万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本悪玉論がアメリカを自縛する-第二次世界大戦の後遺症

2014年05月04日 15時16分03秒 | アメリカ
 中韓の”歴史認識”は、いわば日本悪玉論とも言えます。過去に起きた全てを出来事は、日本国の悪事に起因しており、自分たちこそ善なる被害者であると…。この主張を通すために、日夜、歴史の捏造とプロパガンダに取り組んでいるのです。

 実のところ、アメリカもまた、第二次世界大戦については日本悪玉論の立場にあります。アメリカでは、対日参戦から降伏に持ち込むまでプロセスは、極悪な日本を打ち負かしたアメリカの正義として描かれています。日本人の民間人を大量に殺害した都市空爆も原爆投下も、日本が悪玉であればこそ、正当化できるのです(戦争法には違反する…)。このため、アメリカもまた、戦争原因の再検証に関しては消極的であり、この点において、中韓と利益が一致しています。その一方で、敗戦国である日本国の方が、国内的には客観的に歴史を調べることができる状況下にあり、保存されてきた資料の分析や新たな事実の判明などにより、第二次世界大戦の実像はおよそ明らかにされつつあります。そして、第二次世界大戦を俯瞰してみれば、当時の国際社会は善悪論で割り切れるほど単純ではなく(植民地支配もあれば、共産主義の脅威もあり、また、列強間の利害対立もあった…)、”日本悪玉論”が描く日本の姿と実像とは違っているのです。戦前の日本国が無謬の絶対善であったわけではありませんが、滅亡を宣告されるほどの絶対悪であったわけでもないのです。”慰安婦問題”も韓国の捏造であれ、アメリカにしてみますと、日本悪玉論を補強し、自己正当化の根拠となるのですから、歓迎すべきことなのでしょう。中韓は、歴史問題でアメリカがジレンマ、すなわち、日本悪玉論を否定すれば正義の国家としての自国の立場が揺らぎ、日本悪玉論を肯定すれば日米離反が起きることをよく見抜いています。そして、アメリカが後者を選択すれば、中韓は、アメリカと共に日本を苛め抜く正当性を手に入れ、利益を得られると期待しているのです。しかしながら、国際社会から見ますと、中韓のような国際法や人権を無視する暴力主義国家を放置する方が、よほど国際の平和にとって脅威であり、危険ですらあります。アメリカは、日本悪玉論に縛られることで、現実の脅威に十分に対応できないのです。

 少なくとも日本国は、アメリカが前者を選択したとしても、先の戦争に関する一切合財は講和条約で法的に解決済みとしていますので、中韓のように歴史問題を蒸し返し、アメリカに賠償や補償を請求することはありません。むしろ、アメリカが日本悪玉論に固執し、過去の蒸し返しを許す中韓に同調すればするほど、”それならば、日本国もアメリカに請求すべき”とする世論が強まります。アメリカは、第二次世界大戦の後遺症として自らを呪縛してきた日本悪玉論から、そろそろ解き放たれてもよいのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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