★コーヒー豆がないことに気づき、早朝、キッチンで手鍋焙煎をやる。 今回はハイチコーヒー豆を選んだ。 現在の僕の頭の空虚さに、ハイチコーヒーのマイルドな味がピッタリだ……と思ったからだ。 生豆100グラムをザルに入れ、ボールの水に浸し、米を研ぐように、ゴシゴシと洗う。 水を3回、取りかえた。 水を切り、フキンで水分を吸い取る。 ちゃんとやる人はここで豆を乾かす工程を入れるらしいが、僕はこのまま手鍋に放りこみ、ガスのトロ火で20分間、蒸らす。 ほぼ1分おきにガラガラと揺さぶる。 こんがりと焦げ色がつき、鍋の底から透明な、乾いた――僕を過去のあちこちの時空に彷徨させてくれる――プルースト現象的な香りが立ちのぼりはじめたら、中火にして、ガシャガシャと豆を返しつづける。 しばらくして、いわゆる「一ハゼ」(パチッ、パチッと豆が爆ぜる音)、つづいて「二ハゼ」(ピチピチ、ピチピチと油性分が燃えるような連続音)。 二ハゼの時間は、その日の気分で決める。 気合いが入っているときは、ピチピチが始まったら、あるいは始まる直前に、火を止める(=ハイロースト)。 そうでないときは、長めにピチピチとやる(=シティロースト)。 火を止めたら急いで、冷やす作業とチャフを取り除く作業とを、同時に行う。 僕の場合は、小さなザルを2つ用意し、右のザルから左のザルに豆を移し、右のザルをシンクの角でトントンと叩き、網目にくっついているチャフを落とす。 今度は左のザルから右のザルに豆を移す。
これをくりかえす。 以前は庭のデッキに出て、ドライヤーのクールモードで冷やしながらチャフを吹っ飛ばしていたが、ザルでやるほうがだんぜん楽しい(^_^)v。 ★冒頭で「頭の空虚さ」といったが、4月に入って――もうその4月も終わってしまうが――僕は、前にも後ろにも動けない、完全に停止、停滞の状態に陥っている。 ヤドカリの宿替え、あるいは蝉の脱皮に似て、なんだが、新しいステージに移行する直前の、フワフワ感があって、悪い感じはしない。 しかし、この空虚、停滞、フワフワ感がいつまでもつづくというのも、ホンマ、しんどいもんだ。 過去の僕の経験に照らすと、40人の子どもたちとその保護者に宛てて毎日せっせと「学級通信」を発行していた学級担任の僕が、学年主任になり、今度は学年全体の300人の子どもたちと保護者を対象に「学年通信」を発行しなくてはいけなくなり、ピタリと書けなくなったときの、あの4月の気持ちに似ている。 今、僕の受信と発信のシステムが変に――めちゃめちゃに?――なっているのだと思う。 あるいは、これまでの受信と発信の対象が既に幻覚であったことにやっと気づいた……といってもいいかもしれない。 君から手紙をもらい「返信しないと……」と思ってから、1カ月以上も経ってしまった。 そのうち2通目の君の手紙をもらってしまった。 スンマヘンm(_ _)mの10000倍だ(ノ△・。)。 弁解になるが、宿替えの新しい「宿」が見つかってから……と思っていた。 こんなに手こずるとは考えていなかった。 もうしばらくかかりそうだ。 でも、せっかくだから、あせらないで時間をかけて新しい「宿」を探すことにする。 ま、このまま朽ちる恐れ(可能性)もないわけではないが……。(斜坑堂主人宛書簡から) ★記事の中の「ハイチコーヒー」について。 ハイチというのは、もちろん、メキシコ湾の南、カリブ海に浮かぶハイチ共和国のこと。 「ハイチ」とは、カリブの言葉で「山脈の島」という意味だ。 この名の通り、島全体が峻険な山岳地帯となっている。 この急峻な地形と、カリブ海から吹く風が織り成す気象環境が香り高いハイチのコーヒーを生み出している……といわれている(^_^)v。 〈僕の豆の詳細〉 生産エリア=東南部 ベジェ・アンセ 生産者=COOPCAB生産者組合 標高=800~1000m 品種=ティピカ プロセス=フーリーウォッシュド(=果肉を取り除いたあと、固いパーチメントをぬめりにおおわれているが、これも取り除く方法)。 ★画像=空虚な僕の前方の風景。 画像のなかのPCは、Lets note S10 CF-S10CYBDR。 以前は、部屋(DAKA古書店跡)の隅、あるいは奥に向かって、キーボードをカタカタとやっていたが、4月に入った、ある日、急に、光に向かってカタカタとやりたくなり、このようにテーブルを窓際に移動した。 ★さらにリアルな情報は僕の公式ホームページへ★ ★僕のWEB無人駅線ページへ |