18時。これまでレコーディングを手伝ってくれた伊藤氏が帰宅。5人での作業となる。2曲目となる「六本木の夜」をレコーディング開始。これまでと同様に3テイク制、3テイクの中でベストと思われるものを選択して、それに対して編集を加えて行くという作業。ベースに関しては最悪、自宅に持ち帰ったレコーダーで後日対応が可能であることから、作業はドラムを中心に行われる。レコーディングに関しては、”録音されている”という心理的圧迫から普段の力量が十分に発揮できないことが多いことに加えて、チャレンジングな技等を披露してミスをしてしまうのを回避するためにも、保守的な演奏になりがち。プレッシャー下でいかにこの制約を打破するかにかかっているのだが、これはソロパートだけでなく、ベーシックな部分にも現れており、普段グルーヴ感のある演奏も、録音してみるとズレないようにカチカチと演奏していたり、とワケがわからなくなってくる。しまいには「”録音されている”という心理的圧迫から普段の力量が十分に発揮できない」のではなくて、ここでいう「普段の力量」は虚像であり、今、録音されているその演奏が実像なのではないか、とも思われ、マイナス思考のスパイラルにハマる。一方で、これは演奏が良くてプラス思考として作用する可能性も否定はできないが、演奏後にコントロールルームで行う「プレイバック」は、基本的に演奏のアラを探す作業に近く(これはSideStepsだけか?)、マイナス思考方向に作用するケースが多い模様。演奏中も集中しようと思えば思うほどに雑念が入ってしまい、まさに”(雑念排除のために)出家でもしようか”と演奏中に考えるそれ自体が雑念であるという、人間の心理状況として深遠な状況に陥る。演奏前に力士のように頬を両手でパンパンと叩き、”集中~!”と叫びたくもなる(やや狂気)。その意味では、よく(音楽業界)一般で言われることだが、「ファースト(1st)・テイクの演奏が一番良い」という事は、かなりにおいて真実。今回のレコーディングでもそうだが、採用率としてはファースト・テイクが最多で、次がサード(3rd)・テイク、最後にセカンド(2nd)・テイクという印象にある(正確なる統計ではなし)。このような環境下での解決は、「演奏は今の自分のそのものであり、それ以上でもそれ以下でもない」とでも考えないとやってられない。
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