柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

能力

2024-05-03 09:43:24 | Weblog

藤井叡王二連敗。藤井八冠敗れ初のカド番に。結構大きな見出しです。8冠の一つ叡王戦です、5番勝負3つ先にとれば勝ちです。まだ負けたわけじゃないのですが(1勝2敗)、この騒ぎです。それだけ彼はいままで圧勝してきたのでした、7番勝負なら4‐0とか精々4‐2で、5番勝負なら精々3-1で常に先に王手をかけてのすんなり勝ち。だから話題になるのもむべなるかななのですが、そんなに言う?です。8つもタイトル持ってれば次々にタイトルマッチです。そりゃそんな時もありましょうよなのですが、今までが今までですから。羽生さんが7冠制覇してたのは短期間だった(すぐにどれかを奪われて)のもよく知られた事実ですが、怪物藤井聡太はそうはならぬだろうという期待感でもあります。トップ張る人の宿命有名税というやつでしょうが、気の毒に思います。めんどくせぇ。本人絶対言わないでしょうが。

 大リーグ今永、調子いいことです。今季渡った中では山本ばかりに注目が行ってその分気楽だったということもあるのでしょうが、開幕5連勝だとかで。これはダルビッシュを越え、石井とマー君の記録6に迫るのだそうです。野茂も松坂もこうは行かなかったということです。渡った甲斐があったですねぇ、この世界全ては結果でしょうから。で、藤浪はどこ行ったんだ?

 ピアニストのフジコ・ヘミングウエイさんの死亡報道です、92歳。混血児(こういう表記自体が今時叱られますね)としての差別迫害を受けて育った来歴、この人の特集モノを何度かTVで観ましたが、やはり腕があればこその世界です。間違えなく楽譜通りに音を出すという前提に音色の良さがどれだけ乗るかです。誰もが彼女は音が違うと言います。この人の代名詞のリストのラ・カンパネラが常に映像に流れますが、でも感心するにはあの歳でよくぞ上記の前提、間違えずにきちんと音が出せるなと。あのホロビッツが晩年に日本だかで演奏している映像を覚えてますが、ミスタッチの多いのは素人耳にも明らかでした。その点彼女はきれいに音が出てる。昔のインタビュー映像に、ピアノ弾きには私のような太い指がいいのよ、白魚のような美しい女の指じゃいい音は出ないのよと言い放つのがありましたが、そういう自負ですね。楽器は全てそうなのでしょうが、きれいな音を出す出せぬの差は技術的に修正できる代物ではなく、これぞ持って生まれた才能だと実感します。ピアノを弾くのではなく叩いて喜んでいる身には、このレベルは見上げても見えない高見です。演者の出す音の違いを楽しむ。先に亡くなった小澤征爾さんにも敷衍できることです。人の能力は平等公平皆同等ではないですよ決して。この考え方(ルール)が極めて人為的政治的便宜的なものであるとこういう時につくづく感じます。合掌。

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