暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

風薫る昔ばなしの茶事へ

2022年05月20日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

   昨年、櫻井ファームの薔薇園で購入した花が満開です(名前が・・?)

 

GW最後の令和4年5月8日(日)に茶友TIHOさまの正午の茶事へお招きいただきました。

TIHOさまは昨年5月に開催された「薔薇の茶会」「再会の薔薇」薄茶席(小堀遠州流)の席主さんです。

お声掛けを頂きながら、コロナウイルス禍や体調不良などでお伺いできず、4年ぶりの茶事へいそいそとお伺いしました。

今回は、昨年11月に口切の茶事をされた暁庵社中のM氏をお招きくださって、正客はM氏、次客が暁庵、詰はIさまで、嬉しいお相伴にあずかりました。

「風薫る昔ばなしの茶事」と名付けてお礼の手紙(抜粋)を忘備録として記します。(茶事の写真が無いので櫻井ファームの薔薇園などの写真を貼り付けました)

 

 

 TIHOさまへ

立夏が過ぎ 若葉が色濃く感じられる季節となりました。

一昨日は正客M氏、詰Iさまと共に正午の茶事へお招き頂きまして厚く御礼申し上げます。

4年ぶりでしょうか? TIHOさまのお茶事へお伺いすることが出来、ご趣向の妙とそれらを表現するお道具の数々に魅せられました。まさに「茶楽知己喫」(うろ覚えで間違っているかも??)を実感しながら楽しい時を過ごさせて頂きました。

寄付でご亭主さまから小堀遠州流の茶事について説明を受けたので、私ども客3人は少し安堵しました。

寄付に掛けられた画は「浦島太郎」の乙姫さま、待合の優雅な雉の絵と「桃太郎」一行の可愛らしい土人形の置物に続いていき、謎解きのような不思議な昔話の世界へ導かれていきました。

羽箒を手にしたご亭主の迎え付けで、蹲を使い、席入りしました。

裏千家流とは全く異なる小堀遠州流のお点前がとても新鮮で、先ずは炭手前に目が釘付けになりました。風鈴を連想させる古釜に再会したのも、古釜が江戸初期の伊予松山あたりの産と伺ったのも嬉しく、炭の大きさや形、置き方が異なる風炉中を特別に拝見させて頂き、興味津々でした。

 

銅鑼の音で再び蹲を使い、後入りすると、床にはご亭主が丹精された花が黒い南蛮を思わせる花入にすっきりと生けられていました。花は伊勢撫子と庭藤、その日は藤が描かれた塩瀬の帯を締めていたので、庭藤が殊更嬉しく映ります。

萩焼の井戸茶碗(波多野善蔵作)と繊細な陰刻のある青磁茶碗で、心を込めて点ててくださった濃茶と薄茶が爽やかにのどを潤していき、美味しゅうございました。 

昔ばなしの猿蟹合戦はすっかり忘れていたので ご亭主さまが語ってくださったお話は幼き日の祖母の昔話を懐かしく思い出し、物語に因むお道具やお話が興味深く、一つ一つ謎解きがされるような楽しいお席となりました。

見事な螺鈿が施された蟹香合(蓋物?)と三猿の蓋置が書院に飾られ、牛が描かれた栗の香合(・・だったと思う)が面白く、栗が何やら他のものに見えました・・・。臼と蜂も登場して物語もお茶事も楽しく大団円を迎えましたね。

 

 

形よく堂々とした古瀬戸茶入やご自作の白と黒の対杓が素晴らしく、いまだに頭をよぎって行きます。

TIHOさまの茶の湯の世界に心地よく浸っていましたが、飛行機の音が早やお別れの時間になったことを知らせてくれました。

音と言えば、蹲の水琴窟が奏でる水音が忘れられません。後座の静まった茶室に水音の響きがいつまでも耳に残り、今も聴こえるような・・・。

一人亭主でお料理からすべてお一人で見事にやり遂げられて、心から敬服し感謝申し上げます。M氏とIさまもたくさんの感動と刺激を受けられて、きっと今後のお二人の茶事に活かされることでしょう。

本当にありがとうございました!

お疲れいかばかりかと存じますが、一日も早いご回復を祈念しております。 かしこ  暁庵より

 

 


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