WALKER’S 

歩く男の日日

25日目 (1) 別格10番西山興隆寺

2008-08-03 | 08年四国の旅
 洗濯物は出しておくだけで全部して頂けます。リュックで擦れて大きなほころびができていたシャツの繕いまでしてくれていました。そして、豆御飯を炊いたので食べられますか、と食事までお接待して頂きました。今年は本当に宿でお接待を頂くことが多い、何と言っていいか判らない。すごくありがたいけど、同時に申し訳ないなあという感じもする。ここは大通りから離れていて本当に静かで、ぐっすり休むことができた。 6時に出発、今日は横峰寺の前に別格が二つ控えている。遍路道を離れるのは出石寺以来になるけれど、出石寺のように真反対の方向に10km近く行くというようなことでは全然なくて、進行方向の右側に3kmほど行くだけです。興隆寺の標高は275m、昨日登った仙遊寺と同じくらいだから心配はしていないけれどスピードが出ないことは覚悟の上。県道155号に当たると右斜めへ入る150号の入り口に興隆寺はこちらの大きな看板があった。ここから初めての道、朝早く人も車も全く通らない。別格だし、お遍路に会うことなどないだろうと思っていたら、徳田小学校のすぐ手前のところで、バイクが追い抜いていった。荷台に大きな荷物を積んでいる、この時間にこの道を行くことからして別格巡りの遍路に違いない。興隆寺まで2kmちょっとだから境内で会えるかもしれない。
 県道から斜めに入っていく道も無事確認、ここから先は一本道だからもう迷う心配はない。ここからゆっくり登りになっていく。でもスピードが落ちるほどの登りではない。しばらく行くと墓地の中を抜ける道に入る、そしてその先に大きな駐車場があった。別格霊場にこれだけの駐車場が必要なのか、と思ったけれど、ここは県内一の紅葉の名所だったのです。その季節には観光客で溢れかえるのだそうです。山門の手前の小橋を渡る、小橋の手前にバイクが停めてあった。
 山門からが本当の登りだった、本堂まで続く石段を50m以上登る。途中にいろんな建物があるけれど結局一番上まで登らないと本堂はないのだ。写真の本堂は南北朝時代の建物で国の重要文化財に指定されている、その向かい側にある大師堂は対照的につい最近建てられた新しいものです。バイク遍路さんが大師堂から下りてくるところだった。挨拶を交わす。今日は旧の花祭りのようで、甘茶が振る舞われている、本堂の前に用意されていたけれど、ぼくは遠慮する。本堂、大師堂でのお参りを済ませる。本堂の前にある納経所には人がおらず、納経は下の建物で行います、と張り紙がしてあった。バイク遍路さんがまだいたので、一緒に下りていく。それらしい建物があった、入り口に呼び鈴代わりの板がぶら下げてあったので、バイクさんが木槌でそれを叩くと、まもなく作務衣姿の奥さんが出てきてくれた。愛想のいい奥さんで、今朝は寒かったでしょう、と話しかけてくれる。バイクさんは、道の駅で野宿をして、寒くてよく眠れなかったと答えている。ぼくは宿屋に泊まっているので全く気にならなかったけれど。ぼくが納経帳を出すと、そんな小さな納経帳があるんですか、としきりに感心している。バイクさんは千葉の人だった。奥さんが、あなたはどちらから、と訊くので、姫路からです、と言うと、そう、私は神戸にいたことがあるのよ、大学の時ね。にこっと笑った顔は、おしゃれな女子大生時代を懐かしむような顔だった。「ありがとうございました」とお礼を言うと「お気を付けて」と声をかけてくれた。
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