暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

きりりと夏衣

2010年06月22日 | 稽古忘備録
   堂守の老女きりりと夏衣

四国遍路の折、第5番札所地蔵寺で詠んだ句です。
五月初旬、五百羅漢堂で九十歳前後の品の良いご婦人が
夏衣を着てらして、清々しくも気合を感じました。

涼しげに夏衣を着こなしたい・・と思いますが、
五月から六月にかけてどんな着物や帯を着たらよいか?
大変悩ましい時期です。

六月半ばに正式な装いで出席する茶会があり、
無地紋付の単衣(ひとえ)に合わせる帯で大いに悩みました。
袷用の袋帯、紗袋帯、平絽の名古屋帯、絽綴れの名古屋帯・・?
ぴったりのが今一つありません。
二本用意してその日の気候で決めようかしら?

「きものに強くなる」(世界文化社)本を広げてみました。
夏のフォーマル・セミフォーマルの項に
「単衣の時期に単衣の衣装がないときは、六月は盛夏のものを、
 九月は袷を着ると落ち着きます・・」
さらに
「・・着物のお洒落は季節に少し先駆けるのがよいとされ、
 その一例が夏の帯に描かれる秋草です・・」

ムムッ!なるほど・・
やっと秋草模様が織り込まれた紗袋帯に決めました。
ところが当日は4月下旬の気温だったので、急遽袷の袋帯に変更しました。

                

茶友のIさんから貴重なアドバイスを頂きました。
「引次の茶事など真の点前がある場合は、紋入りの無地の着物、
 できたら袋帯、そして白の帯締めが正式です。
 昔(?)は、真のお稽古は全員白の帯締めでいったものです・・
 師よりへりくだるという意味で、扇子は塗ではなく竹が良いと思います」

真の点前の時は白の帯締め・・・始めて知りました。
Iさんは今でも真の稽古や茶事の時は白の帯締めで行くそうです。
お話を伺っただけで身が引き締まる思いがしました。

その日は、丸洗いした藤紫系の無地紋付の単衣、袋帯の二重太鼓、
新しい赤い袱紗、竹の扇子、白の帯締め、新しい帯揚げと足袋、
私としては精一杯、気合を入れて出かけたことでした。


                       その日は  で 

    写真は、「裏庭(公園)の花菖蒲」
          「赤い袱紗、竹の扇子、白の帯締め」