暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

付法傳衣(ふほうでんい)

2020年05月12日 | 暮らし

     (散歩道で素敵なガーデンを見つけました)

 

5月9日の本占いで付法傳衣(ふほうでんい)という禅語に初めて出合いました。本は「心が晴れる禅の言葉」(赤根祥道著、中経の文庫)です。

 

 付法傳衣   伝えられたものを次に伝える  「傳燈録」

 

日本人には、父や母の着物を、かたみ分けとして大事にもらう習慣がある。改めて、その着物を着てみると、父や母の心が伝わってくるように感じられて、胸が熱くなる。

禅では伝衣といって、一般の人よりもさらにその意味は深い。禅宗の寺院では、禅師が弟子に法を嗣がせる証明として袈裟を与える。袈裟をいただいた人は、法を嗣がせていただいたという喜びをもって、自分の弟子へそれを伝えていく。・・・後略・・・

師の身につけておられた袈裟を、自分が身につける。自分につたえられたものを、次に伝えていく。そうした使命を自覚しながら生きたいものだ。(終)

 

    (いつも無人なのが不思議なガーデンです)

 

初めての禅語ですが、明快な禅語でした。

母が残してくれた着物たち、お茶をしていると着物を着る機会が多いので有難いです。

母が亡くなってから10年近くなりますが、着物を着てほしくて桐タンスを送ってきた母のことを思い出すと、今でもメソメソしています。

着物も古くなったり、気に入った着物は何度も着るのでだいぶ痛んできました。その反面、なかなか着ない着物もあります・・・。

着物は3代着れるそうですが、娘がいないので私の代で終わりそうです。1回でも多く着てあげようと頑張っていますが、私に代わって着てくださる方がいると嬉しいです・・・。  

 

  (いろいろな種類の薔薇が咲いていて甘い薫りが・・・)

 

しっかし、禅をお茶に置き換えて考えると、伝えられたもの、伝えなくてはならないこと・・・考えれば考えるほど難しいです。

伝えよう・・・伝えねば・・・と意識しなくても、日々の稽古や茶事を一つ一つ丁寧に積み重ねているうちにふんわかと伝わって行くのが暁庵の理想です・・・養之如春(これを養う春の如し)」でしょうか。

それから、人とのご縁を大切に丁寧に対処すること、出会いは五百生の有難いご縁だと感謝し、伝えるというよりも育てる(育て合う)ことがとても大事だと思っています。片思いで伝わらないことも間々ありますが・・・それもまた良しかな。