万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府はアメリカ政府から竹島は米韓同盟の対象外とする確約を

2014年05月14日 15時25分59秒 | アジア
「竹島は日米安保の対象外」 内閣、答弁書を閣議決定(朝日新聞) - goo ニュース
 日本国政府は、自国領である竹島が、現在、韓国によって不法占拠されている状況に鑑みて、”竹島は日米安保の対象外”とする答弁を閣議決定したそうです。その理由として、共同防衛の対象が”日本国の施政下にある領域”であることを挙げていますが、これでは説明不足ですし、韓国に利用されるリスクがあります。

 先日、オバマ大統領が訪日した際に、尖閣諸島は日本国の施政下にある領域として、日米同盟の適用対象に含まれると明言されました。この発言を受けて、韓国政府は、すかさずに”竹島(独島)は、米韓相互防衛条約の適用範囲”とする声明を発表しています。1954年12月に発効した米韓相互防衛条約の第3条にも、適用対象として「…行政管理下にある領域( territories now under their respective administrative control)…」という文言があるからです。もっとも、竹島は、サンフランシスコ講和条約での決定を無視して不法占拠した地域ですので韓国の領域ではなく、この条文の対象とはならないのですが、それでも、韓国は、米韓相互防衛条約の対象に含めるよう、アメリカに要請することでしょう。仮に、アメリカがこの言い分を認めるとしますと(アメリカも、ICJでの解決を提案しているので、韓国の要求を受け入れるとは思えない…)、日本国が武力で竹島を奪回しようとすれば、自衛隊が、米韓両国を相手に戦うという奇妙な事態が発生します。米韓相互防衛条約の締結に先んじる1952年4月の時点で日米安全保障条約が結ばれていながら、朝鮮戦争の混乱を背景に、竹島は、国際法においても軍隊と認められる韓国の義勇兵によって占領されたのですから、竹島が米韓同盟の対象となることは、信義誠実の原則にも反しています。

 竹島に関する閣議決定が、韓国に対する誤ったメッセージとならないよう、日本国政府は、アメリカ政府から竹島が米韓相互防衛条約の対象外であるとする確約を公式に得ておくべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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