暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長月の茶事に招かれて・・・(1)

2019年10月07日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)



(いきなり言い訳ですが、9月にデジカメとPCを買い換えたのですが、
 いまだに使いこなせず苦闘しています ・・・後で茶事の写真に入れ替えます)


9月20日(金)、小堀遠州流Yさまから長月の茶事にお招き頂きました。
1年半前にお招きの手紙を頂いてから諸事情で2回中止があり、3度目にして「無事に」お伺いすることができ、とても嬉しいです。

ご亭主Yさまは暁庵のご近所さん、小堀遠州流をお習いしています。
暁庵の茶事へいらしてくださって「私にもできそう・・・茶事をやってみたい!」と思ったそうです。暁庵にとって何より嬉しいことで、この日を楽しみに待っていました。
連客は4名、不肖暁庵が正客を仰せつかり、次客R氏、三客N氏、詰KTさまです。

11時過ぎに同行のN氏とYさま宅へ伺うと、リビングが待合になっていて
「日日是好日」  宗通
と書かれた短冊が掛けられていました。
ご亭主が敬愛する先代御家元(15代小堀宗通氏)の御筆だとか。

小堀遠州流の茶事は2度目ですが、裏千家流とはかなり約束事などが違っていて興味深く楽しみです。
詰の役目がたくさんあるのも特徴の一つでしょうか。

詰KTさまが青磁雲鶴の汲み出しに香煎を入れ、鉄瓶の湯を注いで出してくださいました。
この鉄瓶が素晴らしく、形と言い、色合いと言い、どっしりと落ち着いた風格があり、惹きつけられました。
次客のR氏から頂いた宝物だそうで、ここまできれいにするのに大変な手間ひまだったとか、早速、そんなお話で盛り上がり、初対面のR氏ともすぐに旧知の間柄のように打ち解けました。

腰掛待合への誘導ですが、小堀遠州流では音の合図で誘導するそうで、なんと!アンティークオルゴールでした。

それはきっと音楽関係の仕事をされていたというYさまのご主人さまの宝物なのでしょう、
ご主人さま自らハンドルを回し、針(?)を置くと、力強くしかも温かい音色の曲が流れはじめました。
曲の名前がわかりませんが、ドイツ製アンティークオルゴールを聞きながら腰掛待合へ進みました。



キウイ棚の木陰にある腰掛待合に座ると、庭には大きな石が組まれ、見事な松が枝を伸ばしていました。
石畳の露地や枝折戸があり、筧が清らかな水音をたてています。

ご亭主が茶室からガラスの鉢を持って出て来られ、蹲踞の水を周りに撒いてから鉢の水をザアッと蹲踞へ空けました。
一度茶室に戻ると、手に小さな羽箒を持って枝折戸前へ進み、迎え付けの礼をされたので、一同無言の挨拶を交わしました。
手に羽箒を持っての迎え付けは3度目です。1回目は鎮信流で、2回目は詰KTさまの茶事、そして今回。
「ただ今、茶室を清めて迎え付けに参上しました」(という意味で羽箒を持って・・・と伺っていますけど)




     後座の手前座ですが・・・

席入りすると、八畳の畳の部屋に立礼の設えがあり、漆黒の立礼卓セットが素晴らしく垂涎ものでした。
「立礼の茶事をしたいので、立礼卓を探していたら良いものが見つかったの・・・」と言っていたのはこれだったのね。う~ん!
聞きしに勝る立礼卓セットは、小堀遠州流好みではないそうですが、小ぶりで優雅な佇まいでした。
Yさまで4代目、東日本大震災で水をかぶったという立礼卓がYさまと巡り逢った経緯を心が震える思いで伺いました。きっとこれから良き主を得て大活躍することでしょう。


床の御軸に次のように書かれていました。

 三省
    秋の夜の寝覚めにせめてはおもへかし
    日々に三度はかえりみずとも


小堀遠州流15代宗匠・小堀宗通の御筆です。

毎日、三省していろいろことを省みることが大事です・・・という教えです。
(不肖暁庵は、すぐ茶事の事を考えてしまいます。茶事をすると三省どころではおさまらないのですが、その一方で一省で止めておかないと、先へ進む勇気とエネンルギーが無くなってしまいそう・・・そんなことを思いました)

点前座(立礼台)へ進むと、瓢型の切掛け風炉に出会いました。窓が七宝の意匠で、窓上に紐結びの模様があります。
なんて魅力的なかわいらしい切掛け風炉なのだろう・・・!
火窓から中を覗くと、狭い火床に丸ぎっちょが円く置かれていて、赤々と炭が熾っていました。

客一同、ご亭主と和やかにご挨拶を交わし、あれこれ教えていただいた後に懐石になりました。

     
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