暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

初風炉の茶事(立礼)・・(1)

2023年06月06日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

 

5月27日(土)に初風炉の茶事(立礼)をしました。

昨年4月にブログ400万頁記念「さくらの茶事」をして以来、なかなか自分の茶事ができずにいましたが、やっとやっと出来ました。

もちろん昔のように一人亭主なんて無理ですし、腰と膝の調子も相変わらずなので、それならいっそ立礼で自分の茶事を心がけて新たな一歩を踏み出したい・・・と思ったのです。

そんな時に許状式があり、自分の意志(目的)を持つこと、それを実行することの大切さを生徒さんから教えられ、とても勇気づけられました。

 

「初風炉の茶事」の席入りは11時半、お客さまはS先生の東京教室で共に切磋琢磨している3名さまです。

亭主は暁庵ですが、半東は暁庵社中のY氏、懐石は小梶由香さんにお願いしました。二人も強力な助っ人がいたのですが、久しぶりの自分の茶事、しかも立礼の茶事に頭と体が馴染んでなく(つまりは稽古不足です)失敗も多かったです・・・

・・・しかし、失敗に学ぶものは大きく、失敗を大いに反省し、その失敗を次の茶事に活かしていければ・・・と考え、気を取り直して茶事の概要を記します。

 

     (小さく杜鵑が・・・・奥谷秋石画)

待合の掛物は「杜鵑と青楓」(奥谷秋石画)の絵を掛けました。最後までこの絵をかけるべきか悩みましたが(・・それは後ほど)、数日前に杜鵑の初啼きを聞いたので「今でしょ!」と、掛けることに決めました。

半東Y氏が白湯をお出しし、腰掛案内へご案内しました。

1ヶ月前のコラボ茶会の時とは違い、露地を覆う木が鬱蒼と繁茂し、腰掛待合のベランダに陽射しも強くなりました。

2時間前から入れておいた風炉の下火を新しく変え、半分ほど水を入れた釜を掛けて、迎え付けに出ます。

腰掛待合も、露地も本格的なものではないので、お客さまはきっとまごつかれたことでしょう。それでもにこやかに挨拶を交わし、蹲を使い、席入りして頂きました。

 

 

床の掛物は「遠山無限碧層々」、紫野・黄梅院の太玄和尚の御筆です。

遠くに碧に覆われた山々がどこまでも連なっている。一つの山へ登り終えると、すぐ次の山がそびえている。次の山を登ると、また別の山が前に聳え立つ。

・・・まるで今歩んでいる茶の道のようでもある。

ある時は何も考えずに易々と、ある時は苦しく喘ぎながら、ある時は友と励まし合いながら、ひたすらいくつもの山を登り、越えていく。茶の道にはゴールが無い。ゴールが無いからこそ飽きもせず、ひたむきに歩んでいけるのかもしれない。とにかく一歩、また一歩・・・お茶を続けたいと願いながら。

3人のお客さまはS先生の東京教室で学び、茶の道を共に歩んでいるお仲間。励まし合い刺激を交わしながら、高みを目指していきたいと思っています。

 

 

挨拶が終わり懐石になりました。懐石のお運びは半東Y氏にお任せして、八寸で献酬だけは担当し、懐石のお手伝い(邪魔?)をしました。

懐石は小梶由香さんが旬のものを取り入れ、初風炉にふさわしいものをと、あれこれ考えてくださいました。つい、早く食べて頂きたいと思い、写真を忘れたのが悔やまれます。

水屋で相伴しましたが、美しく美味しく量も丁度良かったです。特に煮物椀(碗盛)が・・・!。

    (翡翠真蒸の碗盛・・・これだけは写真を撮りました!)

 

懐石献立 (小梶由香作成)

  飯    一文字    

  汁    グリーンアスパラガス 辛子

  向付   カツオたたき サラダ仕立て (器 色絵 ひさご皿)

  椀盛   翡翠真蒸 かに身 おかひじき クレソン花

  焼物  すずき 叩き木の芽    (器 織部 手付き鉢)

  強肴  揚げ粟麩 南瓜 オクラ  (器 青磁 蓮陽刻鉢)

  箸洗い 新生姜          (器 朱塗小碗)

  八寸  ほたるいか旨煮 そら豆

  香のもの  沢庵 茄子 しば漬け (器 黄瀬戸 四方皿)

  酒   銘「熊澤」(茅ヶ崎市香川 熊澤酒造)(酒はY氏が選びました)

 

       初風炉の茶事(立礼)・・(2)へつづく   (3)へ

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。