柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

切ないこと

2007-06-25 08:42:48 | Weblog
「選挙」というタイトルそのままのドキュメンタリー映画を広島まで行って見ました。メジャー配給会社のものではありませんから、裏通りに隠れるようにひっそりと立つ小さな映画館で見ました。雰囲気があってとてもよかったです。川崎市議補欠選挙に出馬した自民党公認の落下傘候補の選挙戦そのまんまです。4年前の出来事で且つ当の本人が次の選挙に立候補しなかったという環境が整っての公開となったのでしょうが、時の彼の地の県議、国会議員、市議やら自民党員、役員達がそのまま映っています。この人達の承諾あらばこその公開でもあったのでしょうねと思うと、まぁせんないことじゃったろうのう(面倒なことであっただろう)と感慨もひとしおです、見ている側も。選挙のプロに囲まれて、言いなりになるしかなく、声張り上げてお辞儀して握手して走って。落下傘ですから住む家も仮のもの(カメラはそこまで入り込んでいきます、下手な男学生の下宿よりも雑然未整理未整頓状態、女房と二人住まいです)、夫婦二人になって家に帰る途中の車中でも名前を大書きしたたすきを外しません、そこで女房があれこれ噛みつく不満をぶつける、当の本人は聞き流すしかないわけです、本人も言いなりになるしかない立場ですから。なんとも切ないことです。選挙戦初日に儀式です、たすきは奥さんが掛けるんですね、そして当選の暁にまた奥さんが外す。はぁなるほど、ということはその間は何があっても外すなという謎ですね、車の中でも外さない不自然の理由がわかったようでした。それもこれも選挙のプロ達の助言(という名の強制強要)に沿うものです。奥さんは「家内」です、妻では響きが悪いしお高く止まっているような印象だと。何々の家内でございます!と叫ぶわけですね。家内におを付けるとおっかないで 面白いし、ですって。へぇ~大変。幼稚園の運動会、地元老人会の運動会ではずっと笑顔で一緒にスーツネクタイたすき姿のままに体操して、祭ではへっぴり腰で御輿を担いで。切ない。まことに切ない。何を思い出したかというと、自分の開業当初のことです。私も全くの初めてのこと、親は別の仕事でしたから何も知らない、そこにつけ込んで(本人達はそんな気はなかったにせよです)ああしろ、あれはいけない、あいつを使え、あいつは評判が悪い、こんな無駄していたんでは長続きせんぞ、こんなことじゃぁすぐに潰れる、お前が先か医院が先か・・言われましたねぇ、まざまざと思い出してイヤーな気分でした。初心者を取り巻くその道の「プロ」達。今から思えば、あの時の助言の何一つ当たってなかったですからね、どの業界もそうなんでしょうけれど。きっと連中が正しいと思い込んでいるやり方以外にもスマートなやり方がある筈なんですけどね。でも、この映画のように既存の組織に恃んでしまうと呑まれますわね、これは仕方ないこと。だから余計に切ないというわけだったんでしょう。ううむ、何だか反骨反発心が湧いてきたような、そんな気分でもありました。
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