濃茶・第4席へ席入りしました。最終のお席です。
正客はN先生、N先生社中の方3人、詰が暁庵の5人でした。この席のお点前さんはY氏、「源氏香」のチーフでもあり、今回の初釜の功労者でもあります。耕雲亭の茶会に慣れていない暁庵をサポートして八面六臂の活躍をしてくださいました。
「あと2人は入れるので、「源氏香」の方をお招きしてはいかがかしら?」
「えっ!よろしいんですか?」
「なかなか耕雲亭の茶席へ入ることはないと思うので、良い経験になるのではないかしら」と私。それに「源氏香」の方たちが茶道を習い始めたことをうかがっていたのでした。
「源氏香」のお二人に五客と六客に入ってもらい、客7人となりました。
「あらっ!噺家さんかしら?」と思わせるM氏のユーモラスなご挨拶の後、主菓子が運ばれ、臨時参加のお二人へは懐紙が運ばれ、何があっても動じない後見や水屋の働きぶりが頼もしかったです。
濃茶点前が始まり、濃茶独特の緊張感が漂う中、一同が静かにY氏のお点前を見つめています。Y氏はいつものように姿勢よく帛紗をさばき、茶入を清め、茶杓を清めていきます。茶杓を茶入に置く手が少し震えました・・・。
考えてみれば無理もありません・・・入門コースでご指導頂いたN先生と同期生3人、「源氏香」の同僚2人、そして暁庵の7人が一斉にお点前を見つめているのですから、きっとプレッシャーがもの凄かったことでしょう。
すると、すかさずN先生が御軸について後見Iさんにお尋ねになり、座の緊張がほうっ~とほどけていきました。流石!N先生、Y氏もさぞや安堵したことでしょう。
茶筅通しをし、濃茶2碗(黒楽と高麗茶碗)を心を込めて練ってくださいました。
「とても美味しゅうございます」とN先生。濃茶は「延年の昔」(星野園詰)です。
お客さまは濃茶席が初めての方が多く、きっと緊張していたと思いますが、後見Iさんが御軸を始め各服点の茶碗、茶入と仕覆、茶杓、茶室の材のことなどを分かり易くお話しくださって興味深かったです。
改めて暁庵も、床の御軸「聴松」から松に降り積もる雪の音が聴こえてきたり、藪椿を生けた竹尺八のモダンな景色に魅せられたり、台目席の中柱(椿だそうです)に見惚れたり、濃茶席をいろいろ楽しみました。
(モダンな景色の竹尺八・・・光悦寺古竹)
こうして和やかなうちに第4席が終了し安堵しました。
・・・ところが、第4席が終わってから、庭に面した障子の隙間から「源氏香」のお二人が上司であるY氏のお点前を拝見していたことを知りました。
そのことを伺った途端、詰めて頂いてもそのお二人に濃茶席へ入ってもらえばよかった・・・と後悔しました。一方で、お茶に対する熱意がヒシヒシと感じられ嬉しかったです。
ロイヤルパークホテルの耕雲亭で行われた令和6年の初釜はこうして無事に終わりました。
本当に楽しく初々しい(?)初釜になり、参席の皆さまに心から感謝申し上げます。
ありがとうございました! (まだ続きます)
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