暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

寅年納会と埋み豆腐

2010年12月18日 | 稽古忘備録
12月16日は最後の花月之式の稽古で、納会を兼ねていました。
科目は、後炭所望、平花月、雪月花、員茶之式で、
員茶の前に恒例の埋み(うずみ)豆腐で一献がありました

床には足立泰堂和尚の筆で
「先今年無事 目出度千秋楽」 
毎年、納会に掛けられる軸だそうです。

後炭所望で亭主をしました。
巴半田を持ち出して炭を上げ、炉中を整える所作は
風情があって、炉の中でも大好きな手前です。
五事式の会で廻り炭之式を修練していたお陰で、
身体が覚えていてスムースに運びました。
下火を置き、匙香は鳩居堂の松重(まつかさね)です。

「お申し合わせの上、どうぞお炭をお願いいたします」
と所望し、S先輩が炭を置いてくださいました。
残っていた胴炭を下火にしたので、常のように左手に火箸を持ち、
右手で輪胴を持ってそのまま一膝勝手付きへ向き、
灰器の灰匙上に輪胴を置きました。

後炭の時に輪胴を炭斗の中へ除けていたのですが、
先生から灰器へ輪胴を置くようにご注意があった箇所なので、
S先輩の所作を茶道口から拝見させて頂き、良かったです。
炭を継ぎ終ると輪胴を再び炭斗へ戻し、後掃きをします。
但し、茶事の場合は胴炭が残っていてもなるべく輪胴を除けずに
使った方が良いのだそうです(ウーン・・・奥が深い・・)。

火相を心配していましたが、後炭所望の点前が終わる頃に
火勢が上がり、ご名炭でございました。

               

平花月の間に、当番の先輩二人が埋み豆腐の準備です。
埋み豆腐は、味噌汁の中にご飯と豆腐が入っている素朴な椀物ですが
いざ作るとなると、細かいところがわかりません。
それで、先生にお願いして埋み豆腐の作り方を見学させて頂きました。
百聞は一見に如かず・・・
これで作れそうになりましたので、チャレンジしてみようと思います。

平花月の後に、お膳と一献です。
半月盆に、お向う、大きな煮物碗(埋み豆腐きざみ海苔添え)、
つぼつぼ(昆布の佃煮)、杉箸に朱杯がのっていました。
お向うはうるめ鰯の焼物で、ステキな越前焼・笹の葉皿に
ゆずり葉が敷かれていて、「来年へ年をゆずる」という意味だそうです。
他にも香の物(白菜、きゅうり、蕪)と里芋の煮物(刻み柚子添)が
供されました。

この献立は暮の忙しい時期の納会や歳暮の茶事にぴったりで、
温かく、おかしら、香物付きで、素朴な一品一品がとても美味しく、
栄養的にも満点だと思いました。

その日は、雪月花之式では「上がり」となり、
員茶之式では札元と大当たりの納会でした。

七事式・員茶之式のげじゅ
「老倒疎庸無事日 
 閑眠高臥対青山」
(ろうとうそようぶじのひ 
 かんみんこうがしてせいざんにたいす)

先生ならびに社中の方々と笑顔で無事に
今年の稽古を締めくくることが出来ました。
感謝申し上げます!

                    

    写真上から、「南天の実」  (季節の花300提供) 
           「ゆずり葉と実」 (季節の花300提供)