最終回の最後の曲は「星条旗よ永遠なれ」、その前にスーザの肉声が流されました。あるラジオ放送で自身の曲が演奏されるのに先立って自ら曲の紹介をした録音が残されていたのです。その中で彼は自分のことを「スーサ」と言っています。彼はポルトガル系移民の子、ポルトガル語ではSOUSAの発音は「スーサ」と濁らないのでしょう。でも英語発音では濁って発音するのが普通のようで、現代アメリカ人の99%(スーザの子孫も含む)が「スーザ」と発音していると、秋山紀夫先生が解説されました。スーザ自身も一番好きな曲だと紹介し、吹奏楽経験者の多くが大好きな「星条旗よ永遠なれ」ですが、ぼくはあまり好きではありません。最初に演奏したときの印象がよくなかった。ある結婚式での演奏でした。屋外での演奏、結婚式場から披露宴会場へ移動するときのBGMとして演奏したように記憶している。ぼくはクラリネットを持って1年くらいしか経っていなくて思ったように演奏できなくて、練習の時も、本番もとにかく不満の多い演奏だった。その印象が災いしてか、そのあとも何回か演奏したけれどそのたびに乗り切れないものを感じたものでした。そんなぼくでも、この曲を聞いて涙したことがあります。それは第21回2000人の吹奏楽でのこと。オープニングの全体演奏でこの曲が演奏された。トリオで総てのフルートピッコロが前に出てきてあのオブリガートを吹いた。100人以上、200人近いフルートピッコロ奏者が前にずらりと並んだだけでもう涙があふれてきました。あれから26年になるけれど、このとき以上の感動的な星条旗は未だ聞いていません。
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