★嘉瀬Tの授業(2年1組理科) 窓外の桜が満開だ。
◆学校だから、子どもたちのことに関して、ごくごく、あたりまえだが、いくつかの課題をもっている。
その課題を、以前、職員室通信で「負荷」と表現したことがある。(WEB版では、いくらなんでも「負荷」はないだろう……と思ったので、カットしてあるけれど。)
職員朝会の前と後に、その「課題」ないしは「負荷」について、昨日の休日をはさんで、一昨日夕刻からけさまでの情報提供を受け、協議する。
その協議を、校長・教頭・教務打ち合わせ0745~0755が終わったあとから、職員朝会がはじまる0805までのあいだ、すなわち、0755~0805の10分間に。
また、朝の学活0820~0830が終わり、1時間目の授業がはじまる0840のあいだ、すなわち、0832~0838の6分間にやる。
どこの職場でも、そうだろうが、朝は、大混乱状態だ。
こういう中で、協議し(←もちろん、立ったまま)、「よし、これでいこう!」という方向を打ち出す。
打ち出しながら、一歩一歩、前に進んでいく。
これが、教育現場だ。
◆協議のあと、1校時、嘉瀬Tの授業(2年1組理科)の取材に行く。
きのうは、(これは、きのうも書いたが)先週の疲れがたまり、終日、HPの更新以外はなにもせず、夜も早く眠ってしまった。
そうしたら、そのせいで、夜中に目が覚めた。
せっかくだから、そのときに、HP更新時に記述した「ま、試行錯誤しながら、なにかに(?←あいまいやね^^;)深く迫っていける、ひとつのスタイルを発見したいと思っている」について、考える。
「スタイル」というのは、決して、授業の技術批評や解説の仕方のことではない。
もちろん、技術批評は、わたしの仕事だから、それはやる。
しかし、一部であって、全部ではない。
わたしが、そこにとどまっていてはいけない。
とどまっているのだったら、別にわたしでなくても、もっともっと適任者がいる。
では、では、それだけいうんだったら、あなたがもとめる「スタイル」とは?……ということになるのだが、それが、わかっていないのだ。
こういうことを考え出すと、きまって頭をよぎる、わたし自身の過去の記述がある。
気になりながら、それを再読する機会がなかったのだが、きょうは、思い切って、立ち返ってみようと思った。
意外に簡単にアプローチすることができた。
今、発行している「職員室通信」と同じ、USBメモリーに入っていた。
平成12年(2000)03月08日の記述だ。
数学の「優子T」の授業について、「〈説明〉が長い。今の〈説明〉の90パーセントを、〈指示〉と〈生徒の作業(活動)〉と〈評価〉に切り替える」からはじまり、約4000字の技術批評をしている。
「きまって頭をよぎる」といったのは、その技術批評の終わりの、1行スペースをあけた、最後の小段落だ。
コピーする。
授業の終わり頃、パイプ椅子から腰を浮かしたとき、眼の端にキラキラするものが飛び込んできた。
外を見ると、校庭の雪が太陽の光に輝いていた。
差波の里山にある裸木の一帯は、うっすらとピンク色に染まっていた。
息を呑む美しさだった。
教室の片隅で優子Tへの注文をメモしながら、一方で、わたしの心は弾んでいた。
超一級の教師は、松阪や上原のようなデビューはしない。
優子Tのようなデビューの仕方をするものだ。
それに立ち会っているのだという興奮があった。(コピー以上)
この記述のあと、2000/03/09に、わたしは、市教委から、3/13にわたしに関する「人事異動の通知を行う」という1本の電話を受けている。
ついでに、USBメモリー内の、前後の記述をみると、2000/03/09の記述に「『新版・職員室通信』を書き上げた直後だったので、正直なところ、非情な電話だと感じた」とある。
よけいなことまで書いたような気がする。
要するに、2000/03/08以来、わたしは「パイプ椅子から腰を浮かした」ままなのだ。
なら、今の「職員室通信」はなんなのだ?……ということになるが、このことについては、きょうは、やめる。
◆嘉瀬Tの授業に、話をもどす。
こういう授業のデータを集められる状況に自分がいるということ、これはスゴイことではないか。
さっきもいったが、単なる技術批評や解説に逃げるのはやめる。
ただ、ごちゃごちゃ言うのは、まだ早い。
もっともっとデータを集めることだ。
まず集める。
集める技量をアップさせる。
話は、それからだ。
嘉瀬T「それでは、今返したプリントを見なさい。プリントと黒板……身体の向きはそのままでいいです。前の時間にやった回路ですが、回路図が完成していない人がいます。自分のを見てごらん、足りなくないかなァ~と。(間17秒)じゃ、グループの中で見比べなさい。(作業スタート後、追加指示)で、足りない部分をすぐ書く」
嘉瀬T「(60秒後)では、身体を全部、こっちに向けなさい。身体ごとです。前の時間に実験した回路は、何回路といいますか?」
生徒1「直列回路」
嘉瀬T「これ、(板書しながら)直列回路といいます。
プリントの最後の自由記述欄に、次、こういうのをやりたいというのが、たくさんありました。(黒板を指しながら)こういう回路です。これは何回路ですか?」
生徒1「並列回路」
嘉瀬T「並列の『並』って書けるかな? はい、◇◇さん」
生徒1「並ぶ……です。」
嘉瀬T「はい、並列回路です。きょうは実際に調べてみます。グループの代表、プリントを取りに来なさい。」
生徒1「4枚です」(各班代表)
生徒2「3枚です」…………
嘉瀬T「(プリントに書かせながら)4月30日。天気は?」
生徒1「くもり」
生徒2「くもり」
嘉瀬T「微妙だけど、くもりですね。青空が見えていません。」(授業開始から4分21秒)
嘉瀬T「はい、課題を1回だけいいます。『豆電球の並列回路の電流を調べよう』」
嘉瀬T「はい、課題を読みましょう。サン、ハイ」
生徒全「豆電球の並列回路の電流を調べよう」
嘉瀬T「前の時間、最後に少し触れましたが、予想してください。じゃ、予想ね。直列回路では、どこでも流れる電流の大きさは同じ。たとえば、この並列回路で、この地点で測ったら300ミリアンペアあったとします。ここと、ここは、いくらになるだろう?」
生徒1「150」
嘉瀬T「自由に、しゃべっていいですよ」
生徒2「150」
生徒3「150」
嘉瀬T「150と、こっちは?」
生徒1「150」
生徒2「150」
嘉瀬T「150になるかもしれない。なんでだろう? 1本のところは300で、2本のところは半分にわかれるということ? じゃ、こっちのほうは?」
生徒1「300」
嘉瀬T「300かもしれない。だれか違う人、いないかなぁ? 150、150でいいですか? やってみようかな。じゃ、プリントにもどります。プリントをみる。」(6分35秒)
嘉瀬T「マル1の図があります。マル1の図があります。このような回路をつくってください。豆電球の指定は特にしません。2.5ボルト用、3.8ボルト用があるけど、特に指定しないので、いつものようにやってください。あと、乾電池を直列につなぐとき、あいだの導線はいりません。ボタンをさしこむようなかたちでいいです。導線がなるべく少なくなるように回路を組み立ててください。接触が悪くて、うまくいかなかったグループがあるので、導線はできるだけ少なくしてください。では、回路図が完成した人から準備をして、はじめなさい」(7分37秒)