年金の保険料算定基準と同様)の0.5%で全額企業負担だが、仕事の危険度によって、最大3%までである。


【生育保険】
生育保険は中国独特の社会保障保険である。出産一時金などが含まれている。日本では、生育保険がないものの、出産に関する保障が健康保険に含まれている。


図表 中国(上海市)、日本(東京都)の社会保障
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中国労働法と日本労働法との違い、ちょっと調べてみました。

2015-12-26 | 東アジアの文化と歴史を学ぶ会
中国労働法と日本労働法との違い

 
 
 中国では、1995年1月1日から中華人民共和国労働法が施行されており、基本的には 日本の労働法(正確には、日本には労働法という名称の法律はないので、労働基準法、 労働関係調整法、労働組合法などのことです)とあまり変わらないようですが、下記のよ うな相違点もあります。また、日本では法制度の内容は全国どこでもほぼ同一ですが、 中国では省が国のようなもので、法制度が地域ごとに異なるのも中国の特徴です。
 
1.労働時間の基準
 日本の労働基準法とほぼ同じ内容で、労働時間は1日8時間以内、週平均44時間以内 (現実には多くの地域で条例などにより週40時間以内)、休日は週1日以上、1年以上勤 務した労働者には年次休暇を与える(現実にはまだ実施されていない地域が多い)となっています。
第36条 国家は労働者の1日の労働時間が8時間を越えず、週平均労働時間が44時間を越えない労働時間制度を実施する。
第38条 使用者は労働者に毎週少なくとも1日の休日を保障しなければならない。
第45条 国家は年次休暇制度を実施する。連続して1年以上勤務した労働者は年次有給休暇をとることができる。具体的な規則は国務院が制定する。
2.試用期間の具体的規定
 日本の労働基準法では、試用期間を直接的には規定していませんが、中国の労働法では、直接規定しています。
第21条 労働契約には試用期間を定めることができる。試用期間は最長6ヶ月を超えてはならない。
 実際には、地区ごとに条例などで細かく規定されているようです。
 例)上海市労働契約条例 第13条
   労働契約では、試用期間を約定することができる。
   労働契約が6ヶ月に満たない場合は試用期間を設けてはならない。
   労働契約が6ヶ月以上で1年に満たない場合、試用期間は最長1ヶ月を超えてはな らない。
   労働契約が満1年以上で3年に満たない場合、試用期間は最長3ヶ月を超えては ならない。
   労働契約が満3年以上の場合、試用期間は最長6ヶ月を超えてはならない。
3.労働契約の期間
 日本では期間を定めない労働契約(正社員)が原則ですが、中国では期間の定めがある労働契約が原則です。同じ使用者のもとで10年間勤務した場合には期間の定めのない契約への転化を求めることができるとなっています。
第20条 労働契約の期間は、期間の定めのあるもの、期間の定めのないもの、一定業務完成期間のものに分けられるものとする。労働者が同一の使用者のもとで勤続満10年以上に達し、かつ当事者双方が契約の延長に同意した場合に、労働者が期間の定めのない労働契約を締結することを提示した場合には、期間の定めのない労働契約を締結しなければならない。
4.時間外労働時間数の規定
 日本の労働基準法では、時間は定められていません(通達による限度時間はあります)が、中国の労働法は具体的に時間を定めています。
第41条 使用者は、生産経営の必要により、労働組合及び労働者と協議した上で、労働時間を延長することができる。この場合、通常1日1時間を越えてはならない。特殊な理由により労働時間を延長する必要がある場合には、労働者の健康を保障する条件の下で、1日3時間を越えない範囲で延長することができる。但し、1ヶ月当たり36時間を越えてはならない。
5.時間外労働、休日労働の割増賃金額
 日本の法律では、時間外割増25%以上、休日割増35%以上となっていますが、中国の時間外手当等は、日本に比べて非常に高くなっています。(3)の法定休暇日とは、元旦、春節、メーデー、国慶節など法律で定めた休暇・祭日のことです。
第44条 下記のいずれかに該当する場合には、使用者は下記の支払基準に従い、労働者の通常の時間給を上回る報酬を支給しなければならない。
   (1)労働者に勤務時間を延長させる場合、賃金の150%を下らない報酬を支給する。
   (2)休日に勤務させ、代休を与えることができなかった場合、賃金報酬の200%を 下らない報酬を支給する。
   (3)法定休暇日に労働者を勤務させた場合、賃金の300%を下回らない報酬を支給する。
6.秘密保持契約の規定
 日本の労働基準法には秘密保持契約についての規定はありませんが、中国では転職に違和感がないので、労働法に、使用者は労働者に対して秘密保持契約を定めることができるという規定があります。中国では、法律にこうした規定がある以上、きちんと契約に盛り込まないと、労働者の秘密保持義務を追及できなくなります。
 中国の労働者の意識は日本人よりも欧米人に近いようで、個人主義的で企業への忠誠心は低く、権利意識が強いという意識の違いがあるようですので、秘密保持契約もしっかりと結ばないといけませんし、労働契約には試用期間、職責・職務などを明瞭に記載し
なければなりません。
第22条 労働契約の当事者は、労働契約の中に、使用者の業務上の秘密の保護に関する事項を約定することができる。
7.社会保険制度 
 すべての企業と労働者は社会保険に加入し、労働契約には必ず法定の社会保険及び福利厚生事項を明記しなければなりません。法定の社会保険には、養老保険、医療保険、労災保険、失業保険(農民戸籍者は免除)、出産保険、(地区により住宅積立金)があり、保険料は日本よりずっと高く会社負担分は給料の約50%にもなります。
第73条 労働者は、下記のいずれかに該当するときは法に従い社会保険の給付を受ける。
   (1)定年退職
   (2)疾病、負傷
   (3)業務上の負傷、障害又は職業性疾病
   (4)失業
   (5)出産
8.出産休暇
 日本の労働基準法では、出産休暇は産前42日・産後56日となっていますが、中国の労働法では、出産休暇は90日以上となっています。難産の場合は15日、高齢出産の場合は44日加算するなど各地で補充規定が設けられています。その他、晩婚政策、一人っ子政策を補助するための細かい制度などもあるようです。
第62条 女性労働者は、出産に当たり少なくとも90日の休暇をとることができる。
 
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