万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

TPPより怖い日本の国家戦略特区構想-”不平等条約”の国内法化?

2014年05月12日 15時13分55秒 | 国際経済
 日本国政府は、全国の6地域に国家戦略特区設け、外国人労働者の受け入れ拡大を図る案を検討するそうです。台湾では、中台サービス貿易協定の締結への批判が学生達による激しい抵抗運動を招きましたが、この特区構想も、一つ間違えますと”不平等条約”の国内法化になりかねないと思うのです。

 実のところ、国家戦略特区構想法の制定は、国家間条約や協定などの締結よりもはるかに破壊的です。経済協定等は、あくまでも政府間の交渉を通して相互の市場開放の条件等が決められますが、国家戦略特区構想は、政府間の合意ではなく、全世界の諸国に対して日本国が一方的に市場を開放する形態となるからです。何らのリターンのない一方的な市場開放は、常識的に考えればあり得ないことですので、おそらく、この構想の背景には、グローバル企業(竹中氏が代理人?)、中国、あるいは韓国…といった外国勢力が裏で日本国政府に圧力をかけているのでしょう(隠れた”不平等条約”)。国民に詳しい内容を知らせずに、政府が秘密裏に進めている点は、中台サービス貿易協定に類似しています。また、特区構想が掲げる”外国人の起業”がサービス業一般を含んでいるとしますと、ここでも、中台サービス貿易協定と同様の問題が持ち上がります。中韓といった周辺諸国から安価なサービス業が流入し、資本力と低価格攻勢によって、既存の日本人経営のサービス業は淘汰される可能性があるからです。街のお蕎麦屋さんから理髪店まであらゆるサービス業が影響を受けます。

 国家戦略特区構想が、特区に限定されているとはいえ、外国勢力の要望によるサービス市場の全面開放を意味するならば、どれほどの地方自治体が特区認定に手を挙げるでしょうか。しかも、国籍制限がなく(通常は相互主義であるべき…)、外国人事業者であれば特権を受けられるとなれば、中韓による戦略的な日本国への移民送り出しに加えて、北朝鮮からも事業者が参入する可能性もあります。無条件に自ら開城するような国内法の制定には、国民の多くが反対するのではないでしょうか。

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コメント (2)
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