万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連海洋法で日本国は海洋資源国に-中国が日本国を狙う理由

2014年05月17日 15時29分29秒 | アジア
参院集中審議は29日=集団的自衛権で自・民合意(時事通信) - goo ニュース
 集団的自衛権行使容認に対して反対する意見の中には、資源の乏しい日本国を中国が狙うわけはない、というものがあります。日本国の安全は、非武装中立政策で十分に保障されると…。

 この見解、1994年11月16日の国連海洋法条約の発効を転機として、もはや説得力を失っております。確かに、領土の広さや陸地における天然資源の埋蔵量からしますと、日本国は決して資源の豊かな国ではありません。しかしながら、国連海洋法条約では、200カイリの排他的経済水域を認めておりますので、天然資源に対して日本国の排他的な権限が及ぶ範囲は、世界第6位に位置しているのです。世界地図を眺めてみますと、尖閣諸島や竹島の周辺を含めて、日本国を取り巻く海域が相当の範囲に及ぶことが実感できるはずです。そして、この海域には海底資源が眠っており、先日、事故を起こしたものの、沖の鳥島近海でも、レアアースが埋蔵されています(沖縄近海でもレアアースの採掘は可能…)。メタンハイドレートも豊富であり、今後とも、採掘技術が向上してゆくとしますと、日本国は、将来的には資源大国となる可能性を秘めているのです。さらには、既にウランについて抽出技術が開発されているように、海水から水溶性の希少鉱物資源を得ることも夢ではありません(この点は、海域の広さというよりも、技術力によるものですが…)。

 今日、一触即発の状態にあるベトナムとの対立の原因も、南シナ海において石油採掘事業を一方的に始めたことにあります。日本国の資源国としての価値に気が付いていないのは、日本人自身なのかもしれません。そしてそれは、天然資源をめぐる周辺諸国の野心や安全保障上の危機に対する鈍感さを招いているのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする