(南禅寺にて)
師走の朔日稽古へ茶友が東京からやってきました。
今日庵が近々大改修に入るので、今日庵での朔日稽古は
当分できなくなるかもしれない・・・とお誘いしたのです。
前日に灑雪庵へお茶のみに寄って頂きました。
Kさん、Aさんとの嬉しい再会・・・Iさまのお香を聞く会以来でしょうか。
できるだけ普段のままお迎えしようと、
お軸は「平常心是道」、清水音羽山良慶和尚の筆です。
花は、寒菊と黄色の嵯峨菊を竹尺八へ入れました。
主菓子は「北野大茶の湯」(老松)、濃茶は「錦上の昔」(柳桜園)です。
台子点前で濃茶と薄茶を差し上げましたが、身体と頭が思うように動かず
稽古中の真之行や大円之真より難しかったような・・・。
「紅葉も好かったし、手塩にかけた庵で美味しいお茶を頂けて
幸せなひと時でした」とAさん。
こちらこそ拙いお点前で失礼しました(汗)。
翌日に朔日稽古が控えているので、夕食は外でご一緒しました。
翌日、朝8時に会館へ伺うと、受付に大勢の方が並んでいました。
Kさん、Aさん、Oさんと合流し、今日庵の朝礼へ向いましたが、すでに満席でした。
今日庵との名残りを惜しんで大勢の方が全国から参加されたのでした。
かろうじて咄々斎へ入られるお家元と大宗匠をちらっと見ることができました。
その日のお家元のお話は、今日庵の解体修理のことでした。
今日庵の建物は人間と同じで、その生命は限りがあります。
伝統ある建物を後世へ引き継いでもらうためには
建物の体力があるうちに修復を行う必要があり、
お家元は「今やらねば・・・」と決断され、総会で承認されたのでした。
今日庵には最も由緒の古い又隠席と今日庵席をはじめ、多くの茶室がありますが、
時間をかけて一つずつ解体し、材を全て残し、再利用するそうです。
そのため平成の大修復が完成するのに約7年の歳月を要します。
兜門南側に新しい稽古場・平成茶室が完成しており、修復に入っても
これまでと同様に行事、稽古、講習はそちらで続けられるとのことでした。
(冬の風物詩・・鴨川のユリカモメ)
(敷紅葉を愛でながら)
今日庵席が満員でしたので、KさんとAさんにはそちらへ入るように勧め、
Oさんと茶道会館席へ行き、I先生のご指導を賜わりました。
「稽古とは一からはじめ十を知り 十から帰る元のその一」
という利休道歌を引かれて、真之行という十をきちんと習得することで
一へ帰っても十を学ぶことによって得られたものがその点前に必ず現れる・・・
というお話など、含蓄ある内容で、楽しく学ぶことが出来ました。
KさんとAさんも朔日稽古へ伺って多くのことを学び、良い経験ができたことを
喜んでくださって、私も安堵しました。