暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

水無月の茶事支度

2011年06月10日 | 茶事
4月に予定していた「花の夕去りの茶事」が中止になったので
いつか、その時のお客様を茶事にお招きしたいと思っていました。
7月と8月は電力事情が不透明なこともあり、
水無月(みなづき、6月)の茶事へお招きしています。

水無月は、水と縁のある私には茶事をしたくなる月ですが、
横浜開港150周年を祝う茶事以来2年ぶりのことです。
昨年の6月は、仙桃庵の茶事へお招き頂き、
心に残る水無月の茶事を愉しませて頂きました。

               

ところで、6月は梅雨の最中なのにどうして「水無月」というのでしょうか?
旧暦6月を水無月と呼んでいましたが、現在は新暦6月の別名となっています。
調べると諸説があり、旧暦と新暦で由来が違うことを知りました。

旧暦6月は梅雨が明けて水が涸れてなくなる月と解釈されています。
逆に、田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月、
つまり「水張月(みづはりづき)」「水月(みなづき)」とする説もあります。
さらに、水無月の「無」は「の」という意味の連体助詞「な」であり、
「水の月」とする説などがいろいろです。

新暦6月はちょうど梅雨なので
「梅雨で天の水がなくなる月」や「田植で水が必要になる月」
といった解釈がされているそうです。
いずれの説も水、水量、稲作に関係していて面白いですね。

               

今にも降りだしそうな空を見上げながら、
お客様ひとりひとりとのご縁を思い出しながら
茶事支度にいそしんでします。
迷った時には、利休さまの七則へ戻ります。

   茶は服のよきように点て
   炭は湯の湧くように置き
   花は野にあるように
   夏は涼しく冬あたたかに
   刻限は早めに
   降らずとも雨の用意
   相客に心せよ

どれも奥の深い大事な教えですが、先ずは
「茶は服のよきように点て
 炭は湯の湧くように置き・・・」を目指します。

新しい風炉釜(釜師 長野新さんの作で、ステキです!)と、
久しぶりに使う風炉(灰)なので
何回も炭を置き、湯を沸かし、湯を変えて、釜や灰を慣らしています。
まだ釜が落ち着いてくれず、茶を入れて沸かしてみたり・・・試行錯誤です。

それから灰型。二文字押切をつくっています。
「茶事の前に風炉の灰型を整えるのは茶人の喜び・・・」だそうですが、
未だその域には程遠いと思いながら、「やるっきゃない!」

              

忘れてはいけないのは、「梅雨で天の水がなくなるほど雨が多い月」なので
「必ず降ると思って雨の用意」でしょうか。
露地草履を拭いたり干したりしながら
外の腰掛や蹲が使えない場合は? などと、あれこれ考えています。

点前の稽古や懐石の打ち合わせなど、やることは尽きませんが、
身体と心の準備を調えて、お客様をお迎えしたいと思います。
「さぁ、そろそろ・・・」

                           

         写真は上から、「雨の竹林」(岡部・玉露の里にて)
                   「藤枝・蓮華寺池の菖蒲園」
                   「蓮の玉水」
                   「菖蒲」