(御軸は「聴松」、紫野大亀師の御筆です)
令和6年1月14日の朝、KTさんと待ち合わせて東京駅へ向かい8時20分に到着。タクシーでロイヤルパークホテルへ向かいました。8時50分に支度担当の5人が耕雲亭に集合し、9時45分席入りの第1席に間に合うように各担当に別れて準備を進めます。水屋は十分な広さですが、薄茶席のN先生社中もいて5人に留めて正解でした。
先ずはお湯、Y氏が湯が入ったポット2つと大きな薬缶をすでに準備しています。
耕雲亭は炉が使えるので(嬉しい!)炉と炭の準備はM氏が担当です。炉中を整え、下火を入れ、薄茶席の炉の準備、2つの釜をかけるまでお任せしました。
床の御軸、花をいけるなど濃茶席の設えはT氏の担当です。
AYさんは抹茶を篩って茶入と棗に入れ、茶巾、茶筅など点前の準備をしています。午前の濃茶2席はAYさん、午後の2席はIさんが案内と後見を担当するので二人で何やら打ち合わせ(?)をしているみたい・・・。
(後見役のお二人が熱心に打ち合わせ中みたいです)
KTさんと暁庵は茶碗を洗って並べたり、菓子の準備、KTさんは初炭手前をするのでその準備をしています。
T氏から「先生、花を見てください」と声が掛かりました。T氏お持ち出しの竹尺八に枝ものと紅い椿の蕾がいけられています。「お正月だから松を入れた方が良いでしょうか?」
松を入れてみましたが、無い方が良いと意見が一致しました。今年は椿の花付きが今一つなので大変だったのでは・・・と思っていると、「正月から家の椿が間に合うかどうか気をもみました」とT氏。何とか初釜に間に合ってT氏と椿に感謝です。
(花はマンサクと藪椿、竹尺八は池田瓢阿作)
仕上げに掃除機をかけ・・・こうして約40分で準備が整い、9時45分頃にAYさんが腰掛待合のお客さまを濃茶席へご案内しました。
お客さま(正客:社中Iさま、次客:社中M氏、三客:YKさま、四客:HYさま、五客:社中Y氏、詰:社中KYさま)が席入りをすると、最初に暁庵が新年のご挨拶をし、次いでKTさんの初炭手前が始まりました。
(釜は鵬雲斎好みの涛声釜(十三代宮崎寒雉造)、炉縁は本栗(村瀬治兵衛造))
釜、炉縁、炭斗と灰器は耕雲亭の常什のもので、その他の炭道具は持ち込みです。
香合はブリブリ香合、高砂(翁と媼)や松竹梅の蒔絵が目出度く新年にふさわしいと選びました。宇和島市在住の裏千家流のK先輩から頂戴したもので、K先輩も喜んでいらっしゃることでしょう。
香は坐忘斎好みの「松涛」(松栄堂)です。
(仕付け棚に莊られたブリブリ香合と羽箒)
初炭が終わり、濃茶点前が始まる前に主菓子の花びら餅(横浜市旭区の石井製)をお出ししました。お正客さまは縁高、五人の連客さまは菊蒔絵の蓋物です。すぐに召し上がっていただきましたが、暁庵は水屋で冷や汗をかいていました・・・。冷凍庫から朝6時に出したのですが、その日はとても寒く、なかなか常温に戻らなかったようなのです・・・気が付くのが遅くって汗 そして。
少し冷たく堅めかもしれませんが、召し上がっていただいてからT氏の濃茶点前が始まりました。ゆっくりと美しく丁寧な所作で美味しい濃茶2碗を練ってくださったことでしょう。
他の流派と違い、裏千家流の点前所作は無駄なものをそぎ落とした、とてもシンプルな点前です。シンプルゆえに端正な美しさが素敵だと思っています。指の先まで神経が行き届いている、しかもゆったりとおおらかで、流れるような点前が何よりのご馳走と思い、社中一同と一緒にそれを目指しています。
そして濃茶が薫りよく、練り加減よく、濃さも量も程よくは一番大事なことです。
(第1席の濃茶点前中です)
水屋で暁庵とKTさんは茶碗をしっかり温めながら、1碗目のお服加減をお尋ねする声を待っていました、T氏が2碗目にかかってから濃茶を入れて2碗ずつ練ってお出ししました。
各服点なので濃茶は4~5gとし、最後のひと啜りまで飲みやすいように少し薄めにするので、その分しっかり練ってお出しするよう心がけました。
社中の皆さまが持ち寄った茶碗を温めたり、茶碗に濃茶を入れて練ったりしていると、それぞれの持ち主の顔が浮かんで来て、「どうしてこの茶碗と出合ったのかしら?」「個性あふれる茶碗から持ち主を当てるクイズも面白そう・・・・」
茶席の中はお点前のT氏と後見のAYさんにすべてお任せして、水屋は茶碗を洗ったり、次の席の菓子や点前準備をしたり、湯を足したり、それなりに忙しいです。
一席目が無事に愉しく終了してヨカッタ! これでこの後のお席も上手く回って行くことでしょう。つづく)
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