万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アメリカは全同盟国協議会を開催しては-新たな抑止システムの構築

2014年05月29日 15時14分07秒 | アメリカ
武力行使「直接脅威に限定」 オバマ協調外交危うさ(産経新聞) - goo ニュース
 今日、中国の軍事的な台頭とロシアの冒険主義的行動を前にして、国連を枠組みとした集団的安全保障の枠組みが機能しない事態が発生することが予測されています。最大の抑止システムが停止するのですから、国際社会の不安定化は必至です。

 万が一、国連の機能がストップした場合に備えたバックアップシステムの構築が急がれるのですが、現在の国際社会において、新たな抑止システムの基盤となる資源と能力を即座に提供できる国があるとしますと、それはアメリカです。何故ならば、先日の記事でも指摘したように、アメリカは、世界大に複数の同心円状の同盟関係を構築し、その中心国となってきたからです。地域的集団的安全保障の枠組みとしては、NATO、太平洋安全保障条約、全米相互援助条約があり、その他にも、日本国を含む多数の諸国と同盟条約や相互援助条約を結んでいます。しかしながら、同盟網を構築しながら、これまでのところ、これらの同盟関係間の連携は殆どなく、実際にアメリカが直接に攻撃を受けた場合についても、同盟の発動に関する調整がなされていないことは、先日述べたとおりです。そこで、目下のところ、中ロから軍事的な圧力を受けている東南アジア諸国やインドなどをもオブザーバーとして招いて、全同盟国協議会を開催してはどうかと思うのです。親中政策への転換により、同盟国であっても韓国のように不参加の国もあるでしょうが、希望する国があれば参加を認め、全ての参加国による自由な討議の場となるとともに、実務的な調整の場ともなれば、同盟国間の協力を深め、かつ、抑止システムの構築に繋がります。お互いの軍事上の弱点を補い合うことも可能となります。

 国際社会に法の支配が行き届いた暁には、国連のような普遍的な組織を再構築する必要がありますが、当面は、各国が自国の防衛力の充実を図ると共に、協力のネットワークを強化することで既存の同盟関係の効力を高め、かつ、同盟網の拡大を伴う新たな抑止システムを構築することで、無法国家による暴力主義を抑え込むしかないのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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