以下、VHSビデオパッケージに掲載の紹介文(ママ)====
“デッドマンズ・カーブ”[Dead Man's Curve] もしも学生が自殺したら、同室のルームメイト全員に精神的ショックを考慮して自動的にオールAを与える
アメリカの多くの大学で本当に採用されているこの極秘措置を悪用してハーバード大学院に行こうと企んだ学生、ティム(マシュー・リラード)は、成績不振で悩むクリス(マイケル・ヴァルタン)を唆してルームメイトであるランド(ランダル・ベイティンコフ)の殺人を企てる。
ところが、自殺に見せかけて殺したはずのランドの死体が見つからない。それとともに次々と起こる怪事件、ランドの恋人ナタリーの突然の自殺。ティムとクリスの間を揺れ動くクリスの恋人エマ。ナタリーとエマもまた、ルームメイトであった。
完璧なはずの殺人ゲームは、それぞれの思惑と全く違った方向へ進んで行く・・・。本当に共謀しているのは誰と誰なのか? 最後に笑うのは誰か?
===紹介文終わり。
・・・「次々と起こる怪事件」? そんなんあったか?
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またまた、ヴァルタン目当てで見ました。なんつったって、数少ない主演作ですからね~。
(ここからは、ネタバレバレなので、これから本作を見る可能性がある方(ま、極少数でしょうが、、、)は、そのおつもりでお願いします。)
ヴァルタン扮するクリスは、一言でいうと、一見ヘタレなんですが、一緒に悪事を企てるティムがほとんどサイコパスのトンデモ野郎なんで、こういう2人組での犯行の場合は、よくある組み合わせです。
で、ストーリーはティム主導で進みます。どう見てもティム主犯です。
ただ、終盤まで引っ掛かるのはランドの遺体が上がっていないことですよねぇ。ここに何かあると、まあ、誰もが思うわけです。実際あるんですけど・・・。
そう、実は生きていたんです、ランド。
確かに、ティムがランドを崖下に落とす瞬間を、クリスは見ていないし、映像にも出ません。つまり、ティムとランドはグルだった、というわけです。
で、終盤、死んだはずのランドが現れて、ティムとランドにクリスは追い詰められ、ついにはクリス、拳銃をこめかみに当てて本当に自殺か・・・! というシーンなんだけれども、どこかこう、、、緊迫感がない。このままじゃどう考えてもクリスは絶体絶命、のはずなんだが。
と思っていたら、案の定、実は実は、本当の共謀者はクリスとランドで、本当のターゲットは、これまで飽くまでも首謀者として描かれてきたティムだった、、、。今度こそ、本当に、クリスとランドによってティムは崖下へ葬られてしまいました・・・。ごーん、、、。
というわけで、一応、ラストに二転三転が用意されております。・・・おりますんですが、大したカタルシスはなく、「なんじゃそら、、、」という感じで・・・。うーん。最終的に、実は本当の黒幕は最初からクリスだった、ということなんですよね、多分。
冒頭のVHSビデオの紹介文にある「次々と起こる怪事件」というのが、よく分からないんだよなぁ。ナタリーが自殺したくらいで、ほかに事件らしい事件なんぞ起きていなかったと思うんですけれど。、、、ま、いいか、そんなことは。
しかし、メンドクサイ計画ですよねぇ。なんでこんな回りくどい方法とったんでしょうか。ティムがああいうイカレ野郎だったからでしょうか。一筋縄じゃやっつけられないだろうから、やっつける側だと思い込ませておいて、最後に葬ってやる、ということですかねぇ。言いだしっぺが誰か分からないんですが、多分、クリスでしょう。それっぽいセリフもありますし。
恐らく、クリスは、ティムが嫌いだったんでしょう。それも、すげぇ大嫌いだったのね、多分。そしてまた、ティムがいかに危険なヤツかも分かっていた。だから、消すならティムしかいないと思ったけれど、、、ってとこでしょうか。ランドもすごい役者ですよね~。まあ、この役者っぷりがラストのオチのセリフの伏線にもなっていますが。
これは、3人部屋だから成立する話ですよね。2人部屋だったら、こういうターゲットがコロコロ入れ替わる、なんてことはあり得ません。3人だからこそ、誰が共謀し、本当のターゲットは誰なのか、という疑心暗鬼が生まれるのです。
まあ面白くないわけじゃないけれども、サスペンスのキレとしてはあんまし、、、という感じですかね。なんか無理矢理どんでん返しを作ったというか。上手いなー、とは少なくとも思えない。
とにかく、ティムを演じたマシュー・リラードがキョーレツです。イッちゃってる演技が、すご~くナチュラルで怖いです。こういう人、実際にいそうですもんね。笑い方とか、マジでヤバいです。私がクリスでも、こんなヤツいなくなってほしい、と思うなあ。ついでにオールAもゲットできるなら一石二鳥どころか三鳥、四鳥ですもんねぇ、、、。
ヴァルタンはこの頃、30歳くらいですかね。3人のうちでちょっと浮いてますよね、老けてて。もちろん美しいですけど、あの3人の中では1人だけかなり毛色の違う人種に見えます。なんか、ハイエナ集団の中にたたずむ孤高の銀狼、みたいな。・・・意味分からん? すみません。いずれにしても、ちょっと配役に難ありじゃない?
それに、本当の黒幕にしては、あまり悪人に見えないというか。本物の黒幕は、見るからに悪人じゃダメだけど、本性を現した後は、やはり美しい悪魔に見えてほしいんだよなぁ。ヴァルタンは育ちが良過ぎるのか邪気がなさ過ぎ、そういう雰囲気ないです、はっきり言って。それも、ラストのカタルシスのなさにつながっているような気がします。
こういう、学生ドラマを見ると、アメリカに生まれなくてホント良かったと思いますね。学業だけでなく、あれこれメンドクサ過ぎです、アメリカの学生。学生生活くらい、もっと気ままにマイペースに過ごしたいよ、アタシは。社会に出たら避けては通れぬメンドクサイこと山積なのに。ここまでしがらみの多い社会って、ちょっとストレスフルですね。こないだの『ソーシャル・ネットワーク』じゃないけど、自己紹介サイトが必要な訳だよ、こんなんじゃ。あー、ヤだヤだ。
サスペンスは3級、ヴァルタンの美貌は1級。
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