暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

鎌倉円覚寺  四ツ頭之式 (2)

2010年10月07日 | 茶道楽
「四ツ頭之式」とは、
方丈中央に開山・仏光国師(無学祖元)の画像を掲げ、膳をお供えし、
開山様が居られるが如く、厳粛に会食する行事です。

開山様の両脇と入口の両脇の「四人の頭」を中心に
儀式を執り行うために、「四ツ頭」と呼ばれています。

和尚様方(客)は真威儀に袈裟を着け、あぐらをかく座禅の姿で
式中すべて無言、所定の合図により所作を行います。
開山以来何百年と継承されてきた古式の食事作法だそうですが、
配膳や給仕の仕方がユニークであり、合理的でした。

            
            

侍真(じしん)と呼ばれる斎座(会食)の主人役が
開山様へ大きく一礼(大問訊・だいもんじん)し、客も総礼します。
次に斜め前方へ手を挙げるような所作で焼香し、
一礼(揖礼・ゆうれい)します。
「これより斎座を頂戴します」という挨拶となり、
客も総礼して、これを合図に客は着座し、斎座が始まりました。

四人の給仕が四人の頭と、左右それぞれ14名の和尚様に
朱膳を配膳していきます。
食膳を置く時に「胡跪(こき)」という片膝立の姿勢になって
給仕するのですが、足で大きく半円を描いて座ったり、
逆に半円を描いて立ったりする所作を、びっくりしながら見守りました。

客一人ずつに胡跪で給仕するのは相当な筋力が必要なので、
四人の給仕は若い僧侶でした・・・これも修行ですね。
左右対称に美しく整然と、無駄のない動きに心が引き締まります。

配膳が終わると、座奉行が食膳を点検するのですが、
足の運びや目配りの仕方が泥棒に似て(?)ユーモラスで、
吹き出しそうになり困りました。

和尚様方の食事作法では、
生飯(さば)という餓鬼に残す飯を数粒取り分けてから
食事を始めるところが仏門らしいと思いました。
最後に湯斗で湯が配られ、タクアンで器を清める所作は
茶事懐石と同じです。

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                          ときどき 

    写真は、「大方丈と庭園」
         「庭園に咲く酔芙蓉」
         「山門近辺」

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