暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

十五世市村羽左衛門追憶 うずまき茶碗

2010年06月17日 | 茶道具
7-fukujinさんから頂いたコメントはとても興味深いものでした。
一部を改めて紹介させて頂きます。

 
十五世市村羽左衛門追憶 渦茶碗 神奈川焼 井上良斎」ですが、
素晴しい物を入手されましたね。
ちなみに羽左衛門は「根付き橘」が定紋ですが、「渦巻き」は替紋です。
井上良斎さんはそれを茶碗に表したのでしょうね。
  (中略)
羽左の情報を見ると嬉しくなってしまい、コメントせずに
いられなくなってしまい書き込みました。
できればその「十五世市村羽左衛門追憶 渦茶碗」の写真を
拝見したいのですが、アップすることは可能でしょうか。
是非見て見たいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
                                     

ご要望に応えようと、久し振りに箱を開けました。
前回使ったのは、確か?三渓園・春草廬の有楽茶会だったと思います。
「しまいっ放しにして ごめんね・・」
久々の対面で「花の橘屋 十五世市村羽左衛門」に遇えた心地です。
だから、とても嬉しいご要望でした。


              
              

薄手で繊細な感じがする上品な茶碗です。
薄茶の茶碗ですので、薄茶を点ててお出しすると
最初は茶だまりに描かれた巴の渦が見えませんが
味わいながら茶を呑むに従い、手の中で見えてくるという趣向です。
2つに割れた高台も特徴的で、高台内に「良斎」と彫られています。

「渦巻き」が橘屋の替紋と知って、井上良斎は橘屋の大ファンだった・・
と、ますます確信しました。
箱書を読むと、「うずまき茶盌」と書かれていました(訂正です)。

神奈川焼・井上良斎の想いが偲ばれる「うずまき茶盌」と、
横浜開港150周年を祝う茶事でご縁があった喜びを
改めてかみしめています。
1年前の6月14日が第1回目の茶事の日でした。

              

ところで、鶴見の総持寺と豊島区雑司が谷墓地と、
どうして十五世市村羽左衛門のお墓が二つあるのでしょうか?
雑司が谷の墓は、羽左衛門の相方だった六世尾上梅幸の墓と
仲良く並んでいるそうですが、供養墓でしょうか?
いつか、お参りしたいです。
               
                        梅雨の合間の 

茶筅荘

2010年06月15日 | 稽古忘備録
荘もの、特に茶筅荘(ちゃせんかざり)を是非・・
と先生にお願いしました。

「次回の稽古は荘ものの総ざらいをしましょう」
 (陰の声・・・ワーイ! 荘もの大会ですね!)
「茶筅荘は水指を用意しますから、拝見を所望してください」

先日の稽古でKさんが初炭、茶杓荘、茶入荘を
私は茶筅荘と茶碗荘をご指導頂きました。

茶筅荘の場合、前席(待合)の床に何も荘られていないので
席入りして初めて茶筅荘ということに気がつきます。
茶筅荘は、水指や風炉先に由緒がある場合の点前ですが、
先生のお話では棗に由緒のある場合も茶筅荘があるそうで、
その時は茶碗に古袱紗を入れ、棗を上に入れて水指前に置きます。

茶筅荘の水指は三島の芋頭でした。
おおらかで端正な形の水指は上品な落ち着きがありました。
水指の上に、茶杓、茶巾に茶筅をのせて荘り、
水指前に茶入を入れた茶碗を置きました。

              

柄杓を引いて総礼のあとに、正客から
「茶筅荘のようでございますが・・・」
「茶名を拝受した折に恩師より頂きました水指を
 使わせて頂きました。 
 静嘉堂文庫にあります高麗三島・水指の写しで
 韓国の人間国宝・申相浩(しんそうこく)の作でございます」
「お形は芋頭でしょうか?」
「さようでございます」
「おおらかでいて、気品を感じる水指でございますねぇ・・」
 
・・というような問答の後、点前を続けました。
茶入、茶杓、仕覆を拝見にだし、拝見物の問答のあとに
正客より
「どうぞ水指の拝見をお願いいたします」
と、拝見の所望がありました。

茶入など拝見物を持って水屋へ下がり、
水指の水を空けて拭き清め、
白布(さらし)に載せて正客前に持ち出しました。
一膝下がって一礼して茶道口に下がり控えています。

正客は白布からはずし、水指を縦に少し寝かせて
茶壷を転がすように拝見し、白布に載せて次客へ送ります。
道具畳へ戻された水指を水屋へ引き、
茶道口で一礼して終わりました。

茶筅荘、いいですねぇ~!
荘もの、茶事に取り入れたいと思ったことでした。
問題は拝見にお出しできるお道具でしょうか・・(しゅん)

                              

    写真は、「我家の名残りの薔薇」と「紅額(べにがく)」です。

再び清川村・別所の湯へ

2010年06月12日 | 閑話休題
私の茶事で布絵を作ってくださった親友のMさんが
静岡県にある本宅(?)へ引っ越す事になりました。

「荷造りがほぼ完了したので 横浜でお食事でも・・」
と、お誘いの電話をいただきました。
でも、ここのところ忙しくエネルギー不足で都会へ足が向きません。

清川村の別所の湯でのんびりしない?」
そこは、とても静かな山のいで湯で、久しぶりに二人で
行ってみたい・・と思いました。

6月3日、神奈川県清川村・別所の湯へ向いました。
厚木市へ入ると田植えのまっ最中です。
早苗が青々と気持ちよい田園地帯を風に吹かれて走りました。

厚木市飯山観音に近い山野草の店に寄ると、
クマガイ草、アツモリ草が来年に備えて栽培中です。
高価なので山野草はあきらめ、取れたての野菜を買い込み、
親友は落花生の種を買いました。

相模川では6月1日が鮎釣りの解禁日です。
腰まで浸かって釣り糸をたらしている太公望たちを横目で見ながら
中津川上流にある宮が瀬ダムへドライブし、
風流な鮎料理のお店でランチです。
今年初めて賞味した鮎の塩焼きは味も香りも大きさも期待通りでした。

                     

あちこち寄りながら、やっと別所の湯へ着きました。
「あらっ、貸切りかしら?」
と思いましたが、あとからお二人いらっしゃいました。
露天風呂へゆっくり入り、勇気をだして水風呂へ2回も・・。
「この冷たさが最高!」

風呂のあとは48畳の広間をほぼ貸切でおしゃべりです。
更紗や仕覆の本を持っていったので古布の話に花が咲きました。
布絵制作で様々な布に触れ、布の個性を知り尽くしているMさんは
「着物地、それも古布を使うと布絵の味わいが違う」と言います。
「日本の着物(古布)の良さを生かして仕覆を作りたい」と私。

使い方や思いは違いますが、古布が新しい共通課題になりそうです。
近作の布絵を持参してくださったので、それらを鑑賞しながら
静岡へ行ったら是非個展をするように勧めています。

翌日、メールが届きました。
「木々の緑爽やかな中、宮が瀬ダム、別所の湯と有難うございました。
 あなたと近くにいることも最後かな・・と思いながらの1日でした・・」
 (涙・・・ホント、淋しくなるわ)

                           

窯元めぐり

2010年06月09日 | 2010年の旅
九州の旅途中で有田、伊万里、唐津の窯元を見て歩きしました。
或る茶事でHさんとNさんから窯元めぐりのお話を伺って以来、
いつか行ってみたい・・と憧れていました。

有田陶器市のまっ最中だったので、駐車場完備の有田陶磁の里プラザへ直行し、
近くのしん窯とお薦めの源右衛門窯を覘きました。
伊万里では秘窯の里といわれる大川内山(おおかわちやま)を歩き回り、
唐津では中里太郎右衛門窯、あや窯(中里文翆さん)、
鏡山窯(井上東也さん)へ寄りました。

「もう来ること無いかも知れないし、旅の記念になるから・・・」
と、言い訳しながら買い込んで来ました。

最初のお出合いは有田陶器市のコーヒーカップです(写真2)。
外側は青磁色、内側は白磁に呉須で椿が描かれていて、
落ち着いた雰囲気が気に入って求めました。
見切り品(?)のワゴンで白い器をお買い上げです。
十字架に見立ててクリスマスの茶事にどうかしら?

             
                    
             
上の写真3は、大川内山・文三窯(写真1)で求めた色鍋島の蓋物です。
白磁に書かれた絵と青、赤、緑、黄の色彩がすっきりと美しく
気に入りました。絵柄を合わせるのが難しい一品です。
これも早く懐石に使いたいと眺めるたびにワクワクしています。

折角のチャンスなので、それぞれお気に入りのコーヒーカップを
探すことにしました。
古典的な絵柄の伊万里焼(写真4)は主人が大川内山・富永窯にて、
絵唐津(写真5)は私用で、唐津焼・鏡山窯でご縁があり、求めたものです。

             
             

他にもお土産などあれやこれや・・・。
行きはガラガラのスーツケースが帰りはギッシリになりました。
改めて取り出して見ると、一品一品その時の情景やら
お店の人との会話が思い出されて、旅の空が懐かしいです。

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壺荘(つぼかざり)

2010年06月07日 | 稽古忘備録
先日のお稽古は壺荘、盆点、包帠紗でした。

床に「薫風自南来」の軸と壺が荘られていました。
「今日は最初に茶壺の紐結びをやりましょう」
(・・先生、なんか張り切っています)

3年前、或る茶事の会で
「口切の茶事」の水屋担当になりそうだったので(実際は正客だった・・)
1ヶ月ほど紐結びを練習しました。

壺がないので、代りに梅酒の瓶にタオルをかぶせ、
赤い紐はホームセンターで買ったものです。
ビニール製なのでくせが強く、すぐにねじれてしまいます。
それでも手が覚え込むまで根気よく続けました。
でも、梅酒の瓶には耳がないので真の結びはともかく、
行と草の結びは消化不良のままでした。

久しぶりに本物の壺と紐を使って紐結びでした。
とても嬉しかったです!
ねじれないコツも教えて頂きました。
「壺荘付花月では薄茶を点てている間に(通常三服)
 紐を結ばなくてはならないので7分位をめざしてください」

そういえば、前回の壺荘付花月「折据おまわしを」で月を引かずに
「ほっ!」としたことを思い出しました。
紐が結び終わらない時は、正客が判断して三服目に隅掛けとしないで
四服点てにするように・・と、ご指導頂いたことも。

「茶壺」が欲しくなって、帰りにリサイクルショップへ寄ってみました。
すると、奥の方に「茶壺」が鎮座しているではありませんか。
時季ではないせいか値段も求めやすく、購入を決めました。

家に帰ってから早速、壺と紐を箱から取り出してみると
新しいまま使われていない丹波焼の良い壺です。
小振りですが、釉薬のなだれも品よく味わいがあり、ラッキーでした。
「ようこそ我家へ。末長くヨロシクね」

茶壺が来たから今年こそ「口切の茶事」をしようかしら?

                                   

   写真は、「最初の壺荘」です。記念に撮りました。