WALKER’S 

歩く男の日日

7日目 4月30日

2009-06-07 | 09年四国の旅

 6:07
7日目の始まり、今日は昨日より2km短い43kmの行程。でも札所が3つあって山にも2つ登るので宿に着くのは30分以上遅くなる厳しい行程だ。5時56分に宿を発つ、駐車場にバイクが2台と、車が1台、いずれも神戸ナンバーだった。


 6:31
室戸岬までに3つの脇道(旧道)がある。民宿椎名の前が1本目の入り口。


 6:37
1本目が国道に合流するところで、すぐ2本目が始まる。地図では国道に合流せず2本がつながっているように書かれてある。でもぼくにとっては2本目。椎名郵便局の前で前を歩いていた男の人が休むところ、昨日佐喜浜のスーパーで休んでいた人だ。5時半くらいに宿を出ている、今日はどこまで行くのだろう。


 6:44
2本目が国道に合流して、ちょっとした岬をぐるりんと巡るとすぐ3本目が現れる。矢印もはっきり見てとれる、でもこの道は3本目ではない。確かに今の国道ができる前はこちらが国道だったようだけれど、他の脇道に比べてだいぶ遠回りになるのでぼくは一度も歩いたことはない。地図でも赤い点線は書かれていない。


 7:18
初めての信号、半島を横断して室戸市の中心部へ向かう県道202号が始まる三叉路、そのすぐ前から3本目の脇道が始まる。でもこの道には入らない、国道沿いに新しい休憩所ができたので2年前から国道を行くようになった。


 7:26
休憩所に到着してびっくり、水道がなくなっていた。ここの水道を当てにして宿で水をくんでこなかった。一瞬呆然とする、この休憩所を作ってくれた建設会社のビルがすぐ横にある。よく見るとそこにトイレのようなものが、近づいてドアを開けるとやはりトイレだった。水道もある。流し台が小さすぎてうまくペットボトルが入らないけれど、何とか水をくむことができる。次回からは宿で水をくんでくることにする。軽食を摂って17分の休憩で発つ。


 8:03
全然ロッヂという感じではないけれど・・・。1時間以上遅いからご夫婦に追いつくのは金剛頂寺を過ぎてからになるだろうと思っていた。


 8:19
写真ではこの大師の大きさが全然伝わらないのが残念。前の建物をよく見て貰えればいくらかは感じられるかもしれない。おそらく、四国で一番大きなお大師さんである。


 8:20
室戸岬には遊歩道があるけれど、まだ国道を離れてゆっくり歩いたことはない。たくさん歩くのもいいけど、味わいが少なくなるというのはこういうこと。


 8:22 御蔵洞
ここは高野山の御廟に次ぐ霊場だとぼくは信じている。だから正面からまともにその写真を撮ることはとてもできない。その中に入ることも、自分のような中途半端な人間には、はばかられてしまう。とてつもなく畏れ多い感じがする。


 8:27
ここから国道を離れて東寺の御山に登る。中岡慎太郎の銅像はこの少し先にあるので撮影はできない。


 8:27
13分で山門まで行けば例年と同じだけど、ちょっと難しいかもしれない。


 8:41 最御崎寺
先の休憩所までもそうだったけど、今日は昨日ほどの躍動感がなく乗り切れない。15分の山登りも本当に汗だくになる、山道の途中に、今日泊まるホテルなはりの割引券が置いてあったけれど、危うくそれも見逃しかけるくらいだった。4300円が3800円になる。


 8:43 ゆく年くる年
お大師さんの写真は昨年撮ったので、今年はこの写真。こういうのはなかなか他のお寺にはありませんから。
 境内は車の人が数人いるだけで、とても静かで落ち着いてお詣りができる、と言いたいところですが、掃除のおじさんが落ち葉なんかを一気に吹き集める送風機を操作していて、その機械音がめちゃくちゃうるさい。お経をあげていても全く自分の声が聞こえないくらい、気が散ってとても普通にお詣りもできない。納経を済ますと早々に立ち去る、休む気にもなれなかった。


 9:11
お寺には24分の滞在、9時5分に出発する。昨年はこの下りの道がうまく歩けなかった。今回はその意識もあって足取りはしっかりしている。昨年も撮った同じアングルで撮らずにはいられない。


 9:22
四国で5本の指に入ると言われている評判の遍路宿「うまめの木」、来年泊まりたいと思っているのでその様子を伺いに来た。国道沿いにあるので遍路道をはずれる。この区間遍路道を歩かないのは初めてのこと。喫茶店の方の写真を撮りたかったけど、ガラス張りでお客さんがこちらを見ていたので撮ることができなかった。


 10:27 津照寺
25番の少し手前のYショップで休憩、おにぎりを2つ買って早めの昼食とする。津照寺では休みにくい雰囲気がある。ゆっくり20分以上休む。津照寺までの歩行時間はほぼ例年通り、でもさほど調子が上がっている感じはない。
 津照寺の山門に着くと、ロッヂ室戸岬に泊まったご夫婦がお詣りを終えて出てきたところだった。ちょっと意外な感じがした。ロッヂからここまで10km足らず、札所で30分費やしたとして30分くらいは遅れている。今日は、ぼくと同じホテル奈半利まで行くそうだ、割引券は薬師会館(薬王寺宿坊)で貰うことができたと言う。


 11:17
津照寺では慌てて行儀の悪いことをしてしまった。お詣り、納経に20分、休みなしで出発する。26番までは僅か3.6km、20分早く出たご夫婦に追いつけるはずはないだろう。10時47分に津照寺を出て30分で登り口までやってくる。この少し前のところからこの道へ入っていくご夫婦の姿が見えた、昨日の様なスピードは出ていないようだ。時速5kmなら10分以上前にここを通過していなければならない。ここから13分で山門に着けば例年通りだけど、ここの山道は最初の方がきつくて初めにその気を打ち砕いてしまうので、なかなか最後まで気力を保つのは難しい。


 11:30
駐車場の前の自動車道を確認、まだ山門まで結構な石段がある。山道では3人連れとすれ違った、でも逆打ちという感じではなかった。正規の下り口がよく分からなかったのかもしれない。かくいうぼくも初めてのときは登るときは自動車道をそのまま登ったし、下りるときはこの道を下った。


 11:31 金剛頂寺
山門の前に着いたのは例年より1分遅れ、でも昨年よりは調子はよかった。ご夫婦はぼくより一足先に着いて、本堂に向かうところだった。本堂でのお詣りを終えて、大師堂へ向かう、大師堂へはぼくの方が先に向かう。お詣りを終えて納経所へ向かおうとしたら、一足遅れでやってきた奥さんの方が「何か針のようなものは持ってないですか」とぼくに尋ねる。ほとんど期待薄で尋ねたようだったけど、「ありますよ」と即答したので、ちょっとびっくりされた。大師堂でのお詣りはあとにして、すぐリュックを開けて裁縫セットを手渡す。まとめて全部差し上げることにした。針だけ渡す訳にもいかないし、針を渡せば他の道具は使えないから、そうするのが普通だと思った。昨年も持ってきたけど結局最後まで使うことはなかったから、困ることはない。ご主人の方が相当足の裏を痛めているようだった。早速治療にかかられた。


 11:49
納経を済ませ、すぐお寺をあとにする、18分の滞在。休憩はいつもこの下の道の駅でとることにしている。きれいなトイレもあるし、そこで水の補給もできるからだ。金剛頂寺は裏口から退出、山門をくぐるとすごく遠回りになる。


 11:49
誰もが認める最高の宿坊、民宿旅館を含めても、四国で5本の指に入る遍路宿とされている。ぼくは一度も泊まったことはない。歩く距離が長いのでこれから先も泊まることはできないと思う。


 11:53
とてもいい感じのあぜ道のへんろ道。これが150mの山の上だとは、実際に登ってきた者でもなかなか納得できない。このあとの急峻な下り坂がなおのこと納得できなくなる。5回も下りているから判ってはいるけれど、いつもだまされたような気分になってしまう。


 11:58
この下り坂は高低差も距離も、横峰寺や雲辺寺に比べれば全然大したことはないけれど、その怖さということでいえば、屋島に匹敵するのではないか。石畳の部分がしばらく続く、それが結構な傾斜を持っていてその上に枯れ葉がいっぱい積もっているとなると、その怖さがいくらかは判って貰えるでしょう。こういう坂道は一番あってはならないと、半ば怒りながらおびえながら慎重に下りていく。足を滑らしたりなんかしたら本当に急降下だ。


 12:06
何とか無事に道の駅まで落ちてきた。信じられないことに今までで一番早いタイムだった。確かに、24番の下りと同様、足元はしっかりしていたという自覚はある。鯨館は道の駅とは別の営業だというけれど、ぼくはいつも鯨館で休む。
 軽食を摂って23分の休憩。3つの札所、2つの御山は終わって、あとは平地を宿に向かうだけ、とはいえまだ17kmも残っている。あと1回休憩をとるので3時までには宿に着けない、3時半を一応の目標にする。12時29分に出発。


 12:30
山の斜面も道の両側も白い袋をかぶったびわが一面に植わっている。ここ室戸市と須崎市が高知県の枇杷の一大産地となっている。といっても、全国3位の香川県、5位の愛媛県の6分の1くらいの生産量。でもこの時期国道55号線の風物詩といわれている。


 12:36
道幅広くて、車もほとんど通らない最高に気持ちの良い木陰の遍路道。ぼくは口笛が吹けないけど、もし吹けたら絶対「オン・ザ・モール」を吹きながら歩いただろう。でもこういう気持ちの良い道は長くは続かない。ほんの数百メートルでまた炎天下を歩き続けねばならない。


 12:54
この東川を渡ると吉良川の町、この川も吉良川だと思っていたけど違う名前が付いていた。


 12:57
吉良川のメインストリートは本当に気持ちの良い町並みが続く。歩いていて楽しい。その中に新しくできた民宿(兼カフェ)があった。金剛頂寺が人気だからなかなかこの町に泊まる人は少ないと思うけれど。


 13:01
反対にこちらは廃業した民宿。民宿あづまの女将さんに教えて貰った。素泊まり宿だったから、無理してここまで来なくてもやはり金剛頂寺ということになったのかもしれない。


 13:48
羽根川を渡って羽根の町へ入っていく、休憩所はもうすぐ。26番からここまで歩きの人には出会わなかった。金剛頂寺を出た人は午前中に通過している距離だから当然のこと。24番から25番の近くに泊まった人はすでに追い抜いている。それも3人だけだった。やはり、金剛頂寺に泊まる人が圧倒的に多いということだろう。


 13:54 羽根郵便局
切手を買うつもりだったけれど、津照寺の手前のYショップで買うことができたので入る必要はない。納経料の百円玉もまだ余裕がある。


 13:55
羽根の街の中にあるバス停が本日最後の休憩所。キラメッセと奈半利のほぼ中間にある。4年前雨の中を歩いていて全然休めそうなところがなくてここに辿り着いたときはまさにオアシスだった。以後ずっとここで休むことにしている、遍路のための休憩所ではなく、バス停として作られたものだと思われる。でも今はここに停まるバスはないようだ。


 13:57
バス停の向かいにYショップ、休憩したあと食料を仕入れる。いつもは奈半利のYショップで仕入れていたけれど、いつも泊まっていた山本旅館が廃業、ホテルなはりはコンビニのずいぶん手前にあるのでここで買っておかねばならない。休憩、買い物に22分、2時17分に発つ。宿までは8.3km。


 14:17
Yショップを出るとすぐ山越えの遍路道へ入る分岐点。山越えの道は国道より1.2km短いと地図には書いてあるけれど、時間は国道より数分余分にかかる。それに何より体力を使う、最後になっての山登りは辛いのでぼくは国道を行く。山道は2回登ったので、それで十分。


 14:34
岬をぐるりんと巡ると今日の宿がある奈半利の町が見えてくると思いきや・・・


 14:43
羽根岬には凸が二つあって、その両方が羽根岬のようだ。このすぐ手前で小さな女の人に追いついた。今日はぼくと同じホテルなはりまで、最御崎寺の山道にあった割引券には気づかなかったそうだ。この速さだと、津照寺の近くの宿からだと思われた。あと6kmだから4時半くらいには着けるだろう。でもご夫婦は、もっと遅くなることは確実。6時近くになるかもしれない。


 14:44
岬を過ぎると奈半利町、宿まであと5.5km。


 15:14
明日朝一で登る神峯がくっきり見える。右端の一番高いところが展望塔、標高569m。27番神峯寺は140mくらい低いところにある。


 15:36
ホテルなはりは6年ぶり2回目の投宿。たまにはビジネスホテルもいいもんだ、と言うお遍路もいるけれど、ぼくはお遍路のときはできればBHには泊まりたくないと思っている。荷物を広げる場所がすごく限られるからだ、それに、あちこちに分けて広げるから忘れ物の可能性が高くなるような気もする。この近くの山本旅館が廃業になって、このホテルしか泊まるところがなくなってしまったので致し方ない。500円割引券で3800円、山本旅館より200円安くなったから、まあ納得はしているけれど。普通のBHと違って大浴場があるのはいい。ぼくが一番風呂、でっかいお風呂に一人で入れて超気持ちいい。値段が安い方の部屋だったので、普通のBHよりややせまい感じ、隣の物音もかなり気になる。でも携帯は使わなかったようだし、ぼくは8時過ぎに眠ってしまったので、さほど不快な感じはなかった。

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