暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「萩の月」の茶事-2

2014年09月23日 | 茶事  京都編
                  萩の霊場・迎称寺にて
(つづき)
9月に入り、懐石は夏の日向飯からいつもの四つ椀へ戻り、
秋の食材の新米、しめじ、松茸を使いました。

  懐石献立
   向付(冷)  鯛とホタテのカルパッチョ
         (カラーピーマン、レッドオニオン、かいわれ添え)
   つぼつぼ   紅白なます  
   飯      新米 近江産コシヒカリ 
   汁      豆腐  しめじ  赤味噌   黒七味 
   煮物碗    土瓶蒸し(松茸 海老 紅葉麩 三つ葉 スダチ)
   焼物     スズキ幽庵焼
   炊合せ    小芋  鳥の丸  オクラ
   箸洗     針生姜 (梅肉) 
   八寸     牡蠣炙り焼   枝豆の松葉刺し 
   香の物    沢庵  茗荷の吉野漬  白菜
   酒      玉の光

お口に合ったかどうか? 時々三人で楽しくお話しを交わしながら・・・
気持よく平らげてくださって、亭主としては嬉しい限りです。

ご飯を炊きだす時間、汁を温めだす時間、蒸器、盛付など、
慣れて身体が動くようになると、今度は献立の内容が気になってきます。
懐石はあくまで濃茶の前のおしのぎ・・と自分に言い聞かせ、
懐石へのめり込まないように注意していました。

でも、YさまとSさまの「美味しいです!」の一言がとても嬉しく、
懐石って主客の心が通い合う、大切なコミュニケーションだと思います。

            
               「酔芙蓉」  大文字山の登り口で

初炭となりました。
お尋ねに応えながら、炭手前を進めます。
釜はいつのまにか1つから3つに増え(せっせと横浜から運んで・・・)
この日は桐文真形釜、高橋敬典作です。
炭斗は認得斎お好みの松山籠、火箸は菊頭四方透かしです。
飾り火箸をお稽古だけしか使わないのが残念で、茶事に使っています。

香合は秋草蒔絵琵琶香合、山中塗の中村孝也作、
9月になると、使いたくなるお気に入りです。香は白檀(鳩居堂)。

            
             こぼれ萩  梨木神社にて

主菓子を縁高に入れ、運び出しました。
「こぼれ萩」をイメージしたきんとん(自製)ですが、思わぬことが・・・。
お出しする直前に菓子を見ると、ピンクと紫の粒砂糖が溶けてしまって、
どうみても「こぼれ萩」に見えません。
あわてて粒砂糖をもう一度振りそそぎ、何とか「こぼれ萩」になったかしら? 

茶事をしていると、炭火が熾きなかったり、火相や湯相のこと、
懐石の一品が間に合わなかったり、何が起こるか? 全くわかりませんが、
最近やっと、回数を重ねることが大事と思うようになりました。

何より頭と身体がそれなりに反応して茶事を進行し、
アクシデントに対処してくれるのは素晴らしいこと!です。
失敗したらそれを糧として進めばよいのですから。
(良い意味での居直りです・・・)

お客さまにしばしの中立をお願いしました。
「どうぞお鳴り物でおしらせを・・・」
「ことによりましたら、そうさせて頂きます」


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