9月18日(日)に長月・名水の茶事が暁庵で行われました。
今年1月の和楽庵の茶事に始まり、5月の風薫る昔ばなしの茶事、そして文月のお祝いの茶事と3回も小堀遠州流の茶事へお招き頂きましたので、何とか小堀遠州流の皆さまを暁庵の茶事へお招きしたい・・・と思っていました。
9月になってやっと機が熟し、社中M氏が「長月・名水の茶事」にて皆さまをお招きくださることになりました。亭主は社中M氏、半東は社中T氏、暁庵は水屋、そして懐石は佐藤愛真さんです。
「小堀遠州流には名水点がないそうなので、名水点でおもてしはいかがでしょうか?」とM氏の提案に異存はなく、すぐにテーマが決まりました。
もう一つ、小堀遠州流の仕儀の中で炉や風炉中の景色と炭手前に鮮烈な印象を持ったので、今度は裏千家流の初炭と後炭の手前を見て頂きたいし、初炭と後炭で風炉中を二度拝見をしていただいてはどうだろうか・・・と話が決まりました。
席入りは11時、板木が5つ打たれ、茶事のスタートです。
待合の掛物は「瀧 直下三千丈」、前大徳・紹尚和尚の御筆です。
半東T氏が白湯を志野の汲出しに入れてお持ち出しし、席入りのご案内です。その日は生憎の雨・・・迎え付けと蹲を省略し、茶道口から席入りしていただきました。
亭主がお客様お一人お一人とご挨拶を交わしています。
お正客は和楽庵主・前田宗令さま、和楽庵社中のS氏とSXさまが次客と三客、四客はYさま、詰はTIHOさまです。S氏は和楽庵の茶事の時に炭手前をしてくださった方で、その折の美しく繊細な所作は今でも心に残っています。SXさまは日本に留学中のイギリス人女性で小堀遠州流をお習いしています。近くイギリスへ帰国するので日本の思い出にしたい・・・と参席してくださいました。
(Yさま宅の萩が満開です)
(「利休居士四規七則」のお軸を掛けました)
床のお軸は「利休居士四規七則」で、紫野・小林太玄師の御筆です。
利休居士は四規「和敬清寂」に茶道の精神を端的に示されました。
和・・・お互いに心を開いて心を通わせ親しくすること(協調性を大事にすること)
敬・・・お互いに敬い合い尊ぶこと
清・・・心清らかであること
寂・・・どんな時にも動じない、心静かで穏やかなこと
七則は、利休居士が「茶の湯の極意とは?」と問われた時に答えたものです。
炭は湯の沸くように
花は野にあるように
降らずとも雨の用意
刻限は早めに
相客に心せよ
夏は涼しく冬暖かに
茶は服のよきように
利休さまの七則に魅せられ、実践を試行錯誤しながら思うことは、なんて!奥が深く素晴らしい七則なのだろう・・・と、いつもため息ばかりです。
亭主M氏が炭斗(ミャンマー籠)を運び出し、初炭が始まりました。
風炉の正午の茶事では懐石が先ですが、待合の椅子席で懐石を食べて頂く都合上、先に初炭になりました。ここで裏千家流・炭手前のお話をするために暁庵が席中にお邪魔しました。(つづく)