暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2021年如月の教室だより

2021年02月25日 | 暁庵の裏千家茶道教室

   (紅梅と竹林が早春の息吹を感じる里山・・・散歩道にて)

 

新規感染者数がだいぶ減少してきて、あと一っ歩!でしょうか。

緊急事態宣言の解除をじっと待っていますが、待ちきれずに今週から希望者だけお稽古を始めました。

4月以降に茶事や茶会の予定が待っているからです。

1月初め、今にも緊急事態宣言が発令されそうな時、初釜を中止する決断をぐずぐず迷っていました。理由の一つに、中止するとお茶の神さまから「お前のお茶の覚悟はその程度のものだったのか・・・」とお叱りを受けるような気がしたのです。

前にも書きましたが、7日の東京都の感染者数が2447人と報道され、たった1日で患者数が1000人も増加したことにもうびっくり! すぐに中止を決断し、初釜中止のメールをしました。

・・・そして、社中の生徒さんから次のようなメールが届きました。

「先生に不躾なお尋ねですが、

 お茶で一番大事なことはなんでしょうか?

 ふと、頭をよぎりましたので・・・。」

緊急事態宣言を前にして、私からなかなか初釜中止の連絡が来ない時に、ふとそのような疑問が起こったようです。

そのメールの問いかけは私にとって、とても重く、されどとても嬉しいものでした。

今までも何度も自らに問いかけてきました。

「お茶にとって大事なこととは?」

「お茶事にとって大事なこととは?」

「あなたにとって大事なこととは?」

そのたびに答えが違いましたが、真剣に考えることが一番良かった・・・と今しみじみ思います。

 

 (「白珪尚可磨」のお軸  太玄師の御筆)

***********

質問を受けた時すぐに、20年も昔のこと、7年近く中断していたお茶を再開し、東京で茶事を習い始めた頃の自分を思い出しました。

「先生、茶事とは・・・茶事とは何でしょうか?」

今思うと、怖いもの知らずの質問でした。

茶事の先生は一瞬驚いた様子でしたが、その答えを探すようにしばらく考えていらっしゃいました。そして

「「私から茶事とは何・・・」ということはとても申せません。答えようがないのです」

とても誠実で正直な先生だと思い、感謝しながら

「先生、考えてくださって本当にありがとうございました!」

(「私もその答えを求めながら、これから茶事をやっていきます」・・・と心の中で誓っていたような・・・)

茶事とは? 茶とは? 答えがあるようで、答えがない。

答えは人によって違うだろうし、その答えも時と場合によって変化するだろう。

・・・だから、お茶もお茶事も奥深く、面白く、いつまでも一生懸命に真剣に追いかけているのかもしれない。

 

   (久しぶりに茶通箱のお稽古中です)

改めて、今おもうことは

 お茶で一番大事なことは

 「お茶に対峙する人の心持にあると思う」

対峙する人は自分一人のこともあるし、一人ではないこと(時)もある。

お茶のまさにその場で、一人一人がどんなことを考え、感じ、自分の中に取り込んでいくか

・・・それは千差万別である。

その違いも含めて対峙する心がその時の「お茶で一番大事なこと」に通じていると思うのです。

そして、まさにその時に出逢えた人とのご縁、これも「お茶で大事なこと」だと思うし、そのご縁を育て合っていくことも「お茶で大事なこと」だと思う。

答えになるかどうかわかりませんが(そもそも正解がないので・・・)、そんなことを考えました。

 

 (コロナ禍ですが、一生懸命にお茶に取り組んでいます・・・)

 

************

後日、質問者の生徒さんが我が家へいらした時に、上記のようなことをお話ししました。

生徒さんは頷きながら聞いてくださって、私から同じ質問がメールで返って来たので、一生懸命考えたそうです。

 

お聞きすると、私の答えと似ていましたが、

「先生から質問が返されて、あれこれ一生懸命考えることが良かったし、そのことが今は大事なことだと思います」

( ヨカッタ!・・・  

 

     暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ

 

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。