WALKER’S 

歩く男の日日

27日目 (1) 別格13番仙龍寺

2008-08-13 | 08年四国の旅
 高雄のご主人は笑顔の応対がとても感じいい。2階の部屋に案内してくれたあと、明日は何時に発ちますかと言う、「6時に出ます」と答えると、じゃあ5時半頃洗面台の横におにぎりを置いておきますので持っていって下さい。またまたお接待だ。おかしいでしょ、3000円の宿ですよ、それでにこにこしながら当たり前のようにそんな朝早くから昼食を用意してくれる、やはりお大師さんがいるとしか思えない。自分ではそう思っていなくても、お大師さんと一緒に歩いていることは否定のしようがない。そのことをちゃんと受け止めなくてはならない。
 朝になると5時過ぎに直接奥さんが部屋にお弁当を届けてくれた。おにぎりだけではなく、ずっしり重いお弁当になっていた。仙龍寺で頂くことにする。予定通り6時に出発、天気は快晴、仙龍寺への道はまだどちらにするか決めかねている。踏切を渡って左へ折れると3回投宿した大成荘、その先に市役所が見えてくる。その交差点を右の折れて100m、国道の交差点にコンビニがある。これから先はずっと山の中なので、朝の内に夕食と朝食を調達しておかねばならない。買い終わってショップの横で荷物を詰め替えようとしたら、そこに昨日会った白人女性が休んでいた。普通なら話しかけることなどしないけれど、テキサスの夫婦からフランス人の女性のことを聞いていた。宇和島であったというその女性は4年ぐらい日本語を勉強して日本に来たのでほとんど言葉に不自由はない、なのに、民宿では断られることが多くて残念がっていたという。ホテルは味気なくてつまらないという。もしやその人であれば日本語が通じるかと思って声をかけたのですが、違っていました。アメリカの人で日本語は全然だめでした。一応今日はどこまでですか、と訊いたら、三角寺へは行くけど、雲辺寺まで行けるかどうかは判らない、と言いました。あなたはどこまで、と訊かれたので、三角寺のあと別格13番へ行く、と地図を指しながら何とか伝える。「英語でしゃべらナイト」を毎週見ているくらいではどうにもならない貧相な英語力です。別格は「アザー・トゥウェンティ・テンプルズ」と言ったけど通じたかどうか心許ない。先に行きますと英語で言ったら、笑顔でバイバイのぱぁをこちらに向けてくれた。ちょっと高揚しながら三角寺へ向かう、7時20分、昨年と同タイムで到着する。長い石段を登って境内に上がると、今治の栄福寺で会ったカート遍路さんがいた。ぼくと全く同じペースで歩く人など滅多にいないからちょっとびっくり。やっぱり負担が少ないから長い距離も無理なく歩けるのだろうか。
 ここから仙龍寺に向かう道は二つある。地図では一つだけれど、住職に尋ねると山越えは避けて自動車道を行くよう薦められるそうだ。確かに山越えの標高は730m、自動車道は480mだから、相当楽だし迷う可能性も少ない。距離は長いけれど時間の差はほとんどないように思われる。昨日まで迷い続けていたけれど、さっきの女の人に楽な方を行くと言ったので、やっと自動車道を行くことに決定する。7.7kmを78分かかる。大した登りはなく、峠を過ぎれば下るだけだったから納得のスピードです。松山の西林寺であった野宿遍路さんが「仙龍寺は雰囲気のあるいいお寺でしたよ」と言ったとおり、ちょっと今まで見たことないような建物だった。写真は本堂のように見えるけれど、本坊です。本堂はこの建物の左の崖の上にあって、2階部分でつながっていて、本坊から入っていく。本尊は弘法大師なので、大師堂はない。

26日目 (2) ビジネス旅館高雄

2008-08-12 | 08年四国の旅
 前神寺を出ると、次の休憩地は喜光地商店街、14.2km休みなしだ。前神寺を出て1kmのところで農地の中を行く遍路道に入るけれど、今回は2年ぶりに国道を行くことにする。好きな道ではないけれど距離が長いので少しでも近道を行きたい。加茂川橋を渡る、二つ目の信号を左へ行くと西条駅に至る、来年はまたぼくも駅前の旅館に泊まるかもしれない。今回はもちろんそのまま国道11号を直進する。しばらく行くと松下電子の工場、丁度出勤時間で駐車場から国道を横切って工場に行く信号に多くの従業員が群れをなしている。連休が明けて1週間になる、ぼくの今回の旅も今日を入れてあと8日、でもいつものような余裕を感じることは全くない。まだ多くの別格、初めて歩く道が控えている。
 2kmちょっと行くと遍路道が合流してくるポイント、前を行く女性が見えた、石鎚温泉から出発したと思われる。挨拶して追い抜くと、さらに前を行く人が見える。大柄だったので男性かと思ったけれど、近づくと白人女性だった。昨日横峰寺から下りるときに白人女性とすれ違ったけど、その人とは違うようだった。おはようございます、と言うと、ちゃんと「おはようございます」と返してくれた。すぐ国道を離れて旧遍路道にはいる、この道は脇道だけど、結構自動車が通る。それもスピードを落とさず傍若無人に走る車が多い。本来は歩きやすいのんびりした道だけど油断のできない道なのだ。そして長い、喜光地商店街までは旧遍路道の入り口から4km弱なのにいつもものすごく長く遠く感じる。そこまで10km近く休みなしで歩いているので疲れてそう感じてしまうのかもしれない。
 喜光地商店街の広場には小さなステージがあって、その前で市が開かれている。14.2kmを131分で到着、時速6.5km、ここまでは坂道がないので順当なペース。広場の角にはお手洗いもあるし、水道もある。ベンチもあるので格好の休憩場所だけど、雨が降るとちょっと微妙になる。今日の休憩はここを含めて2ヶ所だけ、次は12km先の別格12番延命寺になる。朝食のパンを頂いていると、男のお遍路がやってきた、腰を掛けて盛んに携帯を眺めている、GPSで現在地を確かめているのかもしれない。まもなく、先ほど追い抜いた女の人もやってきた。しばらく市の品物を見ていたけれど、休みをとらずそのまま行ってしまった。白人の女の人は結局来なかった、遍路道に入らずそのまま国道を歩いているのだろう。
 25分の休憩で出発、2kmほど行くと国道と合流する、その少し前で雨が落ちてきた。10時過ぎ、本日の中間地点だから、まだいい方かもしれない。合流地点にスーパーがあったのでチーズを買う、カルシウム補給に欠かせないものだ。喜光地を先に出た女の人も買い物をしている。スーパーの前にボックスがあったので、2日後3日後の宿に予約を入れる、2日後は大興寺裏の民宿おおひら、3回目の投宿。3日後は琴平のサンウェルコトヒラ、もちろん初めてです。善通寺から琴平にかけては安い宿がなくて困っていたら、出発直前になってようやくこの宿を発見、素泊まり3500円、観光地琴平のど真ん中であり得ない安さです。これで安心して満濃池に行ける。予約が終わる頃には雨足が激しくなっていた。1km弱でまた脇道にはいる、すぐまた国道に合流、そこにデイリーヤマザキがある。この先にはコンビニがないから夕食を調達する。スーパーにはチーズ以外の適当な食料がなかった。もちろん野菜ジュースで喉を潤すことも忘れない。
 別格12番延命寺までは115分、時速6.31km、雨の中でも昨年と同タイムだった。足は全く問題ないし、気温も高くない。12時15分、今日の宿まで2時間ほどだから40分は休むことができる。納経所は大師堂の中にある。ブザーを押してしばらく待つと奥さんが出てきてくれた。記帳が終わって、ありがとうございました、と言うと「ご苦労様です」と返してくれた。納経所には腰掛けがあるのでそのままそこで休ませて貰う。自動車遍路の3人組がやってきて、納経のあと次の13番までの道を訊いている。奥さんは地図を出して丁寧に教えてあげているけど、あまり要領を得ないようだ。そんなのは事前に調べておくべきではないのか、車に乗るのなら地図ぐらいちゃんと見ておきなよ、と言いたくなる。
 12時55分に出発、歩き始めてしばらくして雨が止んだ、2時間くらい雨の中を歩いてまだ靴の中は濡れていない、今日は乾いたままで行けるだろう。半時間後にまた降り始めたけど大した降りではない、涼しくて気持ちがいいくらいだ。伊予三島駅の踏切に到着したのは2時50分、昨年より1分遅れ、昨年より4km以上歩く距離が長かったのでそれが最後に出たのかもしれない。
 駅のすぐ近くにあるビジネス旅館高雄には昨年に続いて2回目の投宿、素泊まり3000円。洗濯、乾燥機はないようだった。

 26日目の歩行距離 43.3km
        歩行時間 6時間42分
        平均時速 6.46km

26日目 (1) 前神寺

2008-08-11 | 08年四国の旅
 同宿の人は埼玉の男性一人だけ、人気の宿で今まではもっと多くの人が泊まっていたから珍しいといえる。二人だったので食事の時にいろんな話を伺った。昨日は今治駅前のホテルに泊まって、電車で伊予富田まで来てそこから歩き始めたという。仙遊寺を下ると国分寺の周辺までほとんど宿がない、ぼくも最初の時、国分寺の近くの桜井から電車で今治まで戻って駅前のホテルに泊まった。彼は伊予富田から歩き始め、横峰寺をとばして、前神寺まで行きその近くの駅から電車で伊予小松まで戻ってきた。伊予富田からだと横峰寺を越えるのは難しいと思ったのだ。39km以上になるから当然、そしてここまで戻って明日横峰寺に登って、西条駅の近くまで行くという。ちょっと珍しい行程、そしてもっと珍しいと思ったのは、彼は連休中は宿の予約が取れないので、その間一旦埼玉に戻った。気が短いというか、行動力があるというか、決断が早いというか。ぼくなんかからすると、ちょっと呆れたやり方だなあという感じもする。連休は久万高原だった、ぼくも4年前連休が久万高原で宿が取れなくて野宿したことがある。久万高原は打ち戻りで2泊する人が多いし、お遍路以外の観光客も来るからどうしてもそうなるけれど、それならわざわざ埼玉まで帰って高い交通費を使うということなどせず、松山までバスで下りて、松山のビジネスホテルにでも泊まればよかったのに。4年前も実際そういう人が何組かいたし、松山のホテルには空室があった。
 彼のお薦めの宿は、土佐清水市の民宿いさりび、土佐の宿はカツオばかりでややうんざりしていたところに、ここでは鯖の刺身が出た、それがものす~ごく美味かった、感激して足摺を打ち戻ってもう1泊したそうです。この新しい宿のことはぼくも新潟の女性のブログを見て知っていた。ぼくは中村から一気に足摺まで歩いてしまうので残念ながらこの宿には泊まれそうにない。彼は西条の次の日の宿をどうしようかと迷っていたので、土居町、別格12番延命寺の近くの松屋旅館を推薦した。そして、その次は民宿岡田、その次は観音寺の藤川旅館にすると無理なく歩けると助言した。
 今日は43km以上歩くので朝食はとらない、6時に出ていこうとしたら食堂からSさんが出てきてわざわざ挨拶してくれた。互いの健闘を祈る。表に出ると天気は曇り、一部青空ものぞいているが当てにならないものだ。雨の予報が出ている。63番吉祥寺まで1.5km、13分今までで一番早いタイムで来た。時速は6.9kmだから相当調子がいいということだ。次の前神寺まで3.0kmも一番早い28分で来た。

25日目 (3) 伊予小松駅

2008-08-10 | 08年四国の旅
 山門を抜けると昨年までの景色と違っていた。納経所と休憩所の建物が消えていた、その部分に新しい建物の土台部分だけがあらわになっている。その手前の部分には新しい休憩所が完成している。納経所よりも休憩所を先に建てたのは、お遍路以上に多い地元の登山愛好家に配慮したものかもしれない。納経所は本堂の中に設置されている。ここでもやはり甘茶の振る舞いが行われていた。本坊の入り口のところに用意されていて、お遍路でない人の中には、水筒に詰めて持ち帰る人もいる。ここでもぼくは遠慮して、代わりに水屋のわき水をペットボトルに詰める。
 20分ほど休憩して、12時10分に下山する。別格を二つお参りしたので例年より時間の余裕はない。横峰寺から下山する道は大きく3つ、今回は初めて石鎚山ハイウェイオアシス経由の道を歩く、奥の院経由の道は3回、黒瀬湖経由の自動車道は2回歩いている。これら三つの道はいずれも4年前の台風で土砂崩れが起こり通行不能になった。ハイウェイオアシスへの道は通る人が少ないので復旧が一番遅かった。横峰寺の下りは、下り道の中では三坂峠の次にきついと思っていたけれど、今回はそれ以上という感じがした。ハイウェイオアシスへの分岐点からは、よく整備された比較的広い道ではあったけれど、足場があまりよくないごろごろした急な坂道が続く。膝がもろに痛めつけられてくる。下りでこれほど厳しいと感じるのは今回初めてかもしれない。でも何とか耐えて、香園寺まで9.6kmを102分で下りてきた。道は違うけれど昨年より1分遅いだけ、でもひどく疲れた。横峰寺は登りの険しさがよく言われるけれど、本当にきついのは下りだった。
 恥ずかしい話をします。ぼくは今まで5回も来ているのに香園寺で大師堂にお参りしたことはなかった。子安大師堂という小さなお堂があって納め札入れもあるので、そちらが大師堂だと勘違いしていたのです。本当の大師堂は本堂の2階、横の階段を上って、靴を脱いで中に入る。立派なお大師さんのすぐ目の前でお参りすることができる。
 香園寺と宝寿寺の間にあったコンビニが消えていた、2年くらい前にできた新しいコンビニだった、伊予小松駅のちょっと先にあるローソンまで余分に歩かないといけない、残念。
 本日の宿ビジネス旅館小松は4回目の投宿、予定通り3時5分前に到着。
 2食付き5250円、夕食付き4725円、素泊まり3675円。洗濯100円、乾燥機100円。

 25日目の歩行距離 33.6km
        歩行時間 6時間6分
        平均時速 5.51km

25日目 (2) 60番横峰寺山門

2008-08-09 | 08年四国の旅
 バイクさんは昨年88ヶ所を巡ったそうだ。今年たまたままとめて休みができたので、別格だけをバイクで巡っているという。四国に入って4日目、と言うのですごく驚いたけれど、考えてみれば、別格だけなら、焼山寺も鶴林寺も太龍寺もないし、室戸岬も足摺岬も行く必要がなく相当なショートカットができる。1日250kmも走れば楽々4日で結願だ。でも今日中に20番まで行くのは無理かもしれない。距離はあと240kmほどだけど、札所が10ヶ所ある。最後の4分の1に半分の札所がある。17番の満濃池神野寺か、18番多度津の海岸寺までがせいぜいでしょう。
 次の11番生木地蔵までは3.5km、最初は緩やかな下り、要所に遍路標識もあって快適に歩ける、32分、時速6.5kmで到着、バイクさんがお参りを終わって荷造りをしているところ、ここから道は分かれる。納経所は派手なシャツを着た太った若い坊さんだった。頭の上にめがねを乗せたまま記帳している。こういうのが不真面目で嫌な感じがするという人もいるのだろう。でも、ぼくはちゃんと仕事さえして貰えれば充分と思っているから、嫌な感じはしなかった。ただ、あとで聞いた話によると、この前日の午後、その坊さんは昼寝をしてなかなか出てこなかったそうです、バスツアーの団体も来てるのに呼べども呼べども出てこない、とんでもない奴だったわけです。ぼくは運がよかったということかもしれない。
 納経も無事終わり、お寺の前で休憩する、目の前の準備中の食堂から親父さんが出てきていろんな話を聞かせてくれた。この生木地蔵では安い値段で泊めてくれると言っていた。ここからは中学校の横を行く道が近いと言ったけど、どう見ても南へ下りる方が近いので無視して地図の通り行くことにする。地元の人でも案外遍路道のことはよく知らない、正確な情報は知らない、思いこみの情報でものを言う人が時々いる。もちろん悪気はないんですけどね。
 いよいよ伊予の国最高のお山に向かう。昨年は3年ぶりに歩き道を登ったけれど調子が出なかった、ペースがつかめずのんびり歩いてしまった。今年は4年前に作った記録を意識しながら登る。登り口の遍路小屋までは初めて歩く道もあるので記録は意識せず普通に歩く。9.6kmを95分で到着、後半は緩やかだけど登りが続くので思ったよりいい記録だといえる。本当の登りを控えて15分の休憩、わき水を補給する、今日も地元の人が車でわき水を汲みに来ている。ここまで車で来て横峰寺に登る地元の人も多い。地図では距離は1.6kmとなっているけれど、普通は1時間以上かかる険しい山道だ。4年前は48分で登った。そして、今回は気持ちも体調も充実していたので、立ち止まることも全くなくて、47分で山門まで来ることができた。

25日目 (1) 別格10番西山興隆寺

2008-08-03 | 08年四国の旅
 洗濯物は出しておくだけで全部して頂けます。リュックで擦れて大きなほころびができていたシャツの繕いまでしてくれていました。そして、豆御飯を炊いたので食べられますか、と食事までお接待して頂きました。今年は本当に宿でお接待を頂くことが多い、何と言っていいか判らない。すごくありがたいけど、同時に申し訳ないなあという感じもする。ここは大通りから離れていて本当に静かで、ぐっすり休むことができた。 6時に出発、今日は横峰寺の前に別格が二つ控えている。遍路道を離れるのは出石寺以来になるけれど、出石寺のように真反対の方向に10km近く行くというようなことでは全然なくて、進行方向の右側に3kmほど行くだけです。興隆寺の標高は275m、昨日登った仙遊寺と同じくらいだから心配はしていないけれどスピードが出ないことは覚悟の上。県道155号に当たると右斜めへ入る150号の入り口に興隆寺はこちらの大きな看板があった。ここから初めての道、朝早く人も車も全く通らない。別格だし、お遍路に会うことなどないだろうと思っていたら、徳田小学校のすぐ手前のところで、バイクが追い抜いていった。荷台に大きな荷物を積んでいる、この時間にこの道を行くことからして別格巡りの遍路に違いない。興隆寺まで2kmちょっとだから境内で会えるかもしれない。
 県道から斜めに入っていく道も無事確認、ここから先は一本道だからもう迷う心配はない。ここからゆっくり登りになっていく。でもスピードが落ちるほどの登りではない。しばらく行くと墓地の中を抜ける道に入る、そしてその先に大きな駐車場があった。別格霊場にこれだけの駐車場が必要なのか、と思ったけれど、ここは県内一の紅葉の名所だったのです。その季節には観光客で溢れかえるのだそうです。山門の手前の小橋を渡る、小橋の手前にバイクが停めてあった。
 山門からが本当の登りだった、本堂まで続く石段を50m以上登る。途中にいろんな建物があるけれど結局一番上まで登らないと本堂はないのだ。写真の本堂は南北朝時代の建物で国の重要文化財に指定されている、その向かい側にある大師堂は対照的につい最近建てられた新しいものです。バイク遍路さんが大師堂から下りてくるところだった。挨拶を交わす。今日は旧の花祭りのようで、甘茶が振る舞われている、本堂の前に用意されていたけれど、ぼくは遠慮する。本堂、大師堂でのお参りを済ませる。本堂の前にある納経所には人がおらず、納経は下の建物で行います、と張り紙がしてあった。バイク遍路さんがまだいたので、一緒に下りていく。それらしい建物があった、入り口に呼び鈴代わりの板がぶら下げてあったので、バイクさんが木槌でそれを叩くと、まもなく作務衣姿の奥さんが出てきてくれた。愛想のいい奥さんで、今朝は寒かったでしょう、と話しかけてくれる。バイクさんは、道の駅で野宿をして、寒くてよく眠れなかったと答えている。ぼくは宿屋に泊まっているので全く気にならなかったけれど。ぼくが納経帳を出すと、そんな小さな納経帳があるんですか、としきりに感心している。バイクさんは千葉の人だった。奥さんが、あなたはどちらから、と訊くので、姫路からです、と言うと、そう、私は神戸にいたことがあるのよ、大学の時ね。にこっと笑った顔は、おしゃれな女子大生時代を懐かしむような顔だった。「ありがとうございました」とお礼を言うと「お気を付けて」と声をかけてくれた。

24日目 (2) 仙遊寺山門

2008-08-02 | 08年四国の旅
 南光坊でも休みを入れず、3km先の泰山寺に向かう。今治の札所は3kmおきが4つ続く。休憩場所を考える必要がない。泰山寺まで28分、またも同タイム、時速6.64kmだからこれ以上縮めることは不可能だろう。泰山寺の入り口に3台の自転車が止めてある、境内に上がるとそれらしい3人の女性が、夫婦遍路となにやら話している。その夫婦を見てはっとなる、昨年愛南町の宿で一緒になった夫婦ではないか。ご主人は8回目、奥さんは5回目で、ほとんど野宿で歩いていると言っていた。この時季にまた歩いているのは不思議ではない、でも確証がなかったので声をかけることはできなかった、ぼくがお参りしている内に次の札所へ向かわれた。ここでも10分ほど腰を下ろしただけで、次の栄福寺へ向かう。今日は本当に汗をかかないし、疲れもほとんど感じない。10分ほど早く出た夫婦遍路には蒼社川の橋の上で追いつく、挨拶はしたけれどやはり声はかけられなかった。27分、やはり同タイムで57番栄福寺に到着、時速は6.67km、坂道はないし静かでとても歩きやすい道が続く。
 栄福寺では折り畳みのカートに大きな荷物を縛り付けた男の人がいた。4輪の乳母車のようなものを押して歩いている人は見たことあるけれど、2輪のカートを引っ張っている人は初めてだ。考えてみれば、すごく効率がいい。あれだけの荷物でも車が付いて引っ張るだけなら体力の消耗は最小限で済むかもしれない、ぼくのような5kgの荷物を背負って歩くより楽かもしれない。山道になるとカートごと背負わなければならないけど、骨組みだけだからそんなに重くないように見える。
 栄福寺ではさすがに20分の休憩をとる、12時10分出発、天気がよくなってきた、残すところあと18km、何とか4時までには宿に入れそうだ。次の仙遊寺は本日唯一の山道になる。2.1kmと一番短いけど時速6kmは出ない。昨年と同タイム24分で到着、まだ調子は落ちていないようだ。ここまで30km昨年と全く同じペース、嬉しい。仙遊寺のお手洗いは建設するのに1億円かかったという、6回目にして初めてその曰く付きのお手洗いをありがたく使わせて頂く。ここでも休みはとらない、でも山門から本堂まで信じられないほどの石段が続くので、お参りをして山門に戻ってくるだけで23分を要する。もう1時だ、ここから急な下りの山道がしばらく続く、本日唯一の難所になる。仙遊寺の山門から本堂へ登る石段ですれ違った5人の人にすぐに追いついた、彼らは今日はどこまで行くのだろう、湯ノ浦温泉まで10km、それすら厳しい感じがする。でも下まで下りてしまえばもう少し普通に歩けるのかもしれない。仙遊寺から4kmほどの国道の交差点に新しくできたローソンがある、ここで食料を仕入れる、休むつもりはなかったけど、気温が上がってきたせいかかなりへばってきたしおなかもすいたので、昼食休憩にする。18分休んで今日の最後の札所、国分寺へ向かう。あと2kmだけど、あまり調子が出ない、ここまで頑張りすぎたし日差しの圧力も感じる。国分寺の門前のタオル屋さんに声をかけられる、「どちらか来られたの?」姫路です、と答えると「はい、姫路のお大師さんにお接待」と言ってタオルハンカチを手渡される、ぼくはミッキーのタオルハンカチを持っているので、うっ、と思ったのですが、お大師さんと言われては断るわけにもいかないので、頂くことにする。来年からはこのハンカチを持って歩くことになるだろう。国分寺へは、残念、今日初めての1分遅れ。やはり下りの山道は少し負担を感じるような歩きだった。
 国分寺では10分ほど休んで2時30分に出発、宿までは丁度10km、何とか持ち直して同タイムで着くことができた、時速6.32km。緩やかな坂道もあるし40kmを過ぎればこんなものでしょう。
 敷島旅館は4回目の投宿。中途半端な位置にあるのでお遍路はあまり泊まることはないようだ、過去3回で、同宿になったお遍路は一人だけだった、今回もぼく一人だけだ。多くの人は仙遊寺宿坊に泊まって、丹原の栄屋旅館から横峰寺を目指す。ここからだと横峰寺の麓まで相当な距離があるので、登る前に疲れてしまうという感じがあるのかもしれない。
 素泊まり3500円、洗濯無料。

 24日目の歩行距離 46.5km
        歩行時間 7時間15分
        平均時速 6.41km

24日目 (1) 南光坊山門

2008-08-01 | 08年四国の旅
 夕食は去年と同じく釜飯、これが実にうまい。そしてこれも昨年と同じ甘エビ、この甘エビはぼくが今まで食べたものと違ってちゃんとエビの味がする、ぼくは本場で食べた経験がほとんどないせいか、エビがあまり好きではありません、でもこのエビは大好きになる味です。そして今年は豚しゃぶが出た。これも豚の旨みがよく味わえて最高、ほかにも、玉子と野菜の煮物、海老の塩焼き、玉子豆腐、蟹グラタン、イカ明太とすごいバリエーション。釜飯の量が不十分かなという感じもするけれど、これだけのおかずを全部頂くと丁度いい感じになってお代わりがなくても充分です。
 朝食もかなり盛りだくさん、納豆は大丈夫ですか、と先ず聞かれる。もちろん電話で苦手なものはないと言っていたので、はい、と返事する。ほかに、目玉焼き、鯖の塩焼き、切り干し大根、塩昆布、ポテトサラダ、味噌汁、デザートにプリンまで出て、そのあとはホットコーヒーのサービス。これで5000円、本当に手を合わせたくなるようなありがたさです。
 今日はほとんど平地とはいえ、46km以上歩くのでゆっくりしていられない。コーヒーの余韻をゆっくり楽しむ間もなく、6時25分に宿を出発する。今日最初の札所は54番延命寺、18km以上あるから間に休憩を入れるのが普通だけど、昨年は休みなしで歩き続けた、今回は伊予亀岡駅で休もうかと考えていたけれど、歩き始めると調子がよくて止まる気がしなくなってくる。朝一だし、天気は曇りで気温も高くない、昨日一時調子が悪くなった足の調子も完全に復活して全く問題はない。向かい風が強く菊間までは1分の遅れだったけど汗は全然かかないし疲れもない。亀岡駅の前まで来てちょっと迷ったけど、やはりそのまま行くことにする。今日は札所が6つもあるし、距離も長いし、出発時間も遅いので、休みはできるだけ少なく短くしたい。結局休みなしで18kmを歩ききってしまう。菊間からは風の影響をあまり受けず逆に1分早く到着した、時速は6.53km。これだけ歩くと、例年だとかなりの時間休むのだけれど、10分ちょっとの休みで次へ向かう、まだまだ先は長い。次は今治の町のど真ん中にある南光坊、3.6kmを33分で踏破、昨年と同タイム、調子は全然落ちていない。大師堂の前に電話ボックスがあったので、2日後3日後の宿の予約を入れる。両方ともいい感じの男の人が応対してくれた。3日後はもう伊予を離れ再び阿波の国に入る。