暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

車で四国遍路・・(2)別格1番大山寺へ

2019年07月06日 | 車で四国遍路

     第7番十楽寺に祀られている愛染明王

5月20日(月、2日目)
雨は上がったもののどんよりとした曇り空、早朝6時半から本堂で朝のお勤めがあり、喜んで参加した。
十楽寺は開基が弘法大師、生老病死などの8つの苦しみを除き、極楽浄土の10の楽しみを得るように・・・と名づけられたという。
本堂に祀られたご本尊は阿弥陀如来さま、ご真言は「おん あみりた ていせい から うん」。
ご住職が小声でご真言を唱えながら蝋燭に火を点けて行き、朝の勤行が始まった。
お経が終わると一人ずつ焼香をさせて頂いた。
その後、ご住職から十楽寺に祀られている仏様たちのお話があり、興味深く伺った。

中でも中国風の山門の楼上に愛染明王さまが祀られており、特別なお詣りの仕方を教えて頂く。
良縁を願う人は左扉から、縁を断ち切りたい人は右扉から入るそうだ。
よくばりにも両方お願いしたいので、ご住職にお尋ねすると、
「両方の方は、先ず左扉から入って拝んでから右へ出る。再び右扉から入って拝んで左扉から出ればよろしいです」
縁結びと縁切りの両方を愛染明王さまへお願いしてまいりました・・・。




朝、雨が上がっているうちにと、最初に大山山麓にある別格1番大山寺(だいせんじ)を目指しました。
別格霊場とは、弘法大師(空海)が四国の山野を駆け巡って修業中、四国八十八ヶ所霊場(札所)の他にも沢山の足跡が残されていて、中でも厚い仏縁で生まれたのが四国別格二十霊場、番外札所とも呼ばれています。
別格霊場は山中奥深き場所にあることも多く、八十八ヶ所を歩くのに精一杯だった吾が身には遥か遠い存在で、それ故に強く憧れていたのでした。


     別格1番大山寺の山門(靄の晴れた帰りに撮影)

大山寺への山道は途中から急に狭くなり、登るにつれて霧なのか白雲なのか、見通しが悪く、助手席の私から見ると「あっ!路肩から落ちるぅ・・・」と何度も悲鳴を上げ、手に汗しました。
怖い山道をしばらく登ると、靄の中に山門のような建物が幽かに見えたので車を停めました。




     山門の仁王像に惹きつけられ、圧倒されました

屋根が今にも崩れ落ちそうな古びた山門が別世界の入口でした。

山門も凄い迫力ですが、仁王像2体に惹きつけられ、圧倒されました。
丹色が剥げ落ち、素地を剥きだしにし、威圧的な力をみなぎらせて迫ってきます。
「何故この寺に参ったのか?」と厳しく心中を問われるようでした。
一礼して山門をくぐると、今度は白い靄の中に石の狭い階段が天上へ伸びていて、先が見えません。

なんか、ゾクゾクしてきました。
白い靄の中に現われた山門、折からの小雨、雨に濡れたおどろおどろの長い石段、深緑の木々・・・番外霊場・別格第1番大山寺になんてぴったりなアプローチなのだろう・・・!
金剛杖(お大師様)にすがり、この情景に秘かに歓声を上げながらゆっくり石段を登って行きました。


         見上げる先はまだまだ・・・

         途中で一休み

         こちらは中門です

登り切ると、傘の様に枝を広げた大銀杏があり、樹下に手洗い場がありました。
晴れていたらどんな景色がここから見られるのでしょうか、全て白い靄に包まれています。
ご本尊は弘法大師が唐の恵果和尚から授かったという千手観世音菩薩。
四国三十六不動霊場の第1番で、弘法大師が自ら彫ったという波切不動尊が祀られています。
本堂と大師堂でお詣りを済ませた所へ、別格15番箸蔵寺近くに住むという老夫婦が登って来て、念珠のことを教えてもらう。
別格参拝記念の念珠玉を集めるのが人気とのことで、早速、大山寺の念珠玉とお守りのストラップを購入しました。



帰りの山道のこと、ナビが指示する道と違っているのに気が付き、あわてて引き返そうとしていると、突然山道に赤い郵便配達車が現われたのです。
これはお大師様のお導きに違いないと、急いでその後を追いかけ、無事に家が点在する場所まで戻ることが出来ました。
錯覚でも思い違いでもよし!・・・嬉しいことでした。


第2日目行程
別格1番大山寺~第4番大日寺~第5番地蔵寺(奥の院の羅漢堂へ行く途中に句碑あり、岡田製糖所へ寄り、施茶用の霰糖(和三盆)を購入)~第6番安楽寺~第8番熊谷寺~第9番法輪寺~第10番切幡寺(333段の長い階段)~第11番藤井寺(茉莉花 (まつりか)の香り)~別格2番童学寺(可愛らしくモダンな山門(江戸期建立)が特徴的、大師堂には稚児大師が祀られている。平成29年の火事で本堂焼失。再建を願い、ささやかな寄付をする)~神山温泉・ホテル四季の里(泊)


     別格2番童学寺(こちらの大師堂には稚児大師が祀られている)


     神山温泉・ホテル四季の里にて

この日は神山温泉の道の駅で車中泊の予定でした。
車中泊が初めてなのに雨天では無理とのツレの判断で、急遽神山温泉・ホテル四季の里に宿泊(素泊まり1人7,040円のバス・トイレ付の和室)することに変更です。
ホテルに着く頃に雨が激しくなり、大正解でした。
温泉が素晴らしく、夜はジャグジー付きのホテル付属の温泉施設、朝は館内の宿泊者専用大浴場で、2度も温泉に浸かり、長時間車に揺れた旅の疲れを癒しました。
素泊まりなので夕食は館内のレストランで、けっこうボリュームがあったのですが、予算(一人千円)内ですみました、朝食は持参のコーヒーと途中で買ったパンとヨーグルトです。
「よしよし、遍路は質素倹約を旨とすべし」・・・どこかでお大師様の声が聞こえてきますが、まだまだですね。


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