職員室通信・600字の教育学

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★ああ、バン!バン!郷愁編。僕は自己の空洞を埋めるために、遂にこうして自己の果てまで疾駆してきたのだ

2013-06-27 14:06:51 | 僕のモンマルトル日記

 

茫漠特急 岩本・辛坊両氏の太平洋横断断念ショックを埋める旅 ~片岸分校編~
2013
06.27


★岩本光弘・辛坊治郎両氏の太平洋横断断念ショックが僕のうちでまだ尾を引いている。
 辛坊がエオラス号の船室でコーヒーを沸かすように僕も沸かし、辛坊がカップ麺を食べるように僕も食べていると、不思議と元気が出たものだ。
 でも、ま、仕方がない。
 僕は僕の力で旅に出なければいけない……と、昨日、はなむけ号(折りたたみ自転車)で廃校を訪ねる旅に出た。
 青い森鉄道・苫米地駅で下車。
 ホームではなむけ号を組み立て、青田のなかの白い道を走った。
 前方の丘陵地に沿って、数十戸ほどの集落が見える。
 「片岸」だ。
 集落に入り、最初の十字路を左に折れると、道端に朽ちかけた石造りの門柱が見えた。(画像は片岸分校)





★今回の廃校への旅は、「岩本・辛坊両氏の太平洋横断断念」により生じた空洞を衝動的に埋めようとするものだと思う。
 こういう衝動はたびたび経験する。
 先日紹介した「オマエは、今のオマエの姿で、その人の前に立てるか?」という「その人」のうちの1人=Yと別れた場面も、そうだ。
 学生時代だった。
 発車のベルが鳴り、ドアが閉まった。
 ドアの窓は厚く凍りついていた。
 列車が動き出したとき、Yはあわてて窓の内側をこすった。
 うっすらと手ぶくろの柄が見えた。
 ホンマに悲しかった。
 後発の列車に乗ってYの後を追いかけたい衝動に駆られた。
 と同時に――不思議なことに僕のうちに――逆方向に行く列車に乗りたいという衝動が沸騰した。
 今から思えば、YはYの道に進め、僕は僕の道に進む……ということだったのだろう。
 人生のひとつの分岐点だった。

 あるいは、卒業式のときの教師(=僕)の気分にも似ている。
 自分の内側に大きく占めていた生徒の存在が、一気に空洞になる。
 さびしい。
 むなしい。
 と同時に、これとは別種の、もうひとつの不思議な気分……とにかく、わけもなく元気になる。
 ま、空元気だろうと思う(*^_^*)。
 空元気で空洞を埋めようとするのだろう(ノ△・。)。
 新しい世界に飛び立つ生徒たちが発する強烈なエネルギーに刺激を受けつつ、僕も彼らに負けないで、またがんばろう……という気持ちになるのだ。

 2001年小泉純一郎氏が8月15日に靖国神社に「参拝する、参拝する」といいつつ、結局、8月13日に参拝してしまった夕刻、僕は、魂がもぬけの殻状態で、JR八戸線の旅に出た。
 市街地の駅に停まるたびに、ソフトクリームやショートケーキを手にした女子高生たちがドッと乗り込んでくる。
 僕が座っている4人掛ボックスシート以外は、ほとんど埋まってしまった。
 「父さんのシャツがタバコ臭くて、部屋中、臭いのォ!」
 「キャッキャッキャッ(*^_^*)」
 「そんで、ファブリーズをジュジュジュ、ジューーーーッてかけてやったのォ」
 「キャッキャッキャッ(*^_^*)」
 食べながらしゃべりまくるから、クリームやチョコレート、チーズの混じった甘い香りがトロ~ンと車内に充満する。
 何ゆうとるんや!
 おまえたちこそ、ファブリーズをかけてやりたいよ。(←と言いながら、ホンマは、自分のボックスシートにも女子高生がいっぱい来ればいいと思っている(*^_^*)
 市街地を出ると、陸奥白浜、種差、大久喜、金浜、大蛇……と無人駅がつづいた。
 どの無人駅にも、そのシャツがタバコ臭い父さんや、あるいは母さんが自動車で迎えにきて、テールランプを点灯させて待機していた。
 バン!
 女子高生たちが、それぞれの車に乗ってドアを閉める音が聞こえてくる。
 バン! バン!
 そして、車がダッシュする音。
 無人駅ごとに、バン! バン!が繰り返され、漁港の駅・陸中八木に到着したときには、乗客は、3両連結の車内に数名しかいなかった。
 車内放送で、待ち合わせのために20分間、停車すると告げられた。
 プラットホームに降りると、運転手も車掌もホームに出て、タバコを吸っていた(ま、タバコは当時の話)。
 港を眺めると、防波堤の突端に赤い灯標が点滅していた。
 ああ、バン! バン! 郷愁編。
 僕は、自己の空洞を埋めるために、遂に、こうして自己の果てまで疾駆してきたのだ……という感じだった。






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