暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

灑雪庵・名残りの茶会-2

2014年11月10日 | 茶事  京都編
                        錦秋の京都
(つづき)       
名残りの茶会を書き進める前に11月1日のお客さまについて記しておきます。

お正客は昨年10月に如庵茶会へお連れ下さったSさま、お詰は同門社中のYさま、
次客のKさまと三客のHさまはYさまの茶友です。
13時待合集合、用意が調いましたら玄関のカギを開け、「在釜」の札を掛けておきます
・・・とご案内しました。

火入の灰形に手間取って12時半に門を開けると、全員が待っていらして、もうびっくり!
あわてて、中へお入り頂きました。
皆さま、茶事形式の茶会は初めてで、緊張のあまり早くに来てくださったとか。
それを伺って、またまた感激に胸を熱くしたのでした・・・(アリガトウ!)

              
              31日は晴れでしたが、1日はときおり時雨が・・・

昼食がなごやかに終わり、ほっとしながら炭を置かせて頂きました。
中置ではなく、あとの薄茶点前の都合で常据えとしました。
釜は桐文真形で高橋敬典造、風炉は唐銅道安、一之瀬宗和造です。
炭斗は認得斎好みの松山籠、菊頭四方透かしの飾り火箸、羽根はフクロウなど、
いつもの炭道具ですが、珍しく灰形を遠山とし、お香を工夫してみました。

鴨川べりの桜紅葉に沈香をつけた「つけ干し香」を2枚焚きました。
そのあとで風炉中を拝見していただくと、ちょうど枯葉と沈香の薫りが立ちこめて
名残りにふさわしい秋の景色が部屋いっぱいひろがりました。ヤッタね!
香合は、妙喜庵古材の錫縁香合です。

              
                      桜紅葉のつけ干し香

手づくりのきんとん「錦秋」を縁高でお出しし、中立をお願いしました。
(写真を撮る余裕がなかったのが残念・・・)

後座の案内は銅鑼です。
灑雪庵の茶事で銅鑼を打つのもこれが最後かしら・・・一抹の寂しさを覚えながら
大・・・小・・中・中・・・大 と打ちました。  

いつもより2時間遅いスタートなので、部屋は早や真っ暗です。
床の間の燭台に灯りを入れ、破れ壷「仙石原」に花を入れ、諸飾りとしました。
花は矢筈ススキ、吾亦紅、アブチロン、孔雀草、射干玉(ぬばたま)です。

蝋燭の灯りが揺らぐ中、濃茶をたっぷりのんで頂きたくて、2碗点てました。
濃茶は「北野の昔」一保堂詰、京都限定だとか。
「お服加減いかがでしょうか?」
「薫り高くまろやかで、美味しゅうございます」
お客様の一言にほっとして、濃茶の緊張感が心地好く緩んでいきました。

              

手燭をお出しし、道具を拝見して頂きました。
主茶碗は高麗御本三島、古帛紗は紺地吉祥文金襴です。
もう一碗は、黒楽の長次郎「喝喰(かつじき)」の写しです。

慣れ親しんだ道具の中で特筆すべきは茶入でしょうか。
たつの市・揖保川焼の池川みどり作、Kさん所有の魅力あふれる茶入で、
ゴツゴツした黒い土肌、なぜか円周率を連想する歪んだ形状が気に入っています。
ステキな茶入は振りだしに使われていました(なんと!もったいない・・)。

Kさんからある日突然、
「京都滞在中は永久貸与します。どうぞ茶入を使ってあげてください」
と、2つの仕覆とともに送られてきました。
時々茶事で使わしていただきましたが、最後の出番です。
使うたびにKさんと池川さんの顔や思い出が浮かんできて、存在感のある茶入でした。

              
                      茶入・銘「背負い水」と茶杓

湯相、火相もよく、続いて薄茶を差し上げました。
箕に干菓子3種(南都七大寺、つみ小菊、栗納豆)をお出ししました。
薄茶の趣向はナイショ、参加者だけの楽しみとさせていただきますね・・・。

準備を楽しみ、お客さまとのお出会いを待ちわびた茶会でしたが、
和やかに楽しくあっという間に時が過ぎていきました。

・・・こうして灑雪庵・名残りの茶会が終わってしまいました。


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