暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

ブータンの旅 (3)  タクツァン僧院

2010年09月25日 | ブータンの旅-2010年9月
パロ谷をパロ・チェ(川)沿いに北へ向うと、
タクツァン僧院が垂直に切り立った岩の上に見えてきました。
8世紀、初めてブータンへ仏教を広めたパドマサンババ(グル・リンポチェ)は
虎の背に乗ってこの地へチベットから飛んで来たと伝えられています。
タクツァン(虎の巣)と呼ばれ、チベット仏教圏でも指折りの聖地です。

日帰りトレッキングコースとして外国人観光客に人気がありますが、
地元の団体さんや高校生など、たくさんの巡礼者が登っていました。
ガイドブックには駐車場(標高2300m)からレストハウス(標高2800m)まで
登り約2時間と書いてありましたが、とてもきつい登りでした。

標高が高いせいでしょうか、少し登ると息苦しくなって続かず、
一休みして呼吸を整え酸素を補給してから、また登りました。
亀の如くゆっくりゆっくり登り、対岸にタクツァン僧院が間近に見える
レストハウスまで3時間近くかかりました。

                
                

「大丈夫ですか? 先へ行きますか?」と心配そうなガイドのキンレイさん。
「OK! ゆっくり行きましょう」
レストハウスからさらに奥の展望台へ到着すると、もう一度確認されました。
ほとんどの日本人観光客は展望台で引き返すそうです。

でも、再び訪れることは無いであろうと思ったので
「大丈夫です。僧院までゆっくり行きましょう」と、Mさんと私。
展望台から狭い石段を降下し、滝のしぶきを浴びながら対岸へ渡り、
今度は急な登りです。
休んでは登り、やっとやっとタクツァン僧院へ辿り着きました。

パドマサンババが祀られている本堂と二つのお堂を巡拝し、
ブータン式の参拝も板についてきました。
参拝の仕方は、先ず立ったまま顔の前で手を合わせ上中下と三回祈った後、
跪いて両手を床に伸ばして額を床につけて拝みます。これを三回繰り返します。
僧院には入場制限(拝観許可)があり、私たちが最後の参拝者だったらしく、
もう登ってくる人はいませんでした。

キンレイさんから頂いた美味しいリンゴで元気をもらい、
登り口の駐車場まで戻りました。
結局、5時間30分かかったことになりますが、
タクツァン僧院を参拝できて、とても良い旅の記念になりました。 ヤッタネ!


             
             


遅い昼食を食べて元気を取り戻し、
さらに北にあるドゥゲ・ゾン(城塞址)へ行きました。
かつてこの道はチベットとの主要な交易路であり、
チベット軍の侵攻経路でもあったそうです。

1647年に建てられたドゥゲ・ゾンはチベット軍との古戦場ですが、
篭城に備え、川まで水を汲みに行く秘密の通路や、
大きな石でできた脱穀機が残っていて興味はつきません。
1951年に火事で焼け落ちて、今は住む人も居ない廃墟です。
崩れた城壁、風に揺れる屋根のススキ、荒れ果てた廃墟は閑かで物哀しい。

晴れた日にはチョモラリ峰(7314m)が遠望できるそうですが
小雨が降ったり、止んだり・・。
そちらの方面へ目をやると、久しぶりに虹を見ました。


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  写真は上から、「レストハウスからタクツァン僧院を望む」
           「水力で廻しているマニ車の水場」
           「タクツァン僧院」
           「城壁が崩れているドゥゲ・ゾンへの通路」
           「今は住む人がいないというドゥゲ・ゾン」